フランス版「カメラを止めるな!」が公開直前でタイトル変更 ロシア軍シンボル「Z」を想起、ウクライナの申し入れ受け
5月17日カンヌ映画祭でオープニングを飾る予定。
フランスでリメイクされた上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」の最新ポスターが公開されました。もともとのタイトル「Z (Comme Z)」が2月24日から続くロシア軍のウクライナ侵攻のシンボル「Z」に重なるとして急きょ変更されたものです。
新しいタイトルは撮影現場での「カット!」を意味する「COUPEZ!」。同作は2021年の4月にパリ郊外で撮影開始され、2022年5月17日に第75回カンヌ国際映画祭のオープニングを飾ると同時に仏国内で公開されることが決定していました。しかしロシア軍のウクライナ侵攻を想起させるタイトルに、ウクライナ協会はカンヌ国際映画祭関係者へ公式書簡で変更を訴えたとのこと。
ミシェル・アザナヴィシウス監督は米VARIETY誌に、この「Z (Comme Z)」というタイトルはフランスで「Zシリーズ」、アメリカで「B級映画」と呼ばれるゾンビコメディーにインスパイアされて付けたものだが「このタイトルがウクライナの人々を苦しめたと知って無力感と悲しみを感じている」と語っています。
アザナヴィシウス監督は米VARIETY誌にコメントした時点では公開日が迫るため「変更は難しい」と述べ、フランス国外向けのタイトルである「Final Cut」を使用するとしていましたが、25日に仏国内向けのタイトルを「COUPEZ!」に変更すると発表しています。
監督は声明で「このタイトルは数カ月前、撮影終了したときには面白かったかもしれないが、いまは全く面白くないしそう思えない。私の映画は喜びをもたらすものであって、どのような形でもこの戦争に関与してほしくない」と述べ、直前のタイトル変更に尽力した関係者に感謝を表明しています。
また、カンヌ国際映画祭はこの決定を「称賛する」と全面的に支持。「Zの文字はロシア政府によるウクライナ侵攻で好戦的な意味を持つようになってしまった。この点について混同されることや曖昧さがあってはならない」とし、この選択により監督やプロデューサー、配給会社、カンヌ国際映画や全てのフランス映画が「苦しみを訴えるウクライナの人々との連帯を表明し、ロシア軍によるウクライナ侵攻へ強く反対していることを再確認できる」と結んでいます。
なお同作は2022年に日本でも公開予定です。
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