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» 2022年02月07日 18時00分 公開

ウォルピスカーターが初著書『自分の声をチカラにする』 “高音出したい系男子”が歌い続けるためのポリシーとは(1/3 ページ)

「歌うことに関して他では感じられないくらいの喜びや楽しみを見つけてしまって」

[斉藤賢弘ねとらぼ]
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 ストレートなハイトーンボイスで大勢を惹きつける歌い手のウォルピスカーターさんが2021年12月、初エッセイ『自分の声をチカラにする』(KADOKAWA)を発売しました。

ウォルピスカーターの著書『自分の声をチカラにする』 『自分の声をチカラにする』表紙

 「声を磨けば人生は変わる」をテーマとした同書では、高校生のときに出合ったニコニコ動画(以下、ニコ動)をきっかけに歌い手活動を始め、1オクターブ半の音域拡大に成功し独自の路線を歩むようになるまでのエピソードを収録。自身で生み出した声のトレーニング法のみならず、声の成長が呼び起こすポジティブな変化など、“声の仕組みと磨き方”を多岐にわたって取り上げています。

 “高音出したい系男子”を標榜し、歌から他では得られない感情を引き出してもらっているというウォルピスさん。自身にとって「声」と「歌」はどんな存在なのか、ひいては音楽活動を続ける上で最も大事にしている考えについて深掘りして聞いてみました。

ウォルピスカーター ウォルピスカーターさん (C)南條沙歩

2000年代のニコ動文化に感じた“それまでにない魅力”

―― ウォルピスさんがニコ動に「歌ってみた」を初めて公開した2012年ですが、多くのボカロPや歌い手が活躍されていたころにちょうど重なるなと。楽曲の投稿前はこうした世界にどういった印象を持っていましたか?

ウォルピスカーター(以下、ウォルピス) 初めは存在自体をほとんど知らなかったです。J-POPをもともとすごく聴いていて、高校入学した頃はスピッツばかり聴いていましたね。部活の友達に「こんなのがあるんだよ」って教えてもらって、そこからのめり込んでいったって感じです。

―― では、存在を初めて知ったときはどう思いましたか?

ウォルピス 初めて聴いたのが、「supercell」(※1)のryoさんが作った「ブラック★ロックシューター」(2008年)っていう楽曲ですね。当時かなり流行っていたから、hukeさんが描いたキャラクターだけでなく、関連グッズなども出ていて。

 バンドメンバーが「この曲がやりたいんだ」ってスコア譜を持ってきたんですけど、インターネット発の音楽が“楽譜として売られている”ということに一番驚いた記憶があります。自分の知らないところで新しい文化、ジャンルが作り上げられているぞ、って。

※1 ミュージシャンのryoを中心に結成されたクリエイター集団。代表曲に「メルト」「君の知らない物語」「さよならメモリーズ」などがある。

―― 面白い出合いですね! ニコ動の歌い手たちに「マジックを見せられたようだった」と振り返っていますが、当時感じた魅力について詳しくお聞きしたいです。

ウォルピス あの頃は本当に「インターネット」を全然分かっていなくて。音楽もテレビや有線で流れている曲だけを聴いて生きてきたんです。

 それとは対照的な、ちょっと荒削り、原石みたいな歌い手さんの歌ばかりニコ動に投稿されていて、そんな「歌ってみた」がすごく人気を得ている光景を見てとにかくビックリしたというか。自分が今まで触れてきた音楽とはもう全く異質のものですからね。「戸惑いながらも楽しむ」といった魅力があったように感じています。

―― バンドでいうインディーズのようだった、ということですか?

ウォルピス なんと言ったらいいのかな……? 音楽をやっている人は自分も含めて、みんなプロデビューを目指している。そう無意識に思っていただけに、「プロのミュージシャンになる」「オーディションを受ける」とか一切なくただ楽しんでいる、趣味として歌を発表している場が、すごく楽しそうに見えたんじゃないかなと振り返ってみて思います。

―― そのときの歌い手で、今でも印象に残っている人は?

ウォルピス 初めて聴いたのは、灯油(※2)という歌い手さんですね。友達に「こんなに高い声が出る人がいて、アマチュアなんだけどCDも出してるんだよ」って薦められたのがきっかけで、今でも当時受けたインパクトを鮮明に思い出せる人ですね。

※2 2009年から活動している歌い手で、高音はじめ声域の広さを生かした表現力に定評がある。2015年にはベストアルバム「ビビッドカラーズ〜灯油ベスト〜」を発表した。

独自のトレーニング法を編み出した背景に“反抗心”

―― 著書では、通っていた専門学校に頼らず、ご自身の編み出したやり方で歌手を目指したとありました。当時のウォルピスさんはまだ10代だったと思いますが、こうした決断を後押ししたものは何だったんでしょうか?

ウォルピス 今だから言えますけど、良くも悪くも反抗心からかなと。やっぱり10代後半〜20代の初め頃って、「大人や社会への反抗心」みたいなものが嫌でも芽生える時期だと思うんです。

 僕にちょうどそれが芽生えたのが、18〜20歳ぐらいの間で、専門学校でのボイストレーニングが合わなかったり、授業のやり方にちょっと不満を覚えていたんです。通っている生徒がたくさんいる一方、先生の数は限られている以上、ボイストレーニングに関してもなかなか一人一人を見ていくっていうわけにはいかない。

 そういう不満が多分後押しになったのかな。ただそれだけの理由で、「自分の力でやってやる」って思ったんじゃないかと。今振り返ったら無謀ですけどね。

―― そのころは、音楽に対して何か「勝算」のようなものもあったのでしょうか?

ウォルピス いや、なかったと思います。売れ始めているわけでも、誰かに目をかけてもらってるわけでもなく。

―― 「なるようになるだろう!」という感じに近かった、と?

ウォルピス そうですね! 「どうにもならなかったら、そのときまた考えよう」って思っていました。

ハイトーン化で「よく笑うようになりました」

―― 著書の中には、部屋の湿度や喉のケアなど、独自のメソッドが細かく紹介されています。この中で、現在に至るまで最も重要だと考えているものは何でしょうか?

ウォルピス 僕のメソッドは基本的に高い声に特化しています。したがって「歌がうまくなる」「声が良くなる」という点ではなく、“高い声を練習するため”のメソッドになりますが、特に大事にしていて皆さんにやってほしいのは、「日常生活の中で笑い声を高くすること」ですね。

 高い声が出ない理由のほとんどが、日常的に高い声を出さないからだと僕は思っていて。

―― なるほど。確かにその通りですね!

ウォルピス 歌声が高い人って、話し声も高いことが非常に多いんですよ。なので皆さんにも、普段から声を高くしてほしいんですが、話し声が高くなるとどうしてもちょっと違和感が出てきますよね?

―― 分かります(笑)。

ウォルピス なるべく日常で使う声を高く、かつこの違和感を少なくってなると、僕は笑い声を高くするのが一番理にかなっているかなと思っていまして。だからぜひ実践してみてほしいですね。

―― ウォルピスさんの著書を読ませていただいた際、今お話しいただいたように、ご自身の編み出した方法論を理論立てて丁寧に説明していく部分が印象的でした。こうしたスタンスはいつごろからのものなんでしょうか?

ウォルピス 専門学校で歌の勉強を始めたとき、音楽理論の授業も併せて受けたんです。

 音楽理論ってすごくカッチリしていて、いろいろな用語や決まった法則がある分、非常に論理的な説明ができる分野だったんですが、ボイストレーニングの授業になった途端、すごくフワっとすると言いますか……。

 音楽理論の授業で「平行調はここだから……使えるキーはこれとこれだ」なんて話していたのに、ボイストレーニングに移ったら「おなかや喉に力入れないで」「あくびの喉で歌ってください」といった調子になるのを見ていて、「自分の中できちんと納得できる理論を自分で構築しよう」と考えました。

―― 「どうしてこうするのか、どうしてこう考えるのか」の部分にかなり力を入れていて、読んでいて新鮮な気持ちになりました。「自分の中で〜」ということですが、誰にとってもある程度の再現性を意図して書かれているわけですよね?

ウォルピス そうです。僕の理論が絶対に正解とは限らないと思いますが、歌をやってる人はみんな、この本をきっかけとして自分が納得できる理論を自分なりに構築していってほしいなと思います。

―― ありがとうございます。滑舌が良くなった結果、コミュニケーションにかなり好影響があったというエピソードも盛り込まれていましたが、ハイトーン化によるご自身への変化は他にあったりしましたか?

ウォルピス さっきの話にも絡んできますが、僕はとにかく高い声で笑うようにしているんです。日常生活で高い声で笑うことを意識し始めると、そうした習慣がだんだん身に付いてくるんです。そうなると自然に笑う回数が増えてきますね。

 なので、自分の話でいうと非常によくしゃべって笑うようになりました。これがいい影響なのかどうかちょっと分かりませんけど(笑)。

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