選手との「近さ」が魅力 プロ野球の独立リーグ“ルートインBCリーグ”の面白さを伝える同人誌『BCリーグ応援し隊2020夏ver』:司書みさきの同人誌レビューノート
セ・パだけじゃないんです。
8月も下旬を迎え、一層セミの鳴き声がにぎやかです。驚くほどの暑さが続く中、今回も熱い同人誌をレビューします。
今回紹介する同人誌
『BCリーグ応援し隊2020夏ver』A5 92ページ 表紙カラー・本文モノクロ
責任編集:ハチマキくろだ
近い! BCリーグの魅力を伝えたい
こちらはプロ野球の独立リーグ、ルートインBCリーグ(以下BCリーグ)のファンによる同人誌で、この号では12人の方々が思い思いに応援の声をつづった合同誌となっています。
北陸、信越、関東地方を中心としたチームにより構成され、2020年は12球団が参戦しているBCリーグ。“プロ野球”といわれてぱっと思い付くのはセントラル・リーグ、パシフィック・リーグですが、それとは違う独立リーグ? それってどんな様子かしら? と見当をつけかねるレベルで野球に疎い私ですが、独立リーグの魅力、見どころポイントからはじまり、さまざまな人の視点でBCリーグのここが楽しいよ! のエールを読んでいるうちに、なんとなくそのわくわくの雰囲気が感じられるようになり、やがて気になるキーワードが出てきました。
それは「近さ」。活躍する選手を間近で見ることができる、声援が聞こえる距離、時には試合前後に会話できることも!? という、リアルでうれしい近さや、身近な球場で試合があったから行ってみたらハマったなどの、「近さ」が文章やマンガで次々と繰り出されてきます。けれどそれだけにとどまらず、選手や監督、チームに寄せる「心の近さ」を私は感じました。
試合のレポートも街歩きも、背伸びしない温かな応援の声
寄稿の中に、BCリーグに所属する選手や監督の名前が何人も出てきます。期待している点やこんなプレイが良かったと評するのはもちろん、印象的なのは試合の前後について思いを込めた描写も多数。BCリーグに来る前、活躍、時には野球から離れることも……試合中だけでなく、選手の人生をも気に掛けるように長い目で見守るまなざしに、選手とのリアル距離の近さは心の近さでもあるのではないかと感じさせられます。
さらにご本では人だけにとどまらず、球場に足を運んだ様子や遠征への旅路、各地に行ったときのパン屋さんのことなどなどが語られ、文章や写真、イラストやマンガで表現されています。文章もマンガも横書きという統一こそあれ、文字フォントなどの形式はさまざまで、なかには手書きのものも。このめいめいにできる表現の応援が不思議と心地いいんです。「近い」BCリーグに対して自分も無理やりに背伸びしないで、ほっと息を吐いてお付き合いできるような空気感とマッチしているように思います。
そして身近=地味なんてことはもちろんなく、輝くスポーツ選手のまばゆさをぜいたくに堪能して「かっこいいよ!」「うれしいよ!」の感想がダイレクトに伝わって、読んでいるうちに「近さ」がなんともうらやましくなってきました。
コロナ禍でも応援したい! を形に残して
身近な親しみやすさを魅力に持つBCリーグですが、実はその分情報のたどりにくさは少しあり、今現在はより困難な状況にあるのかもしれません。
例えば使用球場データの分析のページでは公式サイトがリニューアルされると、以前の出来事が途端にたどりにくくなることが指摘されていました。もともと大きくニュースになるような世界なら、一つの情報源が無くなってもネット上にほかの記事が残っている可能性は高いです。そして今までであればネットでかなわなければ紙媒体を探したり、選手やチームの今現在についてであれば「記事にならないなら自分の目で現場を見に行こう!」とフットワーク軽く補える面白さがあるはずですけれど、新型感染症の流行でなかなか難しい側面もありそうです。
実は2020年5月に発行されたこのご本も当初は開幕直後の様子を熱く語る予定だったそうです。けれど実際には試合もできない状況下で……。そんな中、それなら! とこれまでを振り返って、今できることで自分たちの大切なものの魅力を伝えたい! と前に進まれ、本書を発行されたことはとても力強く感じます。
BCリーグをはじめ、多くのスポーツが対策を講じながら試合を行っています。対策の絶対の正解の確立が難しい中、今までと、これからの間の中で「好きなものを今できる形で応援して行こう!」の声がしっかり詰まった熱があることがうれしくなりました。
サークル情報
サークル名:ハチマキ球団
募集URL:https://www.asahi-net.or.jp/~eh1t-krd/BCLDojin/index.html
連絡先:bcleaguefun.dojin☆gmail.com(☆→@)、eh1tkrd+dojin☆gmail.com (☆→@)中の人(ハチマキくろだ)
Twitter:@BCLDojin、@hatimaki_kuroda
参加予定イベント:新潟コミティア(9月6日)、関西コミティア(9月27日)、北海道コミティア(10月11日)、おもしろ同人誌バザール(11月1日)など
今週の余談
気を抜いたらずーっとアイスクリームが食べたくなるような日々です。この夏のヒットはアイスが入った大福です。おなじみなんですけど、あらためてしみじみおいしくてアイスクリームなのにかみしめる心持ちです!
みさき紹介文
図書館司書。公共図書館などを経て、現在は専門図書館に勤務。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
関連記事
- 「10年後には朽ちるものを100年後に延ばす」 博物館の裏方描いた漫画が驚きの連続
『ただいま収蔵品整理中!Vol.1』『ただいま収蔵品整理中!金属保存編』をご紹介。 - アフリカで初音ミクのライブをやってみた 一人の教師が実現させた異国の”ミクライブ”
今回は初音ミク愛にあふれた『Miku in Africa』をご紹介。 - 決してひと事ではない? 同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』
忘れたと確信したときのドキドキ感……。 - 全国各地の“恐竜像”を1冊に 220カ所ものスポットを紹介した「日本全国恐竜公園ガイド」にワクワクする
そんなところにもいるの!? - こんなの待ってた! アメコミの効果音を集めた辞書がマニアックすぎて心くすぐる
今週はサークル「FANDOMAIN」さんの同人誌「アメリカンコミックス効果音辞典 スーパーヒーロー誕生から70年代まで」をご紹介。 - 国体初のマスコット”未来くん”を小説に 同人誌『古都こと奇譚』は京都を舞台にしたキャラクターたちの物語
皆さんの町にも、人気を博したキャラクターがきっといるはず。 - 炎の揺らめきと溶けた金属 職人自ら撮影した鋳物製造の写真集『滴る金属』
こだわりが詰まってる。 - “お江戸のコミック”を現代語訳 同人誌『黄表紙のぞき』が江戸文化の扉を開く
難易度の高かった「くずし字」を読みやすく。 - これまで撮った「片手袋」の写真は4000枚超 築地に通って約20年、“片手袋研究家”による同人誌が奥深い
趣味、ここに極まれり。 - 理学部生だったあの頃の自分に伝えたい 作者の後悔から生まれた同人誌『理学部生を手伝うイモリ』
イラストはかわいいけど中身はマジ。 - “テレポートするナメクジ”を追った5年間 調査の内容をまとめたレポマンガに興奮を隠せない
104ページという力作。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
-
60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
-
「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
-
皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
-
真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
-
71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」