モータースポーツの入口って意外と簡単! 鉄道ライターが「国内Aライセンス」取っちゃいました:国内Aライセンスを取る方法(4/4 ページ)
富士スピードウェイの本コースへ! 実技試験でマジな「赤旗」も体験
サーキット走行は30分。そのうち前半の15分はサーキットトライアル競技、後半15分は実技試験です。
でも、切れ目はないので一緒という感覚でした。ワタシは車列のほぼ最後部から、恐る恐る走り始めです。最初は全車がキレイに並んで走りますが、半周ほどで上達者さんが本気を出しはじめます。2週目くらいで周回遅れにされましたー。ははは、みんな速いなあ。こちらはおっかなびっくりですよ。邪魔にならないように右ベタで走ります。
それにしても、参加車両のバラエティが豊かなこと。市販車スポーツバージョンがあればライトチューニングカーもあり、セダンもあれば軽自動車もある。ワタシもサーキットには不釣り合いなSUVですけれど、それも気にならないくらい。何たってフェラーリ、ポルシェ、GT-R、レクサスと、国産ハッチバックや軽自動車が同じコースを同時に走ります。こんなレース、見たことない(笑)。
富士スピードウェイの名所、長いメインストレートからの第1コーナーは慎重にクリア。モータースポーツに詳しい友人や、車検に出したときにディーラーのメカニックさんにも「ここはスピードが出ているから気を付けて」といわれておりました。しかしホントに焦ったのはダンロップコーナーから最終コーナーまでの連続カーブでした。アドバンコーナーを過ぎると、直線に近い緩やかな道になります。ここで解放感に任せてアクセルを踏むとダンロップコーナーで曲りきれなくなります。
ダンロップコーナーからのS字コーナーを出てからも、気を抜くと危うい急カーブの連続です。ワタシのCX-8は峠道も高速道路も安定した走りをしてくれますが、さすがにサーキットでの高速コーナーは苦手でした。右に左にふらつきます。うわー、うしろから抜こうとしていたドライバーさんゴメンナイ。勢いで追い越す形になったけれど、また急カーブで後続車もあったので右に寄ったら、軽自動車の車列に割り込む形になってしまいました。これもワタシが悪い。ゴメンナサイ……。
それでも4週目くらいから慣れて楽しくなってきます。カーブは我慢しつつ追い越しはメインストレートのみとし、ペースアップしていきました。さあ最終コーナーだ。こちらはトルクたっぷりのディーゼルエンジン。低速からの加速は良いのです。ここで目の前の3台を追い越そう……と思ったら、ん、何だか様子が変です。メインストレートをはじめ、信号機が「赤」の点滅。何でだ?
あ、ストレートの終わりで「赤い旗」も振られています。これが赤旗ってやつか。
もう実技試験に入ったんだ。すごいな。実技試験は黄旗と青旗くらいだよね……などと思っていたら、第一コーナー出口付近でクルッとこちらを向いたクルマがいました。どうやら本当にスピンして止まってしまった様子。ゼッケンが付いているので模擬試験ではなく、参加者のようです。あ。赤の点滅信号を確認した時点で、ワタシは2台くらい追い越しちゃった気がする。失格かも……。
その後ペースカーが入り、ゆっくりと2周ほど周回して規定時間となり、サーキット走行は終了となりました。ワタシは30分間で6周走って、ベストタイムは3分38秒195。参加者30台のうち、下から8番目。うーん、もうちょっと走り込みたかったなあ。ちなみにトップタイムは2分5秒223でアウディ RS3スポーツバックの方。講習会で私のとなりにいた方でした。やるな……。
メディアセンターに戻りトランスポンダを返却して、競技長の講評を聞きます。今回遭遇した赤旗は「マジ」。このオーガナイザーが主催するサーキットトライアルと実技試験では初めてだったとのこと。実技試験用の旗を用意していたけれど、赤旗が出たので代用となりました。その後、黒旗(失格)にならないまでも、ややあぶないと思われたドライバーさんにアドバイスがありました。
実技試験の結果は全員合格。やったー。ワタシも合格でした。これで国内Aライセンス、ゲットだぜ!
「Aライ」を取るとレース観戦もより面白くなってくる
翌日、JAFの神奈川支部で上級申請と年会費を支払い、「国内Aライセンス」を発給してもらいます。
ライセンスは11月1日から翌年分の手続きが可能。年内(2021年)にレースに出る予定がもうなければ、翌年(2022年)のライセンスとして更新できます。いや、年内どころか、多分一生レースには出ないと思うけれど……。いや、CX-8のサスペンションをスポーツタイプに交換したならばもっとタイムアップも……いやいやいや(笑)。
JAFの窓口では即座に紙のライセンスが発行、それから10日ほどでプラスチックカードの国内Aライセンスが届きました。これでワタシは正真正銘の国内Aライセンス保持者。レーシング(ペーパー)ドライバーの誕生です。はじめはどんなドラテクが必要なのかと身構えましたが、まず重要なことは「規則を守れるか」です。どんな分野にも通じますね。
国内Bライセンスは本当に手軽、上級の国内Aライセンスはヘルメットで予想外の出費がありつつも、一度はあのサーキットを走りたいという夢も叶いました。話のタネはできたし(まだ言う)、また1つ、楽しい経験ができました。
もう1つ、「富士スピードウェイのレース観戦」が楽しくなりました。何しろ実際に走ったことがありますから。ダンロップコーナーはきついんだよ、とか、ヘアピンで追い越しちゃうなんてスゴイな、とか、より実感できるようになりました。レースゲームもより楽しめそうです。
実際にサーキットを走ると、レース観戦やレースゲームももっと楽しくなる。日本の鉄道全線を踏破したので、次の目標は「日本の全サーキット走破」かな……なんちゃって。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。日本鉄道全路線の完乗率は100%(2021年4月時点)
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