直江津駅「鱈めし」(1200円)〜駅弁屋さんの厨房ですよ!(vo.22「ホテルハイマート」編-1)
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年3月2日)
北陸新幹線・長野〜金沢間が開通して、令和2(2020)年3月14日で5周年。
E7系・W7系新幹線電車による「かがやき」号は、東京〜金沢間を最速2時間28分で結ぶ一方、新たに設けられた途中の飯山、上越妙高、糸魚川、黒部宇奈月温泉などの各駅へは在来線特急の愛称からコンバートされた「はくたか」号が停車していきます。
豪雪地帯を走ることもあり、さまざまな設備が施された「雪に強い新幹線」でもあります。
北陸新幹線・上越妙高駅も、この春で開業5周年。
構内には、直江津を拠点とする「ホテルハイマート」の売店、「駅弁 山崎屋」があります。
「伊東」「小淵沢」「水戸」「出水」「長岡」「米沢」「松阪」「横浜」「姫路」「修善寺」「富山」「仙台」「一ノ関」「米沢」「山形」「郡山」「大館」「新津」「新潟」「新潟」「新津」と巡ってきた「駅弁屋さんの厨房ですよ!」、第22弾は「株式会社ホテルハイマート」にお邪魔しました。
「駅弁大将軍」を2回獲得! ホテルハイマートの駅弁!!
「ホテルハイマート」は、昨年(2019年)秋、東日本エリアを中心に行われた駅弁の人気投票「駅弁味の陣2019」で、出品した「さけめし」が見事、トップの「駅弁大将軍」に輝きました。
じつは第1回“味の陣”で大将軍に選ばれたのも、ホテルハイマートの「鱈めし」(1200円)。
今回は、直江津駅前のホテルハイマートで、この「鱈めし」と「さけめし」の製造過程に密着。
まずは、“初代”駅弁大将軍の「鱈めし」に注目していきます。
ホテルの厨房の一角で生産が行われている「ホテルハイマート」の駅弁。
駅弁大将軍を獲得した駅弁「鱈めし」「さけめし」に共通しているのは、「汐昆布の炊き込みご飯」と小箱の容器です。
妙高山麓で生産されたブランド米・矢代米(矢代産コシヒカリ)に汐昆布を炊き込んだご飯は、温かいうちに盛り出され、粗熱が取れると、1つ1つ手作業で詰められていきます。
仕込みから約1週間! 手間をかけて作る「鱈めし」!
ご飯の上に錦糸玉子を敷き詰め、メインの「鱈の甘露煮」を載せていきます。
じつはこの甘露煮、駅弁では珍しいくらい、とても手間をかけて作られています。
まずは棒鱈を2日間水に浸し、水が汚れてくると、その都度変えていきます。
仕込みを終えた鱈を、しょうゆ・みりん・酒をベースとしたホテルハイマートの秘伝のたれで、6時間にわたって、大きな鍋でコトコトと煮込んでいきます。
このときに使われるのが、佐渡産の竹で編んだという「竹籠」。
板前さんが鍋の近くに付いて適宜、ユサユサと籠を揺らしながら、煮くずれを起こさないよう十分に注意して、じっくりと煮るのだそう。
ちなみに、鍋には昆布と梅干が隠し味で入っているのだとか。
開発した先代の板長さんの技が、骨までやわらかい鱈の甘露煮を生み出しているのです。
炙りたらこが添えられ、「親子」の味が楽しめる鱈めし!
隣の“島”では、たらこが1つ1つ手作業で炙られていました。
もちろん、ココにも板前さんが付きっきりです。
焦げ目が付き過ぎず、なかの赤身が少し残った、思わずうっとりするような焼き上がり。
炙られたたらこは、食べやすく切られて、1枚ずつ甘露煮の隣に並んでいきます。
甘露煮の甘さと、炙りたらこの塩辛さが、絶妙な味のバランスを生み出します。
さらに、鱈の親子漬けや野沢菜のわさび漬けが、小箱のすき間を埋めていきます。
梅干し、奈良漬け、はじかみが載せられて、ようやく盛り付け終了。
盛り付けだけであれば、1分とかからない駅弁も多いなか、ホテルハイマートの「鱈めし」は、約10〜15分かけて、すべて手作業でゆっくりと作られていきます。
この「丁寧な」駅弁作りが、「駅弁大将軍」の原動力となっているのかもしれません。
盛り付けが終わると、セロファンのシートが敷かれ、ふたが閉じられました。
割り箸を挟み込んで、スリーブ式の包装をスッとはめ込んで一丁あがり…ではなく!!
もうひと手間、赤い紐を十字にかけて、しっかり紐綴じが行われます。
やっぱり、この紐がけが「駅弁」の真骨頂!
いただく人の心をくすぐるポイントが満載の「鱈めし」、ついに完成です!!
【おしながき】
- 汐昆布の炊き込みご飯
- 鱈の甘露煮
- 炙りたらこ
- 鱈の親子漬け
- 錦糸玉子
- 野沢菜わさび漬け
- 奈良漬け
- 梅干し
- はじかみ
コトコト煮込まれ、たれの味が沁みわたっていることが実感できる、鱈の甘露煮のテカり。
表面はカリッと、なかはウェットな食感が心地いい炙りたらこ。
酒好きをはじめ、1度いただくとまたいただきたくなる味が、小箱にギュッと詰まっています。
全国の駅弁でも珍しい「鱈」を食材として使った駅弁は、全国随一の手間をかけて作られている駅弁でもあるのです。
平成14(2002)年から販売されている、ホテルハイマートの「鱈めし」。
この鱈めしを手にして、直江津駅のホームに昔ながらの籠を首から下げて立つのは、ホテルハイマートの下井道夫(しもい・みちお)さんです。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第22弾・ホテルハイマート編、次回は下井さんの立ち売りに密着しながら、「さけめし」の製造の様子もご紹介してまいります。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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たくさんあって迷いますよね。
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