高2の娘と、「映画ヒーリングっどプリキュア」を見に行ったお話:サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)
「ヒーリングっどプリキュア」の映画
「プリキュア5」の登場が注目されがちですが、同映画はまさしく「ヒーリングっどプリキュア」の映画でした。「プリキュア5」の客演はアクションシーンが主で、物語的には、「ヒーリングっどプリキュア」がメインで展開します。
この映画は「親子の物語」です。
主人公、花寺のどか(キュアグレース)とその母親やすこさん、映画ゲストのゆめアールプリンセス、カグヤちゃんとその母親である我修院サレナの対比により「母子の思い」を浮かび上がらせるストーリーとなっています。
詳細はネタバレになるので言えませんが、カグヤちゃんを巡る母親の物語は、きっと子どもと一緒に来ているお母さん、お父さんにはグッとくるものがあるはずです。
自分も最後の挿入歌「やくそく」のときには、娘の前なのに泣きながら見ていました。
アクションシーンがカッコイイ
そしてこの映画、アクションシーンがとにかく超カッコイイのです。序盤からヒープリ勢+プリキュア5勢の計10人の共闘が描かれ、この映画でしか見られないコンビ共闘に「こういうの見たかった!」って動きまくる姿がカッコイイのです。
このアクションシーンを見るだけでも、この映画を見る価値があると思います。
公開されているだけでも、ヒーリングアニマルと合体した「パートナーフォーム」、キュアドリームとの「ドリームキュアグレース」、最終フォーム「ガクヤグレースフォーム」など多彩なフォームが用意され映画を彩ります。
特にパートナーフォームがカッコイイ。テレビ本編ではどうしても片手がヒーリングステッキでふさがれるためアクションが窮屈になる場面も多かったのですが、パートナーと合体することにより両手が使えるようになり、アクションの幅が大きく広がりました。パートナーフォームの変身バンク、必殺技バンクもあるので必見です。
「アクション映画を見たい」という方にもオススメできるレベルの超絶アクションを堪能してほしいのです。
プリキュアからのメッセージは子どもに伝わるのか
さて、プリキュアシリーズでは、その時々の子どもたちに向けてさまざまなメッセージが描かれます。
例えば2020年「ヒーリングっどプリキュア」では、「女の子はなんでも許してくれる女神ではない」といったメッセージが描かれました。
だけど、「そんな難解な主張は子どもには伝わらない」という意見も良く聞きます。子どもは楽しいシーンがあればそれで満足するし、教育的なメッセージは大人のエゴなのだと。
でもね。そんなことは絶対にないと僕は思うのです。
だって、プリキュアを見て育った僕の娘は、こんなにも明るく真っすぐに育っているのだから。
子どもの頃に見たプリキュアからのメッセージは、今すぐに理解できなくても、きっと心のどこかに残っていて、娘がピンチのときにこっそり助けてくれているのだと思うのです。
だからこそ、子どもの頃に見ていた「Yes!プリキュア5GoGo!」の6人が、今の娘のところに来てくれて、あの頃と同じ姿で凛々しく戦ってくれるのは、きっときっと娘の心に何かを残してくれたのだと思います。
もう手をつないで一緒に歩くことは無い
映画が終わります。
「ミルキィローズ、相変わらずかわいかった」とつぶやく娘と並んで劇場を後にします。一緒に並んで歩くのは何年ぶりでしょうか。
そのとき気が付きました。娘の歩くスピードが、いつの間にか自分よりも早くなっていることに。
もう、左肩を少し傾けて小指で手をつないで、ゆっくり歩幅を合わせて一緒に歩くことは無いのだな、なんてことを思いながら、先を行く娘の後ろ姿を見守りました。
初代「ふたりはプリキュア」放送開始の3カ月前に生まれた娘。自分のプリキュアの歴史は、娘の歴史でもあります。
初めて娘の姿を見たとき、そのあまりにも華奢(きゃしゃ)で壊れそうな姿に「これは、何としてでも守らないといけないのではないか」と気張って17年間、ずっとファイティングポーズをとってきたような気がします。
でも、自分より速く歩く娘の姿をみて、もうそんな必要も無くなったのかなと思います。
自分には何ができたのだろう。何かをしなければいけないと思いながら時だけが過ぎ、娘だけがどんどん先に行っている気がします。
この映画は「親子の物語」です。
親のエゴは肯定されるのか? 本当に子どもを思う気持ちとは何なのか。
お子様がいるお母さん、お父さんにはぜひ子どもと一緒にこの映画を見てほしい。きっと良い思い出になります。もちろん全ての映画ファンにもおすすめです。1人で見るプリキュア映画もとても良いものです。
そして何よりも「今を生きているたくさんの子どもたち」に見てほしい。歴史を紡いできた「プリキュア5」の姿を、コロナ禍の中、子どもたちのために一途に戦った「ヒーリングっどプリキュア」の姿を。
それは「プリキュアという体験」となって、きっと心に残り続け、自分がピンチのときにこっそり助けてくれることでしょう。当家の娘がそうであるように。
プリキュア映画って良いですよね。
生きてるって感じです。
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