「伝説になる名列車だ」「鉄道員の魂を感じ取った」 8時間遅れで東京着、常磐線特急「ひたち22号」感動物語(1/2 ページ)

東北新幹線と東北本線、常磐線には「深いきずな」がありました。

» 2021年02月17日 19時00分 公開
[呼んでる渋沢ねとらぼ]

 新幹線の再開まで任せろ──。品川駅と仙台駅を結ぶ常磐線特急「ひたち」の活躍が大きな感動を呼んでいます。

鉄道 常磐線 ひたち 地震 東北新幹線 東北新幹線、東北エリアの人を支える活躍を見せた特急「ひたち」(写真:呼んでる渋沢)

 2021年2月13日に発生した地震で設備障害が発生し、2月14日から東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線が特定区間で運転を見合わせ。全線復旧まで10日前後かかる見込みと告知されています(関連記事)

 現在、受験シーズンの真っ只中。人生・将来を掛けて移動する人も多くいました。那須塩原〜一ノ関駅間の上下線で終日運転を見合わせた東北新幹線の代わりに、JR東日本は東北から東京までの在来線迂回ルートの告知や代替輸送などとともに、仙台駅発着の「ひたち」を増発しました。

東北新幹線と東北本線、常磐線には「深いきずな」がある

 東京駅と盛岡駅を結ぶ「東北本線」、日暮里駅と宮城県の岩沼駅を結ぶ「常磐線」。どちらも首都圏と東北地方をつなぐ主要路線です。上野駅から東北地方へ向かう長距離列車は、どちらかの路線を経由して北へ向かいます。東北地方からはそれぞれの路線を使って東京までたどり着きます

 東北新幹線が開通したあとも常磐線の特急ひたちは上野駅と仙台駅間で走り続けました。東北本線で事故や災害が発生したときは、上野駅と札幌駅を結んでいた寝台特急「北斗星」が常磐線へ迂回して走ることもありました。

 東北新幹線と東北本線、常磐線は互いを支え合って走り続けるきずなで結ばれていました。

鉄道 常磐線 ひたち 地震 東北新幹線 寝台特急「北斗星」も障害発生時に常磐線を迂回したことがある(写真:呼んでる渋沢)

東日本大震災の壊滅的な被害から9年、常磐線が全線復旧

 2011年3月11日に発生した東日本大震災で常磐線は壊滅的な被害を受けました。路線が寸断され、首都圏と東北地方をつなぐ東北本線のバイパス路線としての役割を果たせなくなりました。特急ひたちも福島県のいわき駅止まりとなり、仙台まで姿を見せなくなりました。

 しかし、沿岸部から内陸部への線路移設なども含めた極めて大掛かりな復旧作業を終え、常磐線は2020年3月、9年ぶりに全線開通しました(関連記事)。特急ひたちも再び仙台に戻ってきました。

そしてかつての役割を取り戻す 悪天候でも、8時間遅れても、終点東京までたどり着いた「ひたち22号」

 2021年2月13日に発生した地震で、東北新幹線が一部不通に。全線復旧から1年経ったばかりの常磐線が補完することになります。そう、かつての姿と役割が戻ってきた瞬間でした。

鉄道 常磐線 ひたち 地震 東北新幹線 東北新幹線の迂回路として常磐線が使われる(JR東日本プレスリリースより

 中でも2021年2月14日、仙台発品川行きの「ひたち22号」が絶望的な悪天候の中、仙台駅出発時点で約4時間遅れという運休にもなりかねない状況ながらも運転を行いました。必要としている乗客のため、未来のある受験生のために──。東北新幹線が使えない中で東京行きの列車を維持してくれたことに、夢を結んでくれたことに安堵した人は多かったはずです。

 ひたち22号は行き先を上野駅に変更し、強風のため停止や徐行を繰り返しながらも約8時間遅れで終点の上野駅に到着しました。到着は深夜2時38分でした。

(参考)【感動】8時間遅れ、特急ひたち22号物語(がみ/YouTube)

 新幹線を支える常磐線の姿に「復活して本当に良かった」「常磐線の意地を感じた」などの声が多数。特にひたち22号の活躍に「伝説の名列車」「鉄道員の魂を感じ取った」などと喚起した鉄道ファンとともに、乗客のために尽力した姿に感動したツイートがたくさん投稿されました。

 東北新幹線の復旧まで、よみがえったばかりの常磐線とひたちが首都圏と東北地方をつないでくれることでしょう。人生も乗せて走る──。ひたち22号を意地でも走らせたJRの心意気にも感謝です。



       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/18/news145.jpg “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
  3. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/17/news197.jpg 「巨大なマジンガーZがお出迎え」 “5階建て15億円”のニコラスケイジの新居 “31歳年下の日本人妻”が世界初公開
  5. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  6. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  7. /nl/articles/2412/18/news059.jpg 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開【大谷翔平激動の2024年 「妻の登場」話題呼ぶ】
  8. /nl/articles/2411/25/news189.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. /nl/articles/2412/18/news056.jpg 日本人ならなぜか読めちゃう“四角形”に脳がバグりそう…… 「なんで読めるん?」と1000万表示
  10. /nl/articles/2412/17/news047.jpg 遊ばなくなった“シルバニアのおうち”を大改造したら…… 娘が喜んだ“すてきなアイデア”に「なんということでしょう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」