ウォルピスカーターが初著書『自分の声をチカラにする』 “高音出したい系男子”が歌い続けるためのポリシーとは(1/3 ページ)
「歌うことに関して他では感じられないくらいの喜びや楽しみを見つけてしまって」
ストレートなハイトーンボイスで大勢を惹きつける歌い手のウォルピスカーターさんが2021年12月、初エッセイ『自分の声をチカラにする』(KADOKAWA)を発売しました。
「声を磨けば人生は変わる」をテーマとした同書では、高校生のときに出合ったニコニコ動画(以下、ニコ動)をきっかけに歌い手活動を始め、1オクターブ半の音域拡大に成功し独自の路線を歩むようになるまでのエピソードを収録。自身で生み出した声のトレーニング法のみならず、声の成長が呼び起こすポジティブな変化など、“声の仕組みと磨き方”を多岐にわたって取り上げています。
“高音出したい系男子”を標榜し、歌から他では得られない感情を引き出してもらっているというウォルピスさん。自身にとって「声」と「歌」はどんな存在なのか、ひいては音楽活動を続ける上で最も大事にしている考えについて深掘りして聞いてみました。
2000年代のニコ動文化に感じた“それまでにない魅力”
―― ウォルピスさんがニコ動に「歌ってみた」を初めて公開した2012年ですが、多くのボカロPや歌い手が活躍されていたころにちょうど重なるなと。楽曲の投稿前はこうした世界にどういった印象を持っていましたか?
ウォルピスカーター(以下、ウォルピス) 初めは存在自体をほとんど知らなかったです。J-POPをもともとすごく聴いていて、高校入学した頃はスピッツばかり聴いていましたね。部活の友達に「こんなのがあるんだよ」って教えてもらって、そこからのめり込んでいったって感じです。
―― では、存在を初めて知ったときはどう思いましたか?
ウォルピス 初めて聴いたのが、「supercell」(※1)のryoさんが作った「ブラック★ロックシューター」(2008年)っていう楽曲ですね。当時かなり流行っていたから、hukeさんが描いたキャラクターだけでなく、関連グッズなども出ていて。
バンドメンバーが「この曲がやりたいんだ」ってスコア譜を持ってきたんですけど、インターネット発の音楽が“楽譜として売られている”ということに一番驚いた記憶があります。自分の知らないところで新しい文化、ジャンルが作り上げられているぞ、って。
※1 ミュージシャンのryoを中心に結成されたクリエイター集団。代表曲に「メルト」「君の知らない物語」「さよならメモリーズ」などがある。
―― 面白い出合いですね! ニコ動の歌い手たちに「マジックを見せられたようだった」と振り返っていますが、当時感じた魅力について詳しくお聞きしたいです。
ウォルピス あの頃は本当に「インターネット」を全然分かっていなくて。音楽もテレビや有線で流れている曲だけを聴いて生きてきたんです。
それとは対照的な、ちょっと荒削り、原石みたいな歌い手さんの歌ばかりニコ動に投稿されていて、そんな「歌ってみた」がすごく人気を得ている光景を見てとにかくビックリしたというか。自分が今まで触れてきた音楽とはもう全く異質のものですからね。「戸惑いながらも楽しむ」といった魅力があったように感じています。
―― バンドでいうインディーズのようだった、ということですか?
ウォルピス なんと言ったらいいのかな……? 音楽をやっている人は自分も含めて、みんなプロデビューを目指している。そう無意識に思っていただけに、「プロのミュージシャンになる」「オーディションを受ける」とか一切なくただ楽しんでいる、趣味として歌を発表している場が、すごく楽しそうに見えたんじゃないかなと振り返ってみて思います。
―― そのときの歌い手で、今でも印象に残っている人は?
ウォルピス 初めて聴いたのは、灯油(※2)という歌い手さんですね。友達に「こんなに高い声が出る人がいて、アマチュアなんだけどCDも出してるんだよ」って薦められたのがきっかけで、今でも当時受けたインパクトを鮮明に思い出せる人ですね。
※2 2009年から活動している歌い手で、高音はじめ声域の広さを生かした表現力に定評がある。2015年にはベストアルバム「ビビッドカラーズ〜灯油ベスト〜」を発表した。
独自のトレーニング法を編み出した背景に“反抗心”
―― 著書では、通っていた専門学校に頼らず、ご自身の編み出したやり方で歌手を目指したとありました。当時のウォルピスさんはまだ10代だったと思いますが、こうした決断を後押ししたものは何だったんでしょうか?
ウォルピス 今だから言えますけど、良くも悪くも反抗心からかなと。やっぱり10代後半〜20代の初め頃って、「大人や社会への反抗心」みたいなものが嫌でも芽生える時期だと思うんです。
僕にちょうどそれが芽生えたのが、18〜20歳ぐらいの間で、専門学校でのボイストレーニングが合わなかったり、授業のやり方にちょっと不満を覚えていたんです。通っている生徒がたくさんいる一方、先生の数は限られている以上、ボイストレーニングに関してもなかなか一人一人を見ていくっていうわけにはいかない。
そういう不満が多分後押しになったのかな。ただそれだけの理由で、「自分の力でやってやる」って思ったんじゃないかと。今振り返ったら無謀ですけどね。
―― そのころは、音楽に対して何か「勝算」のようなものもあったのでしょうか?
ウォルピス いや、なかったと思います。売れ始めているわけでも、誰かに目をかけてもらってるわけでもなく。
―― 「なるようになるだろう!」という感じに近かった、と?
ウォルピス そうですね! 「どうにもならなかったら、そのときまた考えよう」って思っていました。
ハイトーン化で「よく笑うようになりました」
―― 著書の中には、部屋の湿度や喉のケアなど、独自のメソッドが細かく紹介されています。この中で、現在に至るまで最も重要だと考えているものは何でしょうか?
ウォルピス 僕のメソッドは基本的に高い声に特化しています。したがって「歌がうまくなる」「声が良くなる」という点ではなく、“高い声を練習するため”のメソッドになりますが、特に大事にしていて皆さんにやってほしいのは、「日常生活の中で笑い声を高くすること」ですね。
高い声が出ない理由のほとんどが、日常的に高い声を出さないからだと僕は思っていて。
―― なるほど。確かにその通りですね!
ウォルピス 歌声が高い人って、話し声も高いことが非常に多いんですよ。なので皆さんにも、普段から声を高くしてほしいんですが、話し声が高くなるとどうしてもちょっと違和感が出てきますよね?
―― 分かります(笑)。
ウォルピス なるべく日常で使う声を高く、かつこの違和感を少なくってなると、僕は笑い声を高くするのが一番理にかなっているかなと思っていまして。だからぜひ実践してみてほしいですね。
―― ウォルピスさんの著書を読ませていただいた際、今お話しいただいたように、ご自身の編み出した方法論を理論立てて丁寧に説明していく部分が印象的でした。こうしたスタンスはいつごろからのものなんでしょうか?
ウォルピス 専門学校で歌の勉強を始めたとき、音楽理論の授業も併せて受けたんです。
音楽理論ってすごくカッチリしていて、いろいろな用語や決まった法則がある分、非常に論理的な説明ができる分野だったんですが、ボイストレーニングの授業になった途端、すごくフワっとすると言いますか……。
音楽理論の授業で「平行調はここだから……使えるキーはこれとこれだ」なんて話していたのに、ボイストレーニングに移ったら「おなかや喉に力入れないで」「あくびの喉で歌ってください」といった調子になるのを見ていて、「自分の中できちんと納得できる理論を自分で構築しよう」と考えました。
―― 「どうしてこうするのか、どうしてこう考えるのか」の部分にかなり力を入れていて、読んでいて新鮮な気持ちになりました。「自分の中で〜」ということですが、誰にとってもある程度の再現性を意図して書かれているわけですよね?
ウォルピス そうです。僕の理論が絶対に正解とは限らないと思いますが、歌をやってる人はみんな、この本をきっかけとして自分が納得できる理論を自分なりに構築していってほしいなと思います。
―― ありがとうございます。滑舌が良くなった結果、コミュニケーションにかなり好影響があったというエピソードも盛り込まれていましたが、ハイトーン化によるご自身への変化は他にあったりしましたか?
ウォルピス さっきの話にも絡んできますが、僕はとにかく高い声で笑うようにしているんです。日常生活で高い声で笑うことを意識し始めると、そうした習慣がだんだん身に付いてくるんです。そうなると自然に笑う回数が増えてきますね。
なので、自分の話でいうと非常によくしゃべって笑うようになりました。これがいい影響なのかどうかちょっと分かりませんけど(笑)。
関連記事
小林幸子、ボカロ曲との出会い語る これまでになかった音楽に「打ちのめされた」
ゲスト出演するCS映画番組の収録現場で語った。「かなり顔出てる」 “顔出しNG”のアーティスト・そらるが「ZIP!」に登場、朝から尊いと興奮の声
(30)要らなくない?「うっせぇわ」Adoが高校卒業 卓越した才能に年齢を忘れていたファンも「そうだ…この子は高校生なんだった…」
まだ18歳とは……!まふまふ、自宅で倒れファンに衝撃 そらる「回復して帰ってきたら温かく迎え入れてあげて」
心原性の失神と診断。精密検査と数日間の休養を経て活動を再開予定。インドネシア人が日本語で洋楽カバーしたら人生変わった YouTuberレイニッチ、空前絶後の大反響に「見つかっちゃった」
2020年、現実に起きた夢のある話。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
真田広之の俳優息子、母・手塚理美と“超大物司会者”に対面 豪華ショットに「ご立派な息子さん」「似てる雰囲気」【注目の“二世タレント”】
ディズニーランド、新イベント前に「強制退園」対応が話題 「これくらい厳しい方がいい」などさまざまな意見
母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
道に落ちていそうな黒い石ころ→磨いたら…… まさかの“正体”が158万再生「超すごい」「砂利に似ているのに」【海外】
「幸子のコートばかり着ています」 音無美紀子、“大好きな妹”の一周忌に故人の孫と参列 受験前の成長した姿に「賢い子ばかり」「何より嬉しいでしょう」
「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
浜崎あゆみ、子ども引き連れた韓国旅行が“最っ幸”でしかない 豪華ホテルの“すごい広い”テラスでママの顔「鬼ごっこ出来て良かった」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 「大根は全部冷凍してください」 “多くの人が知らない”画期的な保存方法に「これから躊躇なく買えます」「これで腐らせずに済む」
- 浜崎あゆみ、息子2人チラリの朝食風景を公開 食卓に並ぶ“国民的キャラクター”のメニューが意外
- 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
- 中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”の家族に反響 ジュノンボーイの幼少期が香取慎吾似?【コンテスト特集2024】
- 大好きなお母さんが他界し、実家でひとり暮らしする猫 その日常に「涙が溢れてくる……」「温かい気持ちになりました」
- 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」 投稿者に発見時の気持ちを聞いた
- 「こんなおばあちゃんになりたい」 1人暮らしの93歳が作る“かんたん夕食”がすごい! 「憧れます」「見習わないといけませんね」
- 【今日の難読漢字】「碑」←何と読む?
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」