レビュー
» 2020年08月23日 12時00分 公開

選手との「近さ」が魅力 プロ野球の独立リーグ“ルートインBCリーグ”の面白さを伝える同人誌『BCリーグ応援し隊2020夏ver』司書みさきの同人誌レビューノート

セ・パだけじゃないんです。

[みさき,ねとらぼ]
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 8月も下旬を迎え、一層セミの鳴き声がにぎやかです。驚くほどの暑さが続く中、今回も熱い同人誌をレビューします。

今回紹介する同人誌

『BCリーグ応援し隊2020夏ver』A5 92ページ 表紙カラー・本文モノクロ

責任編集:ハチマキくろだ


同人誌 図書館 司書 青空にユニフォームが映えます

近い! BCリーグの魅力を伝えたい

 こちらはプロ野球の独立リーグ、ルートインBCリーグ(以下BCリーグ)のファンによる同人誌で、この号では12人の方々が思い思いに応援の声をつづった合同誌となっています。

 北陸、信越、関東地方を中心としたチームにより構成され、2020年は12球団が参戦しているBCリーグ。“プロ野球”といわれてぱっと思い付くのはセントラル・リーグ、パシフィック・リーグですが、それとは違う独立リーグ? それってどんな様子かしら? と見当をつけかねるレベルで野球に疎い私ですが、独立リーグの魅力、見どころポイントからはじまり、さまざまな人の視点でBCリーグのここが楽しいよ! のエールを読んでいるうちに、なんとなくそのわくわくの雰囲気が感じられるようになり、やがて気になるキーワードが出てきました。

それは「近さ」。活躍する選手を間近で見ることができる、声援が聞こえる距離、時には試合前後に会話できることも!? という、リアルでうれしい近さや、身近な球場で試合があったから行ってみたらハマったなどの、「近さ」が文章やマンガで次々と繰り出されてきます。けれどそれだけにとどまらず、選手や監督、チームに寄せる「心の近さ」を私は感じました。

同人誌 図書館 司書同人誌 図書館 司書 チーム紹介からスタート。短いながらも各球団の気になるポイントをチェック

試合のレポートも街歩きも、背伸びしない温かな応援の声

 寄稿の中に、BCリーグに所属する選手や監督の名前が何人も出てきます。期待している点やこんなプレイが良かったと評するのはもちろん、印象的なのは試合の前後について思いを込めた描写も多数。BCリーグに来る前、活躍、時には野球から離れることも……試合中だけでなく、選手の人生をも気に掛けるように長い目で見守るまなざしに、選手とのリアル距離の近さは心の近さでもあるのではないかと感じさせられます。

 さらにご本では人だけにとどまらず、球場に足を運んだ様子や遠征への旅路、各地に行ったときのパン屋さんのことなどなどが語られ、文章や写真、イラストやマンガで表現されています。文章もマンガも横書きという統一こそあれ、文字フォントなどの形式はさまざまで、なかには手書きのものも。このめいめいにできる表現の応援が不思議と心地いいんです。「近い」BCリーグに対して自分も無理やりに背伸びしないで、ほっと息を吐いてお付き合いできるような空気感とマッチしているように思います。

 そして身近=地味なんてことはもちろんなく、輝くスポーツ選手のまばゆさをぜいたくに堪能して「かっこいいよ!」「うれしいよ!」の感想がダイレクトに伝わって、読んでいるうちに「近さ」がなんともうらやましくなってきました。

同人誌 図書館 司書同人誌 図書館 司書 選手、チームのことからご当地の歩き方まで。文字も手書きの方が複数いらして、あたたかくてかわいい雰囲気が増してます

コロナ禍でも応援したい! を形に残して

 身近な親しみやすさを魅力に持つBCリーグですが、実はその分情報のたどりにくさは少しあり、今現在はより困難な状況にあるのかもしれません。

 例えば使用球場データの分析のページでは公式サイトがリニューアルされると、以前の出来事が途端にたどりにくくなることが指摘されていました。もともと大きくニュースになるような世界なら、一つの情報源が無くなってもネット上にほかの記事が残っている可能性は高いです。そして今までであればネットでかなわなければ紙媒体を探したり、選手やチームの今現在についてであれば「記事にならないなら自分の目で現場を見に行こう!」とフットワーク軽く補える面白さがあるはずですけれど、新型感染症の流行でなかなか難しい側面もありそうです。

 実は2020年5月に発行されたこのご本も当初は開幕直後の様子を熱く語る予定だったそうです。けれど実際には試合もできない状況下で……。そんな中、それなら! とこれまでを振り返って、今できることで自分たちの大切なものの魅力を伝えたい! と前に進まれ、本書を発行されたことはとても力強く感じます。

 BCリーグをはじめ、多くのスポーツが対策を講じながら試合を行っています。対策の絶対の正解の確立が難しい中、今までと、これからの間の中で「好きなものを今できる形で応援して行こう!」の声がしっかり詰まった熱があることがうれしくなりました。

同人誌 図書館 司書 対戦相手チームの独自作法に驚く……! ※徳島インディゴソックスは四国アイランドリーグplusのチームです

サークル情報

サークル名:ハチマキ球団

募集URL:https://www.asahi-net.or.jp/~eh1t-krd/BCLDojin/index.html

連絡先:bcleaguefun.dojin☆gmail.com(☆→@)、eh1tkrd+dojin☆gmail.com (☆→@)中の人(ハチマキくろだ)

Twitter:@BCLDojin@hatimaki_kuroda

現在入手できる場所:メロンブックスBOOTH

参加予定イベント:新潟コミティア(9月6日)、関西コミティア(9月27日)、北海道コミティア(10月11日)、おもしろ同人誌バザール(11月1日)など



今週の余談

 気を抜いたらずーっとアイスクリームが食べたくなるような日々です。この夏のヒットはアイスが入った大福です。おなじみなんですけど、あらためてしみじみおいしくてアイスクリームなのにかみしめる心持ちです!

みさき紹介文

 図書館司書。公共図書館などを経て、現在は専門図書館に勤務。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。


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