人狼プレイヤーが、宇宙人狼と名高い「Among Us」を遊んだらめちゃ面白かった件、及び人狼との比較:今日書きたいことはこれくらい(2/2 ページ)
遊んでみると案外人狼じゃなかった、けど大変面白いですねこれという話
Among Usと人狼の大きな大きな違いは、2つの言葉で表現できるのではないかと思っています。
その2つとは、
「怪しさ、あるいは怪しくなさがグラフィカルに可視化される」
「ゲームシステム的な勝ち筋が複数ある」
という2つ。
まず1つ目、「怪しさ、あるいは怪しくなさがグラフィカルに可視化される」というのはどういう話かといいますとですね。
人狼って徹頭徹尾「議論」のゲームだから、基本的にどんな情報も「言葉」でしか出てこないんです。占い結果だって霊能結果だって、誰かが議論ターンで口にしないと皆に情報が伝わらない。この人の話の反らし方はちょっと怪しいとか、頑張って情報を出そうとしているから村側っぽいとか、「言葉」を介してでないと怪しさを読み取れない。これはこれで、慣れるとすごく楽しいんですが。
一方、Among Usってあくまで「昼ターンの、シンプルなアクションゲームの行動を元に議論ターンで議論する」ゲームなんです。なので、「誰がどこで何してたか」っていうのが、議論における直接の材料になる。
これがものすごーーーく分かりやすくって、かつ楽しいんですよ。
人狼って、慣れない人にとってはどうしても「何しゃべっていいのか分からん」「どこを怪しんでいいのか分からん」という問題がついて回るんですけど、Among Usの場合は「私はずっとAさんと一緒に行動してました(だから私とAさんは怪しくないよ)」とか、「Bさんの死体を見る直前にCさんを見ました(だからCさんが怪しいと思う)」みたいな感じで、「ゲーム画面上で見た情報」がそのまんま議論の材料になるんです。
この人はちゃんと真面目にタスクをこなしていたっぽいな、一方この人はなんかふらふらしてたな、とか(もちろんカムフラージュかもしれないし不慣れなだけかもしれない)。
この人はずっと単独行動をしていて、他の人から見られてないから怪しいな、とか。
あれ、この人はエンジンのあたりにはいなかったはずだけど、今話していることと食い違うな、なんか怪しいぞ、とか。
この人が見たっていう光景とこの人が見たっていう光景、矛盾してるよな。どっちかがウソついてるぞ、とか。
アクションパートの材料が、即議論と結び付く。だから、議論パートで「何喋っていいのか分からん」という事態が極めて起きにくいし、一方「議論パートで話す材料を探さなきゃ」っていう明確な行動指針が昼パートにも発生する。みんなそれに基づいてどう動けばいいか考えるから、無言の連携が生まれる。
こういう、いわば「昼パートと議論パートの相互作用」が発生するんです。
例えば、なるべく複数人で行動してアリバイを作っておこう、とか。この人がなんとなく怪しいからそれとなく様子をみておこう、とか。あ、今あの人とすれ違ったな、これ覚えとこう、とか。こういうことを考えながらプレイするのがめちゃくちゃ楽しい。慣れてくれば慣れてくるほど楽しいです。
一方これは、インポスター側にとっては、「議論を誘導して、自分を白く見せかけるのがかなり難しい」ということでもある。人狼であれば口先三寸でごまかすこともできた場面で、「いやあなたの発言、私が見た内容と矛盾してますよ?」と言われちゃうと、ひっくり返すにはかなりテクニックが必要です。そこはそれで腕の見せどころなんですが。
アクションゲームと議論が裏表になっているからこそ発生する相互作用。これがAmong Usの面白さの、一つの中核であることは間違いないと言っていいと思います。
そしてもう一つ人狼との大きな違いが、「ゲームシステム的な勝ち筋が複数ある」ということ。これがゲームとしてはめちゃくちゃ大きいんですよ。
クルーは、インポスターを全員見つけなくても、タスクを全て片付ければ勝つことが出来ます。だからインポスターはタスクが片付く前に行動しないといけないし、一方クルーも皆でずっと一緒にいよう、というわけにはいかない。どこかで個別にタスクを片付けにいかないといけないし、そうなるとどうしても他の人とはぐれる時間は出てきてしまいます。結果、インポスターに狙われるリスクが高まる。
タスクを実施中は絶妙に視界が狭まって、周囲で何が起きているのか分かりにくいというのもうまいところ。「タスクを片付けていたら、ふと気が付くと自分のすぐそばに死体が転がっていた」なんてめちゃくちゃ心臓に悪いシチュエーションですよね。
タスク自体、大体は初見でもあっさりクリアできる程度に簡単ですが、たまーに手間がかかるタスクもあります。一度スキャンしてしばらくしてから戻ってこないといけない医務室でのサンプル採取とか、妙に反応が悪くて何度もやり直しを強いられるカードリーダーとか。
一方、インポスターはサボタージュという妨害行動もできて、中には一定時間内に対処しないとクルーが全滅してしまう(当然クルーの敗北)なんてサボタージュもあります。なんなら、クルーを殺害し切らなくても、サボタージュで勝つという筋が狙える場合もあるんですよ。
サボタージュを行って皆が対処に行く隙にクルーを殺害したり、残りクルーの人数が少ないところで致命的なサボタージュを仕込んで一撃必殺を狙ったり。インポスターの戦術もいろいろです。ちなみに、クルーは死んだ後も幽霊になってタスクを遂行できますが、インポスターも死んだ後サボタージュを実行できます。派手に暴れた後は、生き残った仲間のためにひたすらクルーの足を引っ張りまくるのもまた一つの戦術。
とにかくこの「タスク vs サボタージュ」という構図も絶妙で、隙をつこうとするインポスターと逃げ切ろうとするクルーの行動の駆け引きが無言のうちに繰り広げられる、これもまたAmong Usの面白さです。
また、インポスターはクルーには使えない「vent(通気口)」という移動手段を使ってワープすることもできます。普段はクルーと一緒に行動しながら、一瞬の隙をついてventで瞬間移動、他の場所にいたクルーをキルして何食わぬ顔で戻ってくる、なんて戦術が決まったら脳汁が出ます(ただし出入りしているところを見られたら一発アウト)。
このへん、「昼ターンがアクションゲームになっているからこその駆け引きとテクニック、そして議論の深み」については、人狼とはまた全く異なった味わいである、と言ってしまっていいでしょう。
設定の小回りが利いてすごい、という話と、唯一の問題点
ところでこのゲーム、もう一つすごいところは、「ものすごーーーーく設定の小回りが利く」ということです。
例えば、インポスターには殺害のクールタイムというものがありまして、2人も3人も続けて殺すことは出来ないようになっています。1人殺したらある程度待たないといけないんですね。
そのクールタイムを短くしたり長くしたり。あるいは、タスクの数と量、追放したプレイヤーの正体を表示するか否か、クルーやインポスターの視界の広さから足の速さから、とにかくありとあらゆる項目を設定でいじることができます。
結果、プレイヤーの習熟度や人数によって細やかに設定を変更できて、うまくゲームのバランスを取りやすいんですね。7人中インポスターが1人というのはちょっとインポスターが不利だから、キルのクールタイムを短くしてクルーにハンディつけよう、みたいな調整が非常にしやすいわけです。
この設定値を使ってAmong Usの中で全然違う遊びをする、なんてことも出来ます。例えば「ハイドアンドシーク(かくれんぼ)」なんてのがありまして、インポスターの視界を最小にして、クルーには最初からインポスターが誰かを開示してしまう。で、議論パートはなしにして、インポスターはクルーがタスクを全部遂行する前にクルーを殺しきれば勝ち、とか。同じシステムを使って全く違うゲームをすることもできる。
そういう「遊びの小回りが利く」ところも、Among Usの特長の一つだと思います。
フレーバー自体非常によくできていて、「密閉された宇宙船で殺人者たちとの生き残りゲーム」という時点でSFファンも垂ぜん間違いなしですが、例えばどこかの惑星の調査基地っぽいマップであるとか、「ふらふらとその辺を回っているだけで楽しい」という側面もあります。SFファンにも十分お勧めできるフレーバー。
と、ことほどさように「人狼っぽくて、けれど人狼じゃない」Among Usの面白さを多少はお伝えできたかなーと思うんですが、唯一問題点がありまして、それは
「野良だとあんまり議論が機能してない」
ということなんです。
特にSteam版だとまだ議論パートの日本語対応がされてないこともあって、チャットでの議論がろくに成立しないことは全く珍しくありません。「Blue」とか「I'm not inposter」とか一言だけしゃべってあとはずっと無言、という人の多いこと。しゃべって! もっとしゃべって!
こればっかりは「ボイスチャット万歳」としか言いようがなく、可能な限り事前に人を集めてdiscordでのボイスチャットなんかと連携して遊ぶとめちゃくちゃに面白いんですが、ここが若干ハードルを高くしてしまっていることは否定できないでしょう。
とはいえ面白いことは大保証できますので、特に人狼系ゲームが好きな人は、仲間を誘って遊んでみてはいかがでしょうか…!! と。めちゃ楽しいですよ……!!!! と。
そんな全力オススメ記事だったわけです。よろしくお願いします。
取りあえずインポスターでクルーを殺害して回るのがとても楽しいので、がんばってインポスターを練習したいと思います。見掛けたら追放しないで見逃してください。
今日書きたいことはこれくらいです。
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