開業57年の大変化(?) 東海道新幹線の“働く人”向け新車両「S Work車両」、早速乗って分かったこと月刊乗り鉄話題(2021年10月版)(1/3 ページ)

東海道新幹線にビジネスパーソン向けの新車両「S Work車両」ができました。ビジネス向け? 私には関係ないや、と思った方ちょっとお待ちを。いろいろいいこともありそうですよ。

» 2021年10月14日 19時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

 10月1日は東海道新幹線の開業記念日です。2021年で57歳。この日、東海道新幹線に大きな変化が起きました。

東海道新幹線 SWork車両 10月1日、開業57年の東海道新幹線に新たな車両「S Work車両」ができた

 全ての「のぞみ」の7号車(普通車指定席)が「S Work車両」になったのです。

 何それ、楽しいの? 何が違うの? どう使うの?──。今回は東海道新幹線の新たな車両「S Work車両」のポイントをじっくり解説していきます。

東海道新幹線 SWork車両 のぞみの「7号車」がS Work車両になった

【S Work車両のポイント 1】座席での携帯電話通話が「許容」となる

 S Work車両は、東海道新幹線へ新たに設定された「ビジネスパーソン向け」の車両です。「もっと快適」に車内で仕事を続けられるようにしました。

 「アレ? 今までだって仕事はできたよ。ノートPCを使っている人は多いし、最新のN700Sは全席電源コンセント付きになったし。無料Wi-Fiサービス“Shinkansen_Free_Wi-Fi”でネットも使えるし。“もっと快適に”ってどういうこと? やっぱ移動中は仕事したくないよ」。そう思う人は多くいるかもしれません。では何が違うのでしょう。

東海道新幹線 SWork車両 S Work車両となる7号車は普通車指定席

 ポイントの1つ目は「通話」です。新幹線に限らず、列車の中では「座席での携帯電話の通話はご遠慮ください」ですよね。新幹線では「通話はデッキで」と案内されます。列車の中で静かに過ごしたい人もいるからです。

東海道新幹線 SWork車両 S Work車両は、座席での携帯電話通話が「許容」となる。オンライン会議なども可能

 S Work車両は、座席での携帯電話通話が「許容」となります。

 車内でモバイルワークをする人同士なので、大声でなければ座席で電話をするのも「お互いさま」、オンライン会議に参加するのに声を出すのも「お互いさま」。ノートPCのキーをたたいて多少カタカタ鳴るのも「お互いさま」です。

 もちろん限度はありますよ。他のモバイルワークをする乗客の過度な邪魔になるような行為はいけません。これは、全ての乗客ではなく「モバイルワークをしたい乗客同士で」がポイントです。

東海道新幹線 SWork車両 のぞみの7号車で、お仕事はかどる(JR東海Webサイトより)

 これに似た仕組みは以前からありました。「お子さま連れ専用車両」(関連記事)です。2010年に「ファミリー車両」として貸し切り列車を運行し、2021年現在は多客期の「お子さま連れ専用車両」として、定期列車の一部に設定されています。

 乳幼児を連れた旅は周囲に気を遣いますよね。突然泣いたり騒いだり、オムツなどの世話も……。でも、周りのみんなが同じ立場ならば「お互いさま」で助け合いなどもあるでしょう。子連れの家族も気兼ねなく移動できます。

 S Work車両は、お子さま連れ専用車両の「ビジネスパーソン版」です。仕事移動のために乗る。移動時間にPCを使いたい、携帯電話やネット会議で通話したい。そんな同じ境遇の人、同じ目的の人同士を同じ車両に集めて「お互いさま」とし、気兼ねなく過ごせるようにしましょうという趣旨です。


【S Work車両のポイント 2】「モバイルワーク支援ツール貸し出しサービス」を用意する

 最新型車両のN700Sで運行する「のぞみ」のS Work車両利用者に向け、車内での仕事を支援するグッズを無料貸し出しするサービスも用意します。

東海道新幹線 SWork車両 無料で借りられるビジネスサポートツール。N700Sロゴ入りで売ってほしいけれど、販売予定はないとのこと

 例えば、となりの席からPC画面をのぞき見されないための「簡易ついたて」、膝の上にノートPCを置いて作業したい人のための「膝上クッション」、Bluetoothマウス、PC用ACアダプター、USB充電器といったPC周辺機器があります。搭載数量に限りがあるので早い者勝ちです。新横浜〜京都間で利用できます。

 併せて10月1日から、東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の各駅で、モバイルバッテリーの有料レンタルサービス「ChargeSPOT」も始まりました。

東海道新幹線 SWork車両 パーサーさんが届けてくれる
東海道新幹線 SWork車両 画面ののぞき見を防ぐ「簡易ついたて」を使ったところ
東海道新幹線 SWork車両 膝上クッションも便利。これらを携帯する・持ち運ぶなんて大変なので、使いたいときだけ借りられるのがいい
東海道新幹線 SWork車両 マウスもや充電器なども用意
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