【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】世界3位のRTA走者が語る「マインドシーカー」がただの運ゲーではない理由(1/2 ページ)

「自己のベストを尽くし、力を出し切ってからの『運』ではないでしょうか?」

» 2020年12月31日 13時00分 公開
[ねとらぼ]

 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回のテーマは「マインドシーカー」(FC)。ランダムに出題される5択問題などで超能力を開発するゲーム(という建前の運ゲー)として有名ですが、今回はそのRTA走者さんにお話を伺いました。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「マインドシーカー」(ロズテ姉貴さん/niconico:Ros.legenda

 1989年に発売された「マインドシーカー」(ナムコ)は、一般的には「運ゲー」として知られていますが、このゲームを愛し、RTAをしている者としては遺憾です。

 「マインドシーカーはただの運ゲーではない」ということを、ぜひとも皆さまに知っていただきたいと思っています。

「マインドシーカーRTA」を始めたきっかけ

 以前、ニコ生で定期的に「月例マインドシーカーRTA大会」が開催されていて、その主催者の方のブロマガを参考にしながら走ったのが最初でしょうか。2016年後半くらいです。

 実際に大会に出場したのは、2016年12月17日。そこで優勝をして一気にこのゲームにハマった記憶があります。翌年5月には自分でもRTA大会を主催し、惨敗しました。

 本作の魅力は、洗練されたグラフィックとサウンド。サイキッカーと近未来の生活を表現した背景やキャラクターデザイン、プレイヤーのフィール(第六感へのきっかけ)を最大限に引き出すように配慮された、落ち着いた透明なサウンドが秀逸です。

 そして、本作を遊ぶ楽しさとは「確率を超越した力を支配した感覚」になれることです。プレイするたびに研ぎ澄まされていく感覚や、前回のプレイと比較してプレイ内容の良い/悪いが比較しやすいのもポイントです。それはRTAの本質とも相違ないはずです。

 運だけのゲームと言われていますが、チャートの練り込み、練習、試行回数と地味ながらRTAとして成立するだけの要素を持ち合わせているのです。

確率vs超能力

 このゲームは大きく「卒業試験編」「街中での経験値稼ぎ編」「最終試練編」の3パートに分かれます。「卒業試験編」「最終試練編」は平均を大きく上回ってポイントを取って合格しなければなりません。確率を大きく超えた力、すなわち“超能力”を持たないと序盤の突破すらままならないのです。

 では、「マインドシーカー」の世界では確率は無能なのでしょうか?

 「街中での経験値稼ぎ編」では、確率を信じる力と“超能力”の合わせ技で、より高い経験値効率を求めることができます。例えば「5択を5回以内に当てる」という試験があるのですが、これは完全ランダムなのではありません。初手で様子を見ると確率で選択肢を絞ることができます。

 例えば、初手はランダムな1/5ですが、その出方次第で2手目は1/2、1/3に絞られます。漫然と1/5を選択し続けるより、絞った1/2、1/3が有利なのは言うまでもありません。絞った確率の先にあるのが1/2、1/3を引き当てる“超能力”です。

 確率と“超能力”は共存するものなのです。

 ゲームとして目標達成までの明確なルートがあり、ゴールもあります。多くが「運」に支配されているようにも見えますが、その実、確率と“超能力”、そして自分との闘いです。

 「運ゲー」の一言で片付ける前に考えてほしいのです。自己の鍛錬を怠っていないでしょうか? 自己のベストを尽くし、力を出し切ってからの「運」ではないでしょうか?

 一般的なプレイヤーがここまで到達するのは難しいので、「マインドシーカーは運だけのクソゲー」と言われるのも理解できます。

 しかし運とは、いうなれば不都合、不本意を受け入れることとは、まさに人生だと思いませんか?

 「マインドシーカー」とは、人の生きざまを求める、旅のようなゲームなのです。

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