【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】発売前に期待が高まり過ぎたRPG「ラジアータ ストーリーズ」(1/2 ページ)

「クソゲーには程遠い良作だと考えています」。

» 2020年12月28日 15時00分 公開
[ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回はPS2向けソフト「ラジアータ ストーリーズ」ファンの方に、同作の魅力を伺いました。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「ラジアータ ストーリーズ」

 私が愛してやまないこのゲームには、妖精と人間が共存し監視者たる龍という存在に管理される世界観、運命に翻弄される主人公・ジャックとヒロイン・リドリーを中心とした心あたたまるとともに容赦のないストーリー、170人を超える仲間や「蹴りバトル」をはじめとした挑戦的なシステムなど、語りきれないほどたくさんの魅力があります。

 しかし発売当時の2005年、クソゲー・オブ・ザ・イヤー(KOTY)にノミネートされてしまいました。

世間ではクソゲーと言われている理由

 その理由はいくつかありますが、まず「発売前に高まった期待に対して、プレイヤーが満足できなかった」というものがあります。

 ゲームでの重大なシーンを思わせる場面(主人公がヒロインに武器を突きつける)がアニメとなりCMで放映されましたが、ゲーム中にそのものずばりという展開はありませんでした。

 また、開発を務めたトライエースは、バトルシステムに特徴のある長編大作RPGに定評がありましたが、「ラジアータ」のバトルは主人公しか操作ができないうえに爽快感があるとは言えず。また、ストーリー本編もボリュームがあるとは言いがたいもので、価格もディスク1枚のPS2作品としては高価(税別8000円程度)でした。

 そして何より、ゲームのエンディングがユーザーの解釈に委ねられたため、演出が非常に淡泊で消化不良に感じられたのだと思います。

 しかし、作品にしっかり触れることでその奥深さを感じられる、クソゲーには程遠い良作だと考えています。

このゲームの魅力

 私が好きな点を箇条書きで挙げていくと……

  • 王道ファンタジーで、ジャックとリドリーが織りなすボーイミーツガールなストーリーがコミカルに描かれる
  • コミカルでありながらも、ほのめかされる絶望的な状況の世界(資源の枯渇、戦争機運の高まり、奇病のまん延、繰り返される文明のリセット)
  • ゲーム内に時間の概念があり、200人を超す全キャラクターに24時間のタイムスケジュールが組まれているため、生きた世界を感じられる
  • 170人を超す仲間や仲間にならないNPCも含めて全員が個性的で、名前のないキャラクターを探す方が困難
  • 仲間の増やし方が楽しい、中にはアイドルの正体をつかむようなものも(なお、このアイドルは「ナミタマキ」といって、本作の主題歌を歌う玉置成実さんがモチーフです)
  • キャラクターが豊富なぶん、サブイベントも多数
  • ストーリーに分岐があり、「人間の国を救うためにヒロインを敵に回す人間編」「ヒロインと妖精を救うために人間を敵に回す妖精編」
  • 人間編ではメインヒロインが不在となる代わりに、24人のサブヒロインとデートイベントやエンディングを迎えることができる
  • 人間編で味わえる容赦のないエンディング
  • 妖精編のエンディングは細かい説明はなく、見方によってはハッピーエンドにもバッドエンド(大方がこの解釈)にも見えるもの
  • 絵本や童話の世界を思わせる、あたたかみのあるCG
  • 作品を盛り上げる、バラエティに富んだ音楽(楽曲は「グランディア」シリーズでおなじみの岩垂徳行氏)
  • 主人公は武器・防具の装備を変えることで見た目が変わる(リクルートスーツや主人公がロボ化するものもある)
  • 拠点となる城下町には下水道を兼ねた隠し通路があり、ゲーム世界の暗部を垣間見ることができる
  • ゲーム随所にあふれる遊び心(何でも蹴れる、主人公がくねくねと競歩、裏ボスがパンツ姿のマッチョだったりぺらぺらのラクガキだったり)
  • 一部の仲間キャラクターに設定された見応えのある必殺技
  • 簡単な操作ながら、リンク(陣形)システムと命令システムによりやり応えのある戦闘

 本当はもっと多く細かく、キャラクター一人一人に触れたいほどあります。

 もしもの話ですが、「ストーリーの展開に人間と妖精が敵対するものだけでなく、共存を目指すようなものがあれば評価は全く異なっていたのではないか」と思うことがあります。

 実際、発売直後に「隠し要素として共存編があるのではないか」という臆測が飛び交い、多くの人がそれを探し求めました。人間と妖精が手を取り合い、戦争も起きず、誰も死なない大団円の優しい世界なら、分かりやすくてウケが良かったと思います。

 しかし、そんな都合の良いエンディングがないのが「ラジアータ」が「ラジアータ」たるゆえんで、それゆえに記憶に残る作品になっているのではないかと思います。

 他に上げるとすれば、戦闘がもう少し軽快で、仲間キャラも自分で操作し装備が変更できて、共通ルートがもっと長く感情移入がしやすくて、最後のダンジョンがあと少しやさしければ良かったかなと思います。

もしもこれからプレイする人にアドバイスするとしたら

 ダウンロード配信やリメイク版もないため、今となってはなかなか気軽にプレイできるものではありませんが、もしもプレイしていただけるのであれば、最初から仲間を全員集めようと躍起になるのではなく、作品の雰囲気通り、気ままに楽しんでもらえたらと思います。

 その中で気に入るキャラが出てきたときには、しっかり24時間付きまとって愛でていただきたいです。そして、それぞれのエンディングでそのキャラがどうなったか思いをはせれば、きっとこの作品は忘れられないものになると思います。

 主人公ジャックとリドリーの話がもっと欲しくなったら、漫画や小説がおすすめ。ゲームとは違った展開、エンディングを味わうことができます。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」