人魚のローラが「キュアラメール」に変身 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」で描かれた“足を得る”選択についてサラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

» 2021年06月24日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]
前のページへ 1|2       

人魚のままでプリキュアになることの是非?

 さて、この「キュアラメール」の誕生、子どもたちはもちろんのこと、大人プリキュアファンにも大きく響いたようです。放送終了後のTwitterの人気トレンドには「キュアラメール」が入り、大きく盛り上がりました。

 もちろん「ローラがプリキュアになれてよかった」という肯定的な意見が大半だったのですが、一部では「足を得るのではなく、人魚の姿のままプリキュアになった方がよかったのでは?」という意見も一部見られたことも事実です。

 もちろん、人魚スタイルではなく「足のある人間スタイル」になったのは、身も蓋もないことを言えば「商業上の理由」が1つにあるものと思われます(アニメ本編やプリキュアショーなどでも足がないと動かしづらいですしね。推測の域をでませんが)。

プリキュア アニメ ニチアサ トロプリ トロピカル〜ジュ!プリキュア ローラ キュアラメール 足を得て、うれしさのあまり泣き出すローラ

 ただ「人魚スタイルのままの方が良かった」という思いも分からなくもないのですよね。

 もちろんプリキュアは子どもたちのためだけに描かれるアニメであり、外野の大人ファンの意見に意味がないことは承知の上で、一部の大人のプリキュアファンたちがローラの初変身のときに何を思ったのか見ていきたいと思います。

人魚としてのアイデンティティー

 おもちゃなどの展開をみる限り、この先ローラは人魚姿に戻ることなく人間の姿のまま活動していくものと思われます。つまりローラは「人間になった」のです。

 ただ一部では「ローラには人魚の姿に誇りを持ってほしかった。わざわざ人間と同じ姿になる必要はあったのか?」「人魚の姿のままで、人と過ごせる世界の方が多様性のある健全な世界なのでは?」という言説も見られました。

 いわゆる「人魚としてのアイデンティティー」の提示方法に疑問を持った人も多かったようです。

 これに関しては、この先の展開でアイデンティティーの問題が解決するかもしれませんので何とも言えませんが、個人的には「人間になりたいと願ったローラが、人間になった」のですから、これ以上何も文句のつけようがありません。「なりたい自分になる」ことはずっとプリキュアで描かれてきたことであり、過剰な道徳的側面はあくまで副次的な要素だと思います。

 また一部では、人魚という存在を「ハンディキャップを背負った子どもたち」のメタファーとみなし、歩けることこそが良いことと一方的に定義づけるのではなく、むしろ人魚のままプリキュアとした方がハンディキャップを背負った子どもたちを勇気付けるのでは、という論調もありました。

 ただ、前作「ヒーリングっどプリキュア」のように医療がテーマの一つならともかく、今作の明るいテーマ的にも人魚が「ハンディキャップを背負った子ども」のメタファーとするのは、やや考えすぎだとも自分は思います。

 なまじローラの人魚姿でのポジションや振る舞いが完璧な立ち位置だったために、人魚姿のままでいてほしい、という気持ちも良く分かるのですけどね。

 とにもかくにも「自分で道を切り開き、プリキュアへとなった人魚ローラ」を祝福したいと思います。

ローラが一番やりたいこと

 ローラが「今、一番やりたいこと」は「まなつたちと一緒に過ごすこと」と明示され、晴れて人間になり「キュアラメール」へと変身しました。ではローラにとって作品のテーマでもある「今、一番大事なこと」は何なのでしょうか。「まなつたちと過ごしたい」の先にある彼女の「一番大事なこと」がこの先のローラの物語へとなっていくのではないでしょうか。

 この先ローラは「足を得ることができてよかったね」で終わるのか、それとも「足を得たことによる代償」が描かれるのか?

 明るく楽しい作風のトロプリですので、暗いお話にはならないと思いますが、この先の展開も楽しみですよね。

プリキュア アニメ ニチアサ トロプリ トロピカル〜ジュ!プリキュア ローラ キュアラメール ローラの一番大事なこととは

 さて、そんな魅力が詰まったローラなのですが、せっかくプリキュアになったことですし、ぜひたくさんの人に広めてほしいのです。

 ローラは(偶然かもしれませんが)“写して人に見せると病気から逃れられる”という「アマビエ」に似ている、と一部では言われています。

 みんなの手でローラの魅力を広めれば、子どもたち、そして世界が元気になり災厄も遠のくのかもしれません。

 2021年の人魚姫ローラは自分の手で道を切り開きます。人魚姫の物語は、足を得てからが本番なのです。

プリキュア アニメ ニチアサ トロプリ トロピカル〜ジュ!プリキュア 2020年はズレてしまった「アニメの登場」と「玩具の販売」の連動も2021年はバッチリです(画像はAmazon.co.jpから)

「トロピカル〜ジュ!プリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

関連キーワード

プリキュア | アニメ | 東映


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた