「しずる」村上、“青春コント”誕生の瞬間に手応え 18年の芸人人生で欠かせなかった笑いの原体験と相方・KAZMAを振り返る(2/3 ページ)

» 2022年03月25日 07時00分 公開
[のとほのかねとらぼ]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

“青春コント”誕生の瞬間

――青春コントをキャッチコピーに「爆笑レッドカーペット」へ出演されていましたが、しずるのキャリアを振り返って「存在が気付かれた」「売れた」と追い風の最大瞬間風速を感じたのはいつでしたか?

 「視力検査」を初めて披露したとき、自分で言うのもなんですが、とんでもないウケ方をしたんです。それこそ本当に風を感じるくらいの衝撃でした。自分たちにハマったネタなんだろうな、ゴールデンタイムで放送される番組で披露するならこれしかないと思って、自信を持って「レッドカーペット」で披露できました。青春コントがテレビに出るきっかけになりましたし、それがなかったら「レッドカーペット」ではやっていけなかったと思います。

――『裸々』第3章ではスターダムを駆け上った当時について言及されていますが、KAZMAさんとはなんとも言えない緊張状態にあったんですね。

 僕がイニシアチブをとっていたことからコンビ間のゆがみが生まれましたね。「爆笑レッドカーペット」をきっかけに一気に認知度は高まりましたし、「爆笑レッドシアター」のメンバーと過ごした時間は有意義でした。フジテレビのゴールデンタイムで放送される番組に出演できたことも「これぞ僕が求めていたものだ」という充足感に満たされていましたが、池田との危機感という相反する気持ちが共存していた時期ではありました。

しずる村上純

――その確執がほどけた瞬間は読んでいてグッとくるものがありました。今の村上さんから見て、それぞれが作るコントにあってないものはなんだと思いますか?

 完全にお互いにあってないもの、というのはないですが、比べられたら負けるなと思うところは、池田のコントはやっぱり見たことがない、ゼロから1を作ろうと心掛けている節を感じるところです。

 もし、お互いがつぼ職人だったら、池田はきっと「何そのつぼの形」みたいなつぼを作る。例えば、下に穴を開けちゃうとか。水がこぼれるからつぼの意味をなしていないのに、「こんなつぼ見たことないでしょ」「つぼの用途としてではなくて、好きで置いておきたいから」っていう理由で作ると思うんですよ。

KAZMAさん作のコント「突入」 クオリティーが完全に映画のそれ……

全ての逆をいく男、相方・KAZMAさんの存在

――最近では「アメトーーク」で「しずる池田大好き芸人」としてKAZMAさんが取り上げられ、なかなかクレイジーな生態が話題となっていました。

 池田って素朴な見た目しているし、本来の人間性も純朴なんですけど、芸をするときだったり、面白いことをいうときはその真逆をしようとして真っ黒な発想が出てくるんです。笑いの基本は裏切りと言われることもありますが、池田がするとただただびっくりするんですよね。

――吉本興業の闇営業についてインタビューされたときに無言を貫いたらインタビュアーにボケだと気付かれなかったエピソードがありました(笑)。

 YouTubeチャンネルも目立たないように作ったのに「アメトーーク」で注目されたから消す可能性もあります(※5)。池田のそういうところを面白がってくれる人は沼です。

※5 KAZMAのYouTubeチャンネル:KAZMAさんが別名義で5つやっているが、「アメトーーク」放送終了後の反響でチャンネル登録者数が急増したことから、「もう更新ないと思います」と15日放送のラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」で発言。別のチャンネルを内緒で作成したことを明かした

――逆にお互い「面白い」と認識しあっていることはありますか?

 草なぎ剛さんが出演していたドラマ「TEAM」(フジテレビ系/1992年放送)は2人とも好きです。出ばやしの奥田民生さんの楽曲は僕が勝手に決めましたが、池田も好きだったことが判明しました。あとはお互い中二病ですね(笑)。池田は「RIP SLYMEを最初に見つけたのは俺だ」と言っていて、僕も「日本で最初に若槻千夏を見つけたのは俺だ」と言っていますし、そこは似ていると思います。

――「キングオブコント」優勝もコンビとしての目標なのでしょうか?

 僕は、一番になりたいというモチベーションから出場し続けています。生きていて日本一の称号をもらえることってなかなかないじゃないですか。僕が今のところ考えられる唯一の日本一になれる武器がコントなんです。

しずるが初めて決勝に進んだキングオブコント2009の1本目のコント「冥土の土産」

 ただ、池田から「優勝したい」って聞いたことはないです。むしろ「優勝はいらない」っていう“逆”をいってますからね。ただ、決勝に負けて泣いていたこともありましたし、熱くなっているところを見せたくないだけかもしれません。この本も絶対読まないと思いますが、その逆をいって読む可能性もあります。一番近くにいる人間なのに一番分からないです。

――全く読めない人だ……。最後に、村上さんから見て、この要素を満たしていれば「しずるのコントだ」と言えるものはなんですか?

 僕の目線になりますが、「意味が分からないこと」。なんで笑っているのか分からないけど面白いものを自分が好きだからということもありますが、分からない、理解できないことって僕にとってはネガティブではなくて、新しいことを知るきっかけになるワクワクすることなんです。だから科学できないものであってほしいし、ちょっと消化不良のような気持ち悪さが残ってほしい。分かりやすい笑いが得意ではないとも言えますが、例えばしずるのコントを見て、「なんだったんだあれ」と後で思い出してもらえるとうれしいです。

書籍概要

タイトル:裸々(らら)

著者:しずる・村上純

イラスト/デザイン:WALNUT/名久井直子

発売日 :2022年3月25日(金)

定価:1870円

書籍仕様:四六判 / 344ページ

出版社:発行:ドワンゴ 発売:KADOKAWA


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」