【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】壮大過ぎてゲーム1作に収まらなかった「エルシャダイ」の物語(1/2 ページ)
プレイしても理解できなかったけど大丈夫か? → 『エルシャダイ原作小説』を読めば大丈夫だ、問題ない。
年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」というせりふで有名な「エルシャダイ」(PS3/Xbox)ファンの方にお話を伺いました。
企画:好きなゲームが世間のクソゲー
「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?
……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。
「エルシャダイ」の魅力(なおまささん)
聖書をベースとした設定のきめ細かさや神秘的な世界の映像美、それから、神の使いである主人公・イーノックが地上に堕ちた天使たちの捕縛に奔走するストーリーは壮大で魅力的です。
また、本作の一番の魅力はヒト、天使、堕天使たちという登場キャラクターにあると思います。
地上界を観察し続けた7人の天使たちは人間の恋愛や家族愛、進化の可能性などに惹かれて禁忌である堕天を犯してしまいます。「ヒトに惹かれた天使が描かれる」というだけで興味深く感じますが、決死の思いで堕天し作り上げた理想郷はどれもイビツで、ヒトを理解できない堕天使たちの悲哀さを感じさせます。
そういった世界を、天界に召し上げられた“ヒト”であるイーノックを通じて、巡ることができる点も面白いと思います。
世間ではクソゲーと言われている理由
ストーリーの説明不足に尽きると思います。
ゲーム発売後に刊行された原作小説と比べると、ゲームに収録された内容は6割程度です。省かれた描写も多く、断片的に語られる物語では全容をつかむのは難しいと思います。例えば、ゲームではカットシーンで唐突にキーパーソンが登場することがあり、キャラクターの相互関係や重要性が理解しきれません。
また、ゲームでは盛り上がりの肝となる中盤〜終盤にかけての物語がごっそり抜け落ちているので、仮に情報をしっかり拾いながらプレイできたとしても「ストーリーがつまらなかった」という感想を持つのが自然だと思います。物語を理解することが難しいうえに、もしも理解できたとしてもぶつ切りで終わってしまうのです。
以上の理由からクソゲー扱いを受けてしまうのも妥当だと思います。
もしもこれからプレイする人にアドバイスするとしたら
もしもこれから「エルシャダイ」を遊ぶ人がいたら、「小説、資料集を読む→ゲームを遊ぶ」という順番で進めることをおすすめします。資料集は最悪読まなくても大丈夫。ストーリーを解釈する手助けにはなりますが、省かれた物語が記載されているわけではありません。
ゲーム「エルシャダイ」は未完の作品といえます。小説や資料集を読んで練りこまれた設定、キャラクターの個性、壮大な人間ドラマの全容が頭に入った状態でプレイすれば、映像化された情景やキャラクターの掛け合いが楽しめるようになるのでは。また、イーノックに共感しつつ物語を追体験できると、きっと「エルシャダイ」というゲームへの認識も変わっていくと思います。
編集部によるおまけ情報:「エルシャダイ」のその後
ちなみに、「エルシャダイ」ポータルサイトの情報によると、同作は「リーマンショックによりスタジオの閉鎖を余儀無くされ物語が一部未完に終わったゲームです。そのやり残した想いが『神話構想』という形で、今も紡がれています」とのこと。
ゲーム「エルシャダイ」や「エルシャダイ原作小説」だけでなく、さらに「Elshaddaiメタ記」などの関連書籍があったり、2017年に共通した世界観を持つ『ザ・ロストチャイルド』というゲームが出ていたり……もう1つ言うと、steam版「エルシャダイ」の開発も行われているそうなのですが、この記事をまとめている途中にディレクター・竹安佐和記氏が「10周年までには出したい」とツイート。ちなみに発売が2011年4月28日なので、2021年4月末で10周年となります。
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