【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】スクエニ“最狂の問題作”「THE QUIET MAN」はやっぱり2回遊ぶべき理由(1/2 ページ)
音声がなく言葉が聞こえない1周目。音声アリの2周目で描かれる言葉の無力さ。
年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は公式自ら“今世紀最狂の問題作”と称したシネマティックアクションゲーム「THE QUIET MAN」。
企画:好きなゲームが世間のクソゲー
「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?
……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。
「THE QUIET MAN」(エロ好き田ポル之助さん/@pornski_eros)
Steamでの評価は「ほぼ不評」。「IGN」は「ついに沈黙を破った『THE QUIET MAN』は実に不甲斐ない出来だ」と記事にし、レビュー収集サイト「Metacritic」による「Worst Game Award 2018」では1位に選ばれた作品です。
ゲームプレイに関しては基本的に納得しています。そんなに面白くありません。ですが、私にとっては耳が聞こえないことの疎外感などを真摯(しんし)に描こうとした傑作で、本作の魅力を伝えようと自分のブログ「泪の洋ゲー酒」に本作の記事を書きました。
※以下は当該のブログ記事「『The Quiet Man』は本当に狂気の問題作だったのか。父と子の物語として見ることでわかる言葉を超えた先にあるもの」(2018年12月24日公開)より抜粋、再構成したもの。全文読みたい方は、当該ブログ記事をご確認ください
「THE QUIET MAN」の1周目をプレイするべき理由
トレイラーで自身を「最狂の問題作」と振り返った「THE QUIET MAN」。1周目では音声が抜き去られており、物語の全容を解き明かす「The Answered」と呼ばれる2周目がプレイできるようになったのは、リリースから1週間後のことです。
なぜゲームの売れ行きを大きく左右する発売週の評判を捨ててまで、こんなことを行ったのでしょうか。
本作の準公式Twitterアカウントでも、音声のない1周目は苦行であることが認められています。もちろん嫌がらせではありません。どんなに苦行であっても、プレイヤー自身の手でプレイすることに意味があるからです。
「THE QUIET MAN」は、ろうあ者である主人公Daneとプレイヤーを無音の世界という共通点でつなげようとします。1周目を終えたプレイヤーは、きっとこの無音の世界に怒りや疎外感、無力感を覚えたことでしょう。
もしも主人公のように読唇術が使え、海外の手話を理解できる人なら、1周目の時点でストーリーの多くを理解できるはず。しかし、このゲームのプレイヤーのほとんどにはそんな技術はないでしょう。
苦行だった1周目を終えて2周目を始めると、主人公が「感覚していた世界」ではなく「理解していた世界」を追体験できます。誰がどのような声を発しているかが分かり、アクションシーンではBGMまで流れるようになっています。
1周目に比べると2周目はストーリーの全貌が分かり、そこでプレイヤーが見聞きするのは、言葉は通じても心が通じ合わない人々による悲劇の繰り返し。2周目で描かれるのは、言葉の無力さなのです。
主人公に投げられた、唯一見えない言葉
2周目でもっとも重要な情報は、主人公DaneとAsh警部補との関係です。1周目では彼らが親子であることに気付かなかった人もいるのでは。
また、主人公の幼少期におけるこの2人の関係が、1周目と2周目で真逆になった人もいるかもしれません。幼い主人公にはどうしようもなかった妻の死を執拗に責める父親の姿は、私が1周目をプレイしたときにはわが子を励ましているように見えていました。
父親とはいえ1人の人間。Ashの弱い心は、自らと息子を歪めてしまいます。
自分自身が許せないDaneは、いつか思い描いたヒーロー「Quiet Man」になるべく暴力性を磨き続けます。無敵のヒーローとしてさまざまな悪漢と戦っていたはずの主人公は、その実、歪んだ理想に取りつかれながら、過去を乗り越えようとあがいていたのでした。
親子は「亡き妻(母親)にそっくりな歌姫Lalaをどちらが救うか」という戦いを始めます。
(ネタバレ防止のため中略。元のブログ記事にはストーリー解釈などが書かれており、物語がつかみきれなかったときのプレイの参考になるかも)
ラストバトルの演出は、一般的に考えればとても陳腐なものです。行動ではなく言葉で語ってしまっているからです。しかし、1周目を乗り越えたプレイヤーならば、「仮面を被った相手の言葉は、読唇術を使う主人公には伝わらない」ということも同時に理解できるはずです。これを意識してエンディングの描写を見れば、本作のテーマである「言葉を超えた先にあるもの」がきっと見えてくるでしょう。
2周することで事件の全貌を明らかになることだけでなく、「主人公に何が伝わり、何が伝わらなかったか」も解明されます。
「THE QUIET MAN」が描こうとしたものとは
多くの人にはただのクソゲーとして映った作品ですが、私にとってはあまりにも衝撃的な内容、描こうとしたものの困難さ、そしてそれを伝えきった傑作として、心に残る出来でした。
確かにアクションシーンは説明不足、ストーリーは謎だらけです。しかし、こうして父と子の物語として見ていけば、全く過不足なく描写された物語だったと私は確信しています。
本稿があなたにとって「THE QUIET MAN」を考え直す機会になることを願って、この記事を終わろうと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
天皇皇后両陛下と愛子さま、“仲むつまじいショット” 女性皇族「ティアラ」にも注目…… 80万いいね
-
目からウロコな“ビニール袋のたたみ方”が100万再生 超便利な“裏技”に「こっちの方が絶対いい」
-
「目がバグる」 どこからどう見ても“平面”にしか見えない千葉のビルが話題 投稿者にその後を聞いた
-
“100歳おばあちゃん”の朝食作りに密着したら……驚きの姿と「最高の朝食」に大反響 2024年ねとらぼで読まれた【レシピ記事トップ5】を紹介
-
「WEST.」、メンバー結婚発表から“YouTube登録者2万人減” 目標の100万人を突破したばかりだった
-
サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
-
幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
-
「昔はモテた」と話す母→全然信じていない息子だったが…… 当時の“異彩を放つ姿”に驚き「わぁ!」「とても魅力的」【海外】
-
白髪でやる気がわかなくなった女性、“白髪手術“したら…… “二度見必至な若返り”に「ビックリ」「凄い変わり様」
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
- 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
- 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
- チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
- 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
- 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
- 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
- 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
- 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」