「意見が違う人=敵」ではない デリシャスパーティプリキュアが子どもたちに伝える“SNSとの接し方”サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

プリキュアは時代に合わせて表現することも柔軟に変わっていくのです。

» 2022年05月26日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 まさかプリキュアで「厄介なフォロワーのせいでSNSを止めざるを得ないインフルエンサー」といった“現代のリアル”が描かれる時代が来るとは思っていませんでした。

 2022年のプリキュアは、インターネットの危険性やSNSとの向き合い方までもが描かれるようになり、その大切さを子どもたちに伝えているのです。

デリシャスパーティプリキュア デリシャスパーティプリキュアの3人

 「ごはんは笑顔」がキーワードの「デリシャスパーティ・プリキュア」(・は白抜きハートマーク、以降省略)が面白いのです。

 農林水産省も推しているこのアニメ、おいしそうにごはんを食べるプリキュアの描写や、作中で「料理を作る前には、必ずせっけんで手を洗うシーン」が挿入されるなど、料理に関する丁寧な描写が子どもたちや保護者にも大好評。子どもたちの「食育」の観点からも注目されています。

 そんなデリシャスパーティプリキュアは、「シェアする喜び」もテーマとなっています。その「シェア」の一つとして「情報のシェア」、すなわち子どもの「SNS事情」が丁寧に描かれているのも特徴です。

デリシャスパーティプリキュア ごはんが大好きな和実ゆい(キュアプレシャス)

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


プリキュアで描かれたSNSの危険性

 デリシャスパーティプリキュア第8話「ちゅるりん卒業!?おでかけ!おいしーなタウン」ではSNSの危険性と、その向き合い方についてのストーリーが展開されました。

 主人公の一人、華満らん(キュアヤムヤム)は食べ歩きが大好きな女の子。プリキュア界のインスタグラムのようなSNS「キュアスタ」においしいご飯やお店の情報を載せて人気を博していました。

 しかし、悪の組織ブンドル団が、そのSNS情報を利用してずっと悪事を働いていたことが判明します。悪用されるのを避けるため、華満らんは自身のキュアスタ更新を止めてしまいます。

デリシャスパーティプリキュア キュアスタにおいしいお店の情報を上げている華満らん

 いわば「厄介なフォロワーにSNSの情報を悪用されたインフルエンサーが、SNSの更新を止めざるを得ない状況に追い込まれている」といったところでしょうか。

 SNSに情報をアップする行為は、たくさんの人に自分の好きなものをシェアできる利点がある一方で、情報を悪用する人も出てきてしまう危険性もある、というSNSの一面を子どもたちに伝えたのです。

 しかし、プリキュアたちの保護者的立場でもあるローズマリー(マリちゃん)にも諭され、「SNSは誰が見ているか分からないので注意する必要はあるけど、悪用するやつが悪いのであって、あなたが好きなものを辞める理由にはならない」と結論付けたのです。

デリシャスパーティプリキュア ローズマリーさん(右)はプリキュアたちの良き理解者として描かれる

「意見が合わない=敵」ではない

 また第9話「かみ合わないふたり?ここねとらんの合わせ味噌!」で描かれた、「キュアスタのアイコンをどうするかでプリキュア2人が対立してしまう」のも現代風の描写です。昨今のプリキュアでは、ケンカの原因もSNSの世界にあるのです。

 そんなときもローズマリーさんは「意見を合わせるのではなく、思っていることを言い合える仲はすてきである」と結論づけました。

 マリちゃん「あら。思ったことを言い合えるなんてすてきじゃない。何でも相手に合わせていたらそれこそいい関係とは言えないもの」
デリシャスパーティプリキュア第9話「かみ合わないふたり?ここねとらんの合わせ味噌!」より

 特にSNSの世界では「意見が合う=味方」「意見が合わない=敵」と見なしてしまう傾向が強くあります。

デリシャスパーティプリキュア キュアスパイシー(芙羽ここね)

 空気を読んで本意でないのに周りの意見に同調してしまったり、意見が合わない人を敵と見なして攻撃してしまったりするのもSNS上では良くみられる光景です。

 「意見が合わない人でも友達である」「意見が違うからこそ、自分にない世界を広げてくれる」、つまりはお互いに意見を言い合い尊重できる姿こそが良い関係である、とデリシャスパーティプリキュアでは描かれたのです。

 本作においては、ローズマリーさんというクィア的、ノンバイナリー的なキャラクターにそれらを伝える役割が与えられ、いわゆる説教臭さも少なくコミカルに大切なことを子どもたちに伝えられているのも特徴の一つです。

デリシャスパーティプリキュア クィア的なキャラであるローズマリーさん(左)が大人の役割を果たしている
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」