猫「お前の愛はハイオクか?」 毎年ラベルが怪文で人気の群馬地ビールが今年も意味不明だった
アナザースカイでアル中の猫が愛を説く。
ラベルに込められた鮮烈な詩で知られる、群馬県太田市のクラフトビールブランド「CHROA(クロア)」が2021年の新作を発売。「お前の愛はハイオクか?」とアル中の猫が問いかけ、飲む前から意識を揺さぶってきます。言われてみればレギュラーだったかもしれない。
無慈悲なモルトの爽快感を口に含むと目の前に広がるここがお前のアナザースカイ。
サイコパスな瞳のキラーパス みつめるキャッツアイ 現れる猫のトラボルタ。
愛の給油所に長蛇で並ぶ孤独な現代人たちにそっと寄り添い 麦芽猫は囁(ささや)く
「お前の愛はハイオクか?」
――CHROA TRAVOLTA
「お前は今幸せか?」「柑橘アロマと苦味の忖度(そんたく)」「麦芽娘のヘブン状態な味わい」など、独特のフレーズとフレーバーでファンを魅了してきたCHROA(関連記事1/2)。今回の「TRAVOLTA」では、飲むと広がるアナザースカイに、猫のトラボルタが愛を説く世界がうたわれています。
レッドエールの「UMBRELLA」も同時発売。世情を雨模様になぞらえ、「雨社会で大人を演じる全ての役者たち」へトラボルタが傘とアイラブユーを差し出す情景を描いています。
赤銅色の液体は密に群がるインターネッツなお前たち。
誹謗中傷のない世界とスマホ対応型の愛。
そして宇宙規模の忖度を感じたい現代人に捧げる麦芽猫からのアイラブユー。
この雨社会で大人を演じる全ての役者たちよ この傘を持っていくがよい。
――CHROA UMBRELLA
いずれの詩も具体的な味を伝えるものではありませんが、そもそもCHROAのコンセプトは「ビール業界にないファッション感覚と人間のサガやタブーを味とデザインでストレートに表現していく」こと。詩は味に従属する説明ではなく、ともにブランドを構成する同格の表現手法なのでしょう。読んで飲んで味わって、初めて1つの世界。
そんなCHROAをプロデュースしているのは、ミュージシャンとホームレスを経て世界的ファッションホイールデザイナーとなった異色の人物、片岡達也(@kataoka12201905)さん。編集部は新作に込めた世界について聞きました。
―― 新作のコンセプトは?
片岡 愛です。もう少し言うならば、今回は無味無臭の愛に感電したエレクトリックピープルの覚醒と旅立ちを2本組で構成されている感じです。コンセプトにまじめに愛を掲げるビールメーカーなどないでしょうが、ここにあります。
―― トラボルタはどんなキャラクターですか?
片岡 この時代、愛の給油所があったら、ガソリンを入れる車のように毎日長蛇の列になるでしょう。トラボルタはそこに住み着く、愛を説くアル中の猫です。
―― 猫を起用した理由は?
片岡 毎日、家の庭からリビングの俺をじっとみてる猫がいます。俺は動物は好きではない。ましてや人間はもっと嫌いです。だがコロナ禍において話し相手もいなく、真剣に猫語を学びたくなり、YouTubeで猫語を覚え、窓を開けて毎日ニャーと叫んでた時期がありました。
48歳悪人相の男が昼間から外に向かいニャーと叫んでる絵は通報ものですが、気づいたんです。俺の中に猫が住み着いてると。形にしなくてはと。
片岡さんが内に秘めた猫を体現した新作は、公式サイトで販売中。
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