「まだ出会っていないのかもしれないですね……?」 松本穂香×瀬戸利樹、“本音”をさらけ出せる存在を語る 映画「君は彼方」インタビュー(1/3 ページ)
和気あいあいと語ってくれた松本さんと瀬戸さん。
俳優の松本穂香さんと瀬戸利樹さんが声優を務める、映画「君は彼方」が11月27日(金)から全国公開されます。
長編劇場アニメーション作品はキャリア初となる瀬名快伸さんが監督・脚本・原作を務めた同作。芸術、映画、漫画やアニメなどにゆかりのある池袋を舞台に、自分に自信がなく本当の気持ちにふたをしてしまう女の子が自身と葛藤する青春ファンタジーが描かれます。
主人公の澪(松本さん)は、学校の授業は手抜き、宿題も後回し……と諦めがちで努力が苦手な女の子。そんな澪は幼なじみである新(瀬戸さん)のことが少しずつ気になっていくものの、良き理解者である親友の円佳(小倉唯さん)から新への気持ちを告げられることに。素直になれない澪は、新によそよそしい態度をとってしまいすれ違っていく日々。そんな中、澪が交通事故に遭い、意識を取り戻した目の前には不思議な世界が――。
澪が行き着いた不思議な世界の中で、元の世界に戻るためには“帰りたい強い気持ち”が必要。その中で、思いを伝えることの難しさや、伝えることができなかった後悔、本心と向き合いもがく姿が描かれています。そこで、幼なじみ役を演じた松本さんと瀬戸さんに、後悔や本音との向き合い方について聞いてみました。
“エチュード(即興劇)”で打ち解けた2人
――松本さんは2019年公開の映画「きみと、波にのれたら」に続く2度目の声優です。堂々とした声の演技の印象を受けましたが、主人公を演じることにプレッシャーはありましたか?
松本: プレッシャーというよりも主役に私を選んでくださったことが素直にうれしかったです。
最初、監督が事務所まで来て下さって「松本さんにお願いしたい」とすごく熱い言葉でオファーしていたんです。収録前にも監督と2人でリハーサルをやらせていただいて。収録を終えてみても普段のお仕事でも感じたことのない熱量というか、本当に良い経験になったなと思えることがたくさんあって、すごく良い時間を過ごさせていただいたなっていう気持ちです。
――瀬戸さんは声優初挑戦でした。刺激を受けたことはありましたか?
瀬戸: 初挑戦だったこともあって、どういう風に進んでいくかも分からなかったんですが、声を収録する前にレッスンを受けさせていただきました。そこで、声優の基礎だったり自分の声の音域を知ったりしてから、アフレコに臨むことができたのは本当に良かったです。
もちろん、松本さん演じる澪が本当にすてきだったので、とにかく幼なじみとして、その空気感に溶け込みたいなと思って必死にやりました。
――幼なじみ役を演じるにあたって、お2人で何か相談などされましたか?
松本: 瀬戸さんとは、初対面で緊張していたこともあって。監督が声をかけてくださって、収録前に瀬戸さんと「エチュード(即興劇)」をしました。エチュードは、設定だけ与えられてアドリブでお芝居を進めていくというもの。そのときは「デートで美術館を回る」という設定でのお芝居をやりました。そういう風に、私たちが緊張せずにやりやすい空気を監督が作ってくださったんです。
瀬戸: 即興劇をやっていなかったら、たぶん僕の中では全く違っただろうし、緊張感も良い感じにほぐれました。
松本: 面白いですよね。ちょっとしたことで、いろんなことが変わってしまうので。
――俳優のお仕事をされているお2人にとって、声だけの演技はいかがでしたか?
松本: 細かい音のお芝居は苦戦しました。例えば、少し息を漏らすシーン。アニメの映像の中で、口を少し開けるだけでも、「あぁ……」みたいに細かくて絶妙な音を出さないといけない。普段のお芝居では、声を漏らすとしても自然に声が出ているものなので。意識しながら登場人物の表情に合わせていく作業は初めてで、面白かったです。
瀬戸: 自分の普段出している声より気持ち低く出すように、声の音域をすごく意識しながらやりました。あとは、普段お芝居するより声を張り気味だったので、自分の中で違和感がありつつも、収録したものを聞いてみたら、やっぱりあのくらい声を出して良かったな、と。不思議だなーと思いつつも、面白いなって思いました。
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