軽自動車界のカリスマ、鈴木修語録(前編)(1/2 ページ)

あるときはユーモラスに、あるときは人生訓を。43年間スズキのトップに君臨した軽自動車界のカリスマ、鈴木修氏の取材を通して得た修節・名言まとめをどうぞ。まずは前編です。

» 2021年08月26日 14時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

「軽自動車界のカリスマ、鈴木修語録(前編)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、6月25日の株主総会で退任が承認された、鈴木修氏について──。(初出:2021年7月9日)

スズキ 鈴木修 株主総会で会長として最後のあいさつを行った鈴木修氏(2021年6月25日 スズキ提供)

今回はまずクイズです。昨年(2020年)、日本国内で自動車を最も売ったメーカー、これはトヨタ自動車ですが、では2番目、NO.2はどこでしょうか?

ホンダでしょうか、日産でしょうか?……いえいえ、正解はスズキでした。

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の集計では、2020年の国内メーカー年間販売台数は、乗用車メーカーではトヨタ自動車が145万4524台、スズキが63万842台、ホンダが61万9132台、ダイハツが59万2346台、日産自動車が46万8544台、マツダが17万7087台、スバルが10万5540台、三菱自動車が7万281台という結果でした。

新型コロナウイルス感染症が拡大するなかでも、スズキは軽自動車やコンパクトカーを中心に、日本人に合ったクルマをつくり続けたということだと思います。そのスズキは、6月25日の株主総会で、鈴木修会長の退任が承認されました。

鈴木修さんは、1930年1月30日生まれの91歳。1978年の社長就任以来、43年にわたり、トップとしてスズキの経営のかじ取りを続けて来ました。

社長就任当時は排出ガス規制の対応の遅れが指摘されていたスズキですが、1979年に47万円という衝撃の価格で軽商用車「アルト」を大ヒットさせ、1993年には「ワゴンR」で背の高い軽の「ハイトワゴン」というジャンルを確立。また、インド市場でも確固たる地位を築き、スズキを年間売上3兆円の企業に押し上げました。

私がスズキの取材を始めたのはかれこれ10年前、東日本大震災の発生直後になります。スズキの決算会見、新車発表会はその決算やクルマの内容もさることながら、修会長が何を言うのか……私は正直、それを楽しみに足を運んでいました。

あるときはユーモラスに、あるときは人生訓を教えられるようなこともありました。今回はそんな数々の発言=「修節」を集め、前編と後編に分けてお伝えして行きます。

なお、鈴木修さん、現在は相談役ですが、小欄ではあえて「修会長」とお呼びします。

スズキ 鈴木修 初めて取材したスズキの決算会見 修会長は社長を兼ねていた(2011年5月10日撮影)

日本は贅沢に慣れ過ぎている

「日本の国民生活は、贅沢に慣れ過ぎているのではないか。節電というより、エネルギーに対する生活を切り詰めるということが必要ではないか。テレビだって夜中じゅう必要ではないと思う……」(2011年5月・決算会見)

スズキは前述の通り、いまや年間3兆円を売り上げる企業ですが、修会長は常日頃から自分を「中小企業のオヤジ」と言っていました。その中小企業が生み出す軽自動車はまさに庶民の足です。この発言は、軽自動車の「真髄」を突くものと感じました。メディアには耳の痛い言葉もありましたが……。

辺鄙(へんぴ)なところでお許しいただきたい

新車発表会では、「ツカミのあいさつ」で場を和ませることもしばしばでした。

「会場がいつもと違い、こういう辺鄙なところとは言えないかもしれないが、わかりにくいところで大変恐縮。もたもたしているうちに予約でいっぱいだそうで、ここだけが空いていたということでお許しいただきたい」(2013年12月・新車発表会)

年も押し詰まった発表会場は、都心の貸ホール。やや駅から遠い場所でしたが、「辺鄙」という言葉に場内は爆笑になりました。

話のペースやその表情から、修会長は「好々爺」のイメージですが、怒らせると怖いというのは私ども報道陣にとっても定説で、さまざまな問題に対して毅然と対応したのが修会長でもあります。

負けると思って相撲は取らない

タフ・ネゴシエーターで有名なのは、ドイツのVW=フォルクスワーゲンとの提携問題です。傘下に収めようとするVWに対し、経営の独立性をめぐって頑として譲らず、決着は国際仲裁裁判所の場に持ち込まれました。

「(仲裁の事業への影響は?)皆さんにしょっちゅう取り込まれるよりは、すっきりして経営に専念できるのではないか。(勝算は?)相撲を取るときに、負けると思って相撲取っとるわけはない」(2011年11月・東京モーターショーのプレスブリーフィング後、記者団に対して)

思えば2011年は、八百長問題で相撲界が大揺れに揺れた年でもありました。

モーターショーではスズキのブースの前にVWのブースがありました。両社の提携は4年近く経った2015年、スズキがVWから株式を買い戻すことで決着しました。

       1|2 次のページへ

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた