震災から9年、「笑顔になっても悲しい波はやってくる」 柴犬が主人公の漫画『柴ばあと豆柴太』連載第5回(1/2 ページ)
ここにはいない“家族”に届けようと海へダイブする豆柴太です。
新人漫画家・ヤマモトヨウコ(@YY0905)さんによる、自分を人間だと思っている柴犬が主人公の漫画『柴ばあと豆柴太』の連載です。講談社協力のもと、ねとらぼ生物部では日曜日に最新エピソードを掲載。漫画本編は次のページからすぐに読めます。
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第4話では、高校3年生になった「修司」を思う幼なじみ「美波」の悩み、そして涙をにじませた彼女の強い決心が描かれました。
そして今回は、これまでの登場人物たちが「柴ばあ」と「豆柴太」のお家に集まり、みんなで食卓を囲むにぎやかなシーンから物語が始まります。そこに“あの日”を思い出すテレビ報道が流れてきて……。
みんなの思いを届ける豆柴太
カレイの煮付けに、脂ののった刺身、肉厚なタコと、おいしそうなごちそうが並ぶ食卓。前回、バスケの試合で活躍した結果、大学からスカウトがきた修司をお祝いする会が開かれ、柴ばあが料理に腕を振るいます。
修司と美波の2人はもちろん、第2話に登場した修司が通う高校の教師で、豆柴太が“恋人”と呼ぶ「ひろこ先生」、町のヒーローで第3話で豆柴太を助けた消防士「阿子島和人(あこじま かずと)」も集まり、大人組はお酒も入って楽しい時間を過ごします。
するとテレビから――震災による行方不明者は2500人を超え、月命日には各地で捜索が行われますが、ほとんど発見にはいたっていません――という3.11の特集が流れ、途端にその場が静かに。それから、震災で夫を亡くしたひろこ先生は「そういえば、健吾さんもカレイ好きでした……」とつぶやき、柴ばあは「優しくて頼りになるあねっ子だ……」と、ここにはいない娘と孫の思い出を語ります。
お祝いの会のはずがしんみりしてしまい、どうにか空気を変えようとする豆柴太。そんなとき、下を向いて「食わせてやりたいっスね……みんなに」と話す阿子島の言葉を聞いて、なにかに気づいた豆柴太はカレイをくわえて夜の海へ。「大好物を食べさせてあげたい!!」「喜んだ顔が見たい!!」。そんな大切な人のことを思うみんなの気持ちをのせ、走る豆柴太は“ごちそう”とともに海に飛び込むのでした。心配して駆け寄る柴ばあに見せた豆柴太の笑顔と、豆柴太の意図に気づいて「さなえ!! 届いだがー?」と海に叫ぶ柴ばあの姿に胸が熱くなる……。
時間では癒やされない、行方不明者の家族の悲しみと苦しみの夜。第6話では、そんな日々の中における希望のニュースが……? 次回は8月16日更新。豆柴太の4コマ漫画を掲載予定です。
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