「夢を壊すための裁判ではなく、守るための裁判」「今でもディズニーを愛している」 東京ディズニーランド出演者訴訟、判決受け原告が会見(1/3 ページ)
「安全配慮義務違反」と「パワーハラスメント」を訴えた裁判、争点は――。
東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で“キャラクター出演者”としてショーやパレードに出演していた女性が、「安全配慮義務違反」と「パワーハラスメント」を訴えた裁判で、千葉地裁(内野俊夫裁判長)は3月29日、運営会社のオリエンタルランド社に対し88万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。これを受け、原告Bさん及び弁護団が千葉市内で会見を行いました。
判決の概要
原告はともにディズニーランドでコスチュームを着用する“キャラクター出演者”として働いていた女性、AさんとBさん。裁判中にAさんとBさんの訴えが分離されたためAさんの裁判は継続中ですが、Bさんの裁判について千葉地裁は、「安全配慮義務違反」を認定。オリエンタルランド社に対して、Bさんの精神的苦痛に対する慰謝料80万円と弁護費用8万円、合計88万円を支払うように言い渡しました。
裁判の要点
Bさんは今回の裁判で8つの事象をパワハラとして訴えていました。
これらについて、原告弁護団の三宅貞信弁護士(千葉市民共同法律事務所)は「(1)ゲスト(来場客)とのふれあい時に右手薬指を故意に反対側にひねられてねんざを負うという事象が発生し、その後けがをした際のキャラクターを演じることに強い精神的苦痛を感じると申し出たBさんに対し同一キャラクターでの出演を強要したこと」「(2)懇親会中に不適切なセクハラ発言があったこと」「(3)Bさんが特定のキャラクターについて出演できない状況がワガママだとされ、いじめに近い行為を受けたこと」と大きく3つに分類できると説明。
オリエンタルランド社側が「安全配慮義務の一環として出演者雇用契約上、心身の状況に応じて仕事の内容を調整したり、職場関係の調整をしたりする義務を負っていたものの、職場の人間関係の調整を怠った」と地裁が認定したものとの理解を示しました。
特に、“キャラクター出演者”という特殊な立場上、潜在的に競争関係にあり、軋轢(あつれき)が生じやすい職場環境になってしまっていた中で、「従業員が人間関係に困っていて配慮を求めている場合には、他の出演者に事情を説明するなどしたうえで人間関係を調整し、職場で孤立しないようにする必要がある」と“人間関係に着目”し、踏み込んだ判断を地裁が行ったと評価しました。
一方で、ゲストの行動に起因するケガを負った暴行事件、および、従業員の1人から原告Bさんの「心の弱さ」を指摘する発言があったこと、他の出演者から理解を得るためにBさんが過呼吸を起こしたことを謝罪する手紙を送った際に同僚に破り捨てられるなどの行動等、一部は事実と認定されつつ、的確な証拠がないことなどから、一つ一つの事象が社会通念上違法とまではいえないと判断されたことも説明。
被害者弁護団の廣瀬理夫弁護士(渚法律事務所)は、「主張してきたことが大まかには裁判所に認められた。訴訟を続けることが目的ではないので、判決を十分読んだうえで今後の対応を判断することになる」とコメントしました。
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