「失敗来い、のメンタルでありたい」 俳優・鈴木亮平が失敗を糧につかんだ内なる変化 「バズ・ライトイヤー」公開インタビュー(2/2 ページ)

» 2022年06月30日 18時00分 公開
[Yuka, 小西菜穂ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

「自分は思っているより優秀じゃない」 勘違いしていた20代後半で得た気付き

 今回の作品で、バズは自分の力を過信したために生じたミスで1200人もの乗組員と危険な惑星に不時着。責任感から地球へ帰還するための困難なミッションに挑む中で、個性豊かな仲間や思いもよらぬ敵と出会い、人間的に成長していきます。

―― 1人で困難に立ち向かい、周囲を頼らず問題を解決しようと奮闘するバズに、どんな印象を抱きましたか。

鈴木 僕とちょっと似ているなと。バズみたいに、若いころには「自分で何でもできる、自分が一番分かっている、監督は何も分かっていない」と、よくある勘違いをしていた時期があった。でも20代後半から自分1人でできることはすごく小さいし、自分は思っているより優秀じゃないことにようやく気付いたんです。バズと同じような成長をしてきました。

 今の僕は、頼れる人や相談できる人がいたら積極的に相談します。やっとそれができるようになってきた。話すことで失敗が成功になると思うんです。自分だけで失敗を抱えているより「こんなことがあったんだけど、どうしたらいいと思う?」と共有すれば周りが助けてくれて、学べることが増え感謝もできるんです。

「バズ・ライトイヤー」 バズの仲間たち

―― 具体的に、ここで気が付いたというきっかけはあったんでしょうか?

鈴木 そういうのがあれば分かりやすいんですけどね。ないんですよ。ただ単に年齢を重ねたっていうことなのかもしれません。

 ただ、1つ覚えているのは、あるドラマで自分は効果的だと考えてたっぷり間を持って演技したら、オンエアではバッサリカットされていたことがあったんです。当然なんですよ、僕は間をとっていい役じゃなかった。そもそもお芝居の意図を監督と共有できていなかったんです。

 それまで演技は俳優1人のものだと思っていたけれど、そうじゃない。みんなで作っているんだから意図を共有しないと、僕だけでは何も作れないんだと思いました。それからは現場で監督や共演者とコミュニケーションを取るようになりました。

―― その気付きはバズにも重なりますね。鈴木さんが変わったことで、環境に何か変化はありましたか?

鈴木 すごく変わりました。俳優ってカッコつけていなきゃだとか、現場では重く見られたいとか、そう考えていた時期がありました。でも無理して虚勢を張るのではなくて自然体でいるようになってから、関係者から次の作品へ、次の作品へとつながる機会が多くなりました。

―― 今の成功の呼び水になったんですね。鈴木さんがバズのように困難に直面した場合は、どのような気持ちで立ち向かうのでしょうか?

鈴木 いつも思うのは、これを乗り越えた先で自分はもっと成長できるということ。成功しなくてもいい。むしろ失敗した時の方が学べるから「失敗来い!」というメンタルでありたい。

 失敗って実は成功だと思うんです。この方法ではダメだと分かるから。それに僕の場合は失敗しても、バズみたいにみんながとんでもない星に取り残されちゃうなんてことはないし、何回でもやり直せるので。

―― バズより先に気付きを得た立場として、側にいたらどんな言葉をかけますか?

鈴木 (長く考えて)何も言わないです。特に前半のバズには。彼は自分で気付いていける人だし、自分しか見えていない人には何を言っても聞かない気がするので。自分で気付いていくしかない。

 本当に彼が助けを求めるときは、自分から聞いてくると思うんです。だからそっと傍で見守って、失敗しそうになったら助けてあげたい。

「バズ・ライトイヤー」鈴木亮平 あえてバズに声はかけない。「彼は自分で気付いていける人だし、自分しか見えていない人には何を言っても聞かない気がする」

―― 今では数々の作品で主演を務める立場になりましたが、現場で座長を務める上で大切にしていることはありますか?

鈴木 ダメなところを隠さないことです。カッコつけて引っ張っていくとか、無言で背中を見せるとかではなく、愛してもらう方が僕には合っているんじゃないかなと。ダメなところも含めて好きになってもらうしかない(笑)。

 僕が何か失敗したら、それを見て大笑いしてもらえるくらいの関係性を早く作ってしまった方が僕も楽だし、結果としてみんなも団結できると思っています。

シリーズの新たな人気キャラに? 猫型友だちロボットのソックス

 同作に登場する新しいキャラクターの中で、特に注目されているのが猫型友だちロボットのソックス。超ハイスペックな友だちロボットで、あらゆる面でバズをサポートする存在で、日本版では「かまいたち」の山内健司さんが声を担当しています。

「バズ・ライトイヤー」 バズの相棒、猫型友だちロボットのソックス

―― ソックスはかなり優秀で物語の“キーキャット”です。印象を聞かせてください。

鈴木 めちゃくちゃいいですよね! (興奮気味に)めちゃくちゃいいですよね!!

 ストレスの多いスペース・レンジャーの相棒としてよく考えられている。「何かあったら話を聞くよ」「ああ、それは大変な1日だったね」と声をかけてくれる存在はすごく大切だと思うんです。例えば宇宙に行くとして、誰を相棒に選んでも人間同士だったら絶対に喧嘩が起こるじゃないですか。ソックスとなら起こらない。あとBGMもかけてくれるし(笑)。

 もしかしたら未来では、ソックスのようなロボットが必要になるんじゃないかな。あれだけの完成度で再現できればですけど。

「バズ・ライトイヤー」鈴木亮平 「めちゃくちゃいいですよね!」大事なことなので二度言いました

―― 一家に1台ソックスという時代がくるかも。鈴木さんならどう付き合っていくでしょうか?

鈴木 どうなんだろうな……(長く考える)。しゃべるのかな? 結局、最初のうちは面白がってしゃべるけど、そのうちいるだけでいい存在みたいになってしまうのかも。長年連れ添った夫婦じゃないですけれど、いてくれるだけでいいと。何でもできるからこそ。

 ズルいですよね! 機能も多いし、かわいいし。愛すべきキャラクターです。

―― 気が利きますよね。「かまいたち」山内さんのお芝居にはどんな印象を抱きましたか?

鈴木 必ずしもみんなが思うロボットの声、猫の声ではないのに、俳優にも声優にもできない絶妙な表現をされるので、聞いてるうちにクセになっていく。それは本当に山内さんの持って生まれたものだと思います。愛嬌(あいきょう)といいますか。

 所さんのバズも同じで、俳優にも声優にもできないせりふまわしが強烈に印象に残るんです。だからソックスも同じように、皆さんの印象に残ると思います。

「バズ・ライトイヤー」鈴木亮平 “相棒”ソックスと
「バズ・ライトイヤー」 「バズ・ライトイヤー」

映画「バズ・ライトイヤー」 7月1日(金) 全国ロードショー

出演:鈴木亮平、今田美桜、山内健司、りょう、三木眞一郎、磯辺万沙子、沢城みゆき、銀河万丈

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン


(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」