直江津駅「とりめし」(1000円)〜地域の宝! えちごトキめき鉄道・二本木駅のスイッチバック
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年3月7日)
新潟県最初の鉄道・旧信越本線の直江津〜関山間。
現在は、「えちごトキめき鉄道」の妙高はねうまラインとなっています。
通常はJR東日本から譲渡されたE127系改めET127系電車が、2両編成・ワンマン運転で、妙高高原〜直江津間を往復しています。
妙高高原では、「しなの鉄道」北しなの線の列車と接続しています。
妙高はねうまライン最大の見どころといえば、何といっても「二本木駅」。
二本木駅には、明治43(1910)年築という、昔ながらの木造駅舎が残されている他、全国でも希少な「スイッチバック」のある駅として、鉄道好きならまず知らない方はいない駅です。
現在、駅舎は喫茶「なかごうさとまるーむ」となっており、週末には「えちごトキめきリゾート雪月花」もやってきて、地元の特産品などが販売されています。
「スイッチバック」は、勾配のきつい坂を登り降りするため、ジグザグに敷かれた線路。
特に蒸気機関車がけん引する汽車の時代は、急勾配の途中に駅を設けることができず、平坦な場所に駅とホームが設けられました。
左手からやって来た直江津からの妙高高原行の列車は、一旦、二本木駅を通り過ぎた後、進行左手にある雪囲い(大正11(1922)年築)に覆われた側線に入ります。
そして、列車はバックで二本木駅へと入線してきます。
奥には妙高高原からの下り列車も、二本木駅へ向け、山を下ってくるのが見えますね。
昭和40年代の電化後は、スイッチバックの必要性はなくなりましたが、二本木駅から「日本曹達株式会社」への専用線が設けられていたため、スイッチバックが残されました。
いまや駅舎などが国の登録有形文化財となり、「地域の宝」として大事に使われています。
歴史が感じられる妙高はねうまラインの旅には、直江津駅・上越妙高駅弁を手掛けている「ホテルハイマート」のなかでも、「とりめし」(1000円)がお薦めかもしれません。
以前は冬季限定販売の駅弁でしたが、現在は通年販売となりました。
また、数年前からレトロな昔の掛け紙が復刻されており、結ばれた黄色い紐をほどきながら、懐かしい気分で駅弁を味わうことができるようになっています。
【おしながき】
- 白飯(矢代産コシヒカリ)
- 鶏肉、鶏そぼろ
- ガリ
- 野沢菜わさび漬け
- 香の物
矢代米(矢代産コシヒカリ)の白いご飯の上に鶏そぼろが敷かれ、その上に5枚の鶏肉が載ったシンプルな「とりめし」は、少なくとも30年以上のロングセラーなんだそう。
魚介系駅弁のバリエーションが豊富な直江津・上越妙高の駅弁にあって、希少な肉駅弁。
比較的あっさりとした味付けで、ライトな感覚でいただくことができるのも嬉しいものです。
明治以来の鉄路に揺られながら、のんびりとした気分で味わいたい駅弁です。
例年の冬なら、1m以上の積雪も珍しくない新潟・上越地方ですが、今冬はかなり少なめ。
地元の方からは、「太平洋側になったような気分だ」といった喜びの(?)声も聞かれました。
とはいえ、観光的にはやっぱり「雪を求めて」訪れる方が多いもの。
短期的に(日々の暮らし)は楽ですが、長い目で(経済的に)見ると、少雪は大変なのかも。
暑さも寒さも、雨も雪も、人やお金の巡りも、“程々”にあってほしいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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