【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】世界最速RTAプレイヤーが語る「シルバーサーファー」の魅力(1/2 ページ)

RTA in Japan 2019で同作を走ったEiP25さんによる解説。

» 2020年12月31日 16時00分 公開
[ねとらぼ]

 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は、世界最速記録を持つRTAプレイヤーによる「シルバーサーファー」(NES)の紹介です。

世界中のRTA記録が集まる「speedrun.com」にて1位の記録保持者(29分12秒/Any%)

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「シルバーサーファー」(EiP25さん/@smb2_aiai

 「シルバーサーファー」とは、1990年にArcadia SystemsからNES専用ソフトとして発売された、マーベル・コミック作品の1つ『Silver Surfer』を題材とした横スクロールシューティングゲーム(以降STG)です。本作品は、その圧倒的難易度から悪い意味で有名です。

このゲームの魅力

 本作品最大の魅力は何と言ってもそのBGMです。

 海外版ファミコンであるNESのソフトということで、同時に鳴らせる音は4音+ノイズのみ(効果音で1チャンネル使うため、実質3音+ノイズのみ)でなおかつ拡張音源を使うことができないという制限のなかで、15歳からプロ作曲家として活躍しているティム・フォリン氏は到底NESとは思えない音楽を作り上げます。同氏が作る曲はどれも素晴らしいものばかりですが、中でもシルバーサーファーのBGMは特に高い評価を受けています。

 また、グラフィック面でも非常に素晴らしい出来であり、同時期のゲームの中でもかなり高いクオリティを誇っています。

世間ではクソゲーと言われている理由

 まず1つ目の要素として、STGとしてあるまじき自機の当たり判定の大きさが挙げられます。

 本来、自機の当たり判定は見た目より小さいのが一般的だと思われますが、シルバーサーファーに関しては、見た目通りの判定となっています。つまり、サーフボードの先までしっかりと被弾します。

 また、一部の地形や敵は見た目より大きい詐欺判定となっており、どう見ても触れていないのに被弾してしまうということが多々発生します。当然、体力制ではないので1被弾で、残機は1つ減ってしまいます。

 2つ目の要素として、敵がとてつもなく硬いことが挙げられます。本作品は、パワーアップアイテムを拾うことで最大5段階まで弾の強化をすることができますが、フルパワーになっても大半の敵を一撃で倒すことができません。

 しかも高速で飛び回る敵が多いため、「弾がそもそも当たらない、当てても死なない」といった状況に陥ります。なお仕様として、被弾するとパワーアップが全てなくなり初期状態になるため、後半のコースで被弾した場合、敵の硬さと速さと物量に対処できずそのままゲームオーバー、なんてことが日常茶飯事です。

RTA in Japan 2019で同作の走者として登場した際、まさにその展開に。見てる側まで手に汗握るプレイで会場を湧かせました

 3つ目の要素として、これは時代的にしょうがないことではありますが、連射機能を搭載していません。つまり、今まで書いてきた内容を全て手動連打で進めていかなければなりません。そのためスムーズに攻略したとしても、少なくとも約30分間は連打し続ける必要があります。

 これらの要素が絡み合い、理不尽な難易度のクソゲーと呼ばれるようになってしまいました。

海外のクソゲーいじり動画「The Angry Video Game Nerd」にも登場

クソゲーとされる理由に納得できるか

 本作品は、NESのゲームということもあって実際にプレイして評価した人は少ないと思います。

 ここまでいろいろ理不尽な点を書かせていただきましたが、練習をすれば当然クリアできます。他にもいわゆる「鬼畜STG」と呼ばれているゲームはありますが、そういったゲームに比べれば絶対に簡単です。

 ただ、このゲームにそこまでの熱量を割かないだけなのです。

 ある程度やってみれば案外普通のSTGなので、聞きづてや動画を見るだけで本作品をクソゲーと呼ぶのは非常にもったいないことだ思います。

 なので、ぜひ皆さまにもプレイしていただきたいと思います。僕もやったんだからさ。

※なお、本企画は「インタビュー」として募集を行ったものの、作品愛ゆえか“完成した原稿”を送ってくださる方も。この記事はほぼ原文ママの掲載となります。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2505/15/news035.jpg “1K8.5畳”の新居を一人暮らし男子が模様替え→1年後…… 「もうホテルやん笑」生まれ変わった空間に驚き「こんな部屋に住みたい」
  2. /nl/articles/2505/18/news010.jpg 日本人のママと米国人のパパが国際結婚→生まれた子どもは…… 290万再生の“まさかの現在”に「びっくりしました」「心温まる」【海外】
  3. /nl/articles/2505/17/news021.jpg 50年間放置して“ジャングル化”したおばあちゃんの家 → 掃除したら…… “木の中から現れたもの”が170万再生 「予想を超えた」「ブラボー」【海外】
  4. /nl/articles/2505/18/news015.jpg シャンプーした柴犬、乾かしたら“ふわふわ”ではなく…… 飼い主驚がくの姿に「今年1番笑った」「そうはならんやろ」と370万表示
  5. /nl/articles/2505/17/news018.jpg 白猫だと思っていた子猫→4年後…… 「ええええ」飼い主も驚いた“現在の姿”が472万再生「不思議ですね〜」
  6. /nl/articles/2505/16/news039.jpg 古いセーターは捨てないで! チョキっと切って縫うだけで…… 毎日使いたくなる“ぬくもり雑貨“が112万再生 「最高に素敵」【海外】
  7. /nl/articles/2505/18/news005.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」 所有者に“他のレア品”を聞いた
  8. /nl/articles/2505/18/news030.jpg 「アムロ専用ザクか……」 ガンダムが奪われた世界でアムロが乗る機体を“妄想したガンプラ”に反響 「すごく“ありそう”」
  9. /nl/articles/2505/15/news025.jpg のどかな釣り場に現れた“妙に風格のある”おばあちゃん→釣り上げた“とんでもないヤツ”に仰天「本当におばあか?」
  10. /nl/articles/2505/13/news129.jpg 「ちょっと意味わからん」 藝大卒業生が“色鉛筆1本”で絵を描く→たった10分で…… 衝撃の仕上がりが100万再生「わぁー!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 急性骨髄性白血病で闘病中だったVTuber、死去 「復帰を目指して闘病」 専門学校の講師としても活動
  2. 万博の“着物ショー”に天皇陛下だけ許される「装束」登場で物議…… 「深くお詫び」主催者謝罪
  3. 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」 投稿者に話を聞いた
  4. 大人なら解けないと恥ずかしい? 「(1/8)−(1/8)」を計算せよ!【算数クイズ】
  5. 「女の子みたいな顔だね」と言われ続けた男の子、20歳になったら→「神がかってる」姿に驚がく 「人体の不思議」「オーラが凄い」
  6. 使わなくなったカラーボックス→“ずぼらシンママ”が簡単DIYしたら…… 天才的な仕上がりに「かしこーい!!」「これ作ってみよう」
  7. クリスマスに出会ったギャルとギャル男が21年後…… 誰も予想できない現在に「素直に凄い」「人に歴史あり」と称賛の声
  8. カルディ全店で販売の生ハムから「サルモネラ属菌」検出…… 「心よりお詫び」7万個自主回収
  9. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「待ってました!」 人気作の登場に混乱の懸念も「すぐ売り切れそう」「初週ヤバいぞ」
  10. お隣さんから丸見えの土地→巨大ウッドフェンスを7日かけてDIYしたら…… 雰囲気ガラリで「すごい大作ですね」「ワクワクした」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 築53年家賃4万円・何てことない団地のドアを開けると…… まさかの空間出現に驚きの声「素敵」「ここまでお洒落に」
  2. 小学生時代「こんなプラモ誰が買うんだよw」→40年後…… “大人になった”を実感するエピソードに「分かる」「特大ブーメランw」
  3. 49歳病没の大宮エリーさん、生前開催の個展で「体調も万全でなかったので不安」 3カ月前には苦しげな姿も「声が出にくい」
  4. 自販機に“1000円”を入れたら……? 出てきた“とんでもないお釣り”にお口あんぐり「こんなん初めて見た」
  5. 自宅の犬小屋に住み着いた野良猫、1年後の姿に「泣いた」と大反響 それからどうなった?現在の様子を聞いた
  6. 100万円の“錦鯉”を自宅の池に入れたら…… 「おかしいでしょ」3日後、まさかの事態に「鯉は難しい…」「信用が大切ですね」
  7. パパに、保育園へ行く娘のヘアアレンジを任せたら…… ママがひっくり返った“仕上がり”が400万表示「重力どこ?」「頑張った感がいい!」
  8. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  9. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  10. 「神パンツきた」 ユニクロ新作“3990円パンツ”が品切れラッシュの大人気 「過去イチかも」「本当にこれは買い」