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» 2022年07月01日 18時00分 公開

「エルヴィスって誰?」 プレスリーを知らない若者にムーラン・ルージュ監督最新作が刺さる理由 バズ・ラーマン来日インタビュー(1/2 ページ)

パンデミック以降、フランチャイズ映画ばかりだったハリウッドに一石を投じる。

[小西菜穂,ねとらぼ]

 20世紀のアメリカ音楽を代表するシンガー、エルヴィス・プレスリーの生涯を描く映画「エルヴィス」が7月1日から公開されています。

伝説を誰が殺したのか?映画『エルヴィス』日本版予告 2022年7月1日(金)公開

 監督を務めたのは「ロミオ+ジュリエット」「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン。若手俳優のオースティン・バトラーを起用しこれまでの作品同様、きらびやかな映像と音楽で1人の若者が大人気スターになるまでを描く一方、1950年代に彼を発掘してから1977年に死去するまで生涯プレスリーの側でらつ腕を振るったマネジャー、トム・パーカー大佐の存在をはじめとした陰の部分にスポットライトを当てています。

バズ・ラーマン バズ・ラーマン

 バズが映画作品を監督するのは2013年公開の「華麗なるギャツビー」以来、約10年ぶり。公開直前の来日中に話を聞きました。

「エルヴィスって誰?」 SNS時代の若者も共感できる半世紀前のスター

 プレスリーの伝説は多く、ギネスが認めた最も売れたソロアーティストで、たった1日で2000万枚のレコードを売り上げ、総売り上げは6億枚といまだに数々の世界記録を保持。しかし死去からおよそ半世紀がたち「エルヴィスって誰?」という若者も少なくない中で、「プレスリーは若い世代の多くが共感できる存在」とバズは強調します。

―― エルヴィス・プレスリーの死から45年。彼の死後に生まれた世代を取り込むための策は?

バズ・ラーマン(以下、バズ) 正直に言えば、アメリカでは30代の観客は興味を示さなかったし、20代の女性は「エルヴィスって誰?」状態。それでも今週末(編集部注:6月26日付)の観客動員ランキングでは「トップガン マーヴェリック」を抜いてトップになった。みんなエルヴィスに興味がなくても、オースティンを見に来たんだろうね。

 これまでオースティン・バトラーは知る人ぞ知る存在だったけれど、映画が公開されれば一気に状況が変わって有名になる。今週末にはNo.1になって『GQ』誌のカバーも飾った。普通ならもっと時間がかかるところだけど、ものすごいスピードでスターへの階段を駆け上がっている。

 オースティンが今後の変化へ備えられるよう、レオナルド・ディカプリオの手を借りたんだ。まだ若いディカプリオを起用して映画を作ったとき(編集部注:「ロミオ+ジュリエット」)の彼はまだ、巨大な鉄製の船が氷山に激突する映画で有名になる前。彼はその後一気に名をはせた、いわば経験者だからね。リアルタイムで「こんなことが起きるぞ」とオースティンに教えてくれている。今回ロンドンでのプレミアで、初めて女の子の黄色い声を浴びたんだって。

エルヴィス・プレスリーを演じるオースティン・バトラー エルヴィスのようにスターダムを駆け上がるオースティン・バトラー

―― まさにエルヴィス本人のようですね。監督ご自身は2019年からずっとInstagramに生前のエルヴィスの姿を投稿していますが「Elvis Monday」と呼ぶ一連の投稿の手応えは感じましたか?

バズ 2019年以来、SNSで拡散を続けてきたのはフランチャイズ映画でなくても成功できると示したかったから。アメリカではパンデミック以来、過去のヒット作品へ連なるフランチャイズ映画しか成功していないんだ。どれも素晴らしい作品だったけれど、バットマン、スパイダーマンとおなじみのキャラクターが並び、トム・クルーズでさえ続編だ。

 結果として今週末のトップを記録したけれど、ライバルにはトムの映画はもちろん、ホラー映画「ブラック・フォン」に「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」「バズ・ライトイヤー」と手ごわいライバルが大勢いた。それでもトップを取れたのは、作戦が功を奏したということだろう。

 思うに、若い人の大多数が、エルヴィスのことは“白いジャンプスーツの男”としか認識していない。でも実際の彼が反逆児で、世の中に不満を持っていたことは若い世代に共感を呼ぶポイントだ。TikTokといったSNSのおかげで一夜にして無名から有名になれるのが現代。だからか急に人気が出たスターの転落劇に、若い世代は興味があるように感じるよ。

バズ・ラーマン 強敵を上回り全米No.1に

―― 主演オースティン・バトラーも、彼らと同じくエルヴィス没後に生まれた若い世代です。エルヴィスについてどう説明しましたか?

バズ オーディションへやってきたときにはもうエルヴィスのことをかなり研究してきていたね。何が重要かと言えば、エルヴィスは“史上初のティーンアイドル”だったということだ。エルヴィス以前、10代に人気のアーティストは存在しなかった。1950年になって、10代がお金を持つようになった。彼らはアルバムやグッズといったアーティストにお金をかけることができた最初の世代だったんだ。

 オースティンはエルヴィスと同じ年齢で母親を亡くしていて、そのことに運命的なつながりを感じていたようだった。ある日、母をまた亡くすという悪夢を見てそれから動画を送ってきてくれた。それはオーディションではなく、ただ歌を歌っている場面を撮影したものだったんだけど、僕にはすぐに彼はエルヴィスと同じ感性や完成やピュアな魂を持っていると感じられたんだ。

―― 監督にも運命的なものが感じられたんですね。

バズ 普通ではなかった。これまでのキャスティングとは全く違ったものになったよ。オースティンは最初から練習を重ねてきて役になりきっていたから、予期せぬ事態にどう対処するかテストをすることになったんだ。あんな早い段階でそこまでできる役者は他にいないよ。

 同時に年老いたエルヴィスや、カラテムーブをどうこなすか知る必要もあったし、若いエルヴィスの歌声はオースティン自身のものだからスクリーンテストでは歌声を聞きたかった。

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