クイズ番組の答えになることが最も少ない都道府県はどこ? 12番組を1年間調査した同人誌が趣味の塊司書みさきの同人誌レビューノート

きっかけは「数えてみたくなった」から。

» 2021年05月23日 12時00分 公開
[みさきねとらぼ]
同人誌 本棚 図書館 司書 コミケ

 「今年は梅雨入りがうんと早くて」と天気予報の声が聞こえてきました。いつか行きたい、また訪れたいと思っている地のお天気はどんな感じでしょうか。日本列島のまだ行ったことのない土地にも思いをはせながら、今回はそれぞれの県が気になってくる同人誌を手にしました。

今回紹介する同人誌

『47都道府県の中でクイズ番組の答えになることが最も少ないのは佐賀県』A5 64P 表紙・本文モノクロ

著者:いわのふみや


同人誌 図書館 司書 明るい黄色に言いたいことがぎゅっと詰まった表紙が目を引きます

12番組を1年間継続調査。クイズになる都道府県の数は驚き? 納得? の結果

 結果から言うと、1位は36回問題になった北海道で、最も数が少ないのは10回の佐賀県でした。こちらのご本では、2018年〜2019年にテレビ放送されていた12のクイズ番組を確認し、都道府県別に結果をまとめ、問題として登場した回数が多い順に並べられています。

 1位北海道(36回)、2位神奈川県(31回)、3位静岡県(26回)、4位山形県(25回)……と続くランキング形式になっていますが、その結果は魅力ある県調査や観光地ランキングとは必ずしも一致しないようです。実際の出題は観光スポットや名物はもちろん、駅弁、農作物の生産量など多岐に及んでおり、まとめられた問題を眺めていると、この土地ならこれを見ておくといいよ! とおすすめされているような、ガイドブックを読んでいる気分になりました。

同人誌 図書館 司書 1年間クイズ番組をチェック。集計のルールも記されています

脳内のアップデートも。土地の新たな一面を見る

 ご本は番組ごとにどんな問題が出されていたかの記録が主な内容ですが、ところどころに作者さんの見解が垣間見えるのも楽しいです。「農作物の収穫量問題で迷ったらとりあえず茨城と答えておくといいかも?」と書かれたコメントに、あらためて出題をたどるとメロンやいわし、ピーマンなどが挙げられており、「そうだったんだ!」と、この調査から都道府県の新たな一面を再発見しました。

 こちらに掲載されているのは2018年〜2019年のものです。現在の生産量や出荷量などは変わっていたり、いまならば新名所や新名物が問題になっているかもしれません。そんな「あの名物は問題になっていないの?」「今ならこの野菜は他県が伸びてるはず!」と己の知識と比べながら読むのも味わい深いのではないでしょうか。

同人誌 図書館 司書 添えられた似顔絵も作者さん作!

流れゆくクイズを誌面に留めて

 クイズ研究はジャンルとして大きく、高校生や大学生のクイズ研究会さんの存在、そのOBさんたち、クイズ番組の人気を見ても裾野は広く、問題の作成や解き方を楽しんでいる人も多くいらっしゃいます。そんな中でこのご本は、普段は映画評論の活動をされている作者さんが「数えてみたくなっただけ」という実にライトな理由でスタートされたことが記されています。けれど淡々と1年間カウントし「順位がおおよそ判明したころには、途中で打ち切ろうかなあと思ったこともありました」と迷いに揺れながらも調べきって作られたとのこと。面白そうと思った解を求めていくフットワークの軽さと、継続してやり遂げるこつこつとした調査力が、実直な誌面づくりながら突き詰めすぎない“ぬけ感”となって、ご本の親しみやすさにつながっていると感じます。

 テレビ番組のクイズは一瞬で解かれ、次の瞬間には新たな問題が提示され、まるで流れるように画面から消えていきます。それをあえて誌面に留め、振り返る面白さ。それに気付くと、クイズ番組もまた一味違った楽しみ方ができるかもしれません。

同人誌 図書館 司書 自分ならどんな問題にしようかな、と考えるのも楽しそう

サークル情報

サークル名:ヤガンEX

Twitter:@yaganfree

ブログ:https://yagan.hatenablog.com/



今週の余談

 47都道府県、まだまだ行ったことのない場所があちこちあります。旅先で図書館をのぞくのも楽しみの一つなのですが、土地ごとにいろんな傾向があるんですよー。いつか訪れたいところたくさんです。

みさき紹介文

 図書館司書。公共図書館などを経て、現在は専門図書館に勤務。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。


関連キーワード

同人誌 | 図書館 | コミケ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」