広島・三原の老舗駅弁店が、お米1粒1粒に込める愛情とは:三原「春彩すき焼き弁当」(1250円)(1/3 ページ)
駅弁それぞれにある「お米」へのこだわり。その違いを感じると駅弁がまた一段とおいしく感じられるものです。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
駅弁屋さんの取材で楽しいことの1つは、それぞれの駅弁屋さんの「米」へのこだわりを伺うこと。それぞれの駅弁屋さんには、それぞれのこだわりがあり、その違いを感じると、駅弁がまた一段と美味しく感じられるものです。今回は、広島・三原駅と福山駅の駅弁を手掛ける「株式会社浜吉」のお米と食材へのこだわりを伺いました。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第35弾・浜吉編(第5回/全6回)
山陽本線の尾道駅から路線バスで10分あまり、山陽新幹線の「新尾道駅」があります。昭和63(1988)年、東広島駅と同時に開業した新幹線単独駅で、基本は、毎時1本の「こだま」のみが停車。「のぞみ」「みずほ」「さくら」などの速達列車は通過していきます。三原までは約10km、約6分の距離で、山陽新幹線では、最も短い駅間となっています。尾道市の内陸部へのアクセスには、重宝な場所にある駅です。
そんな尾道をルーツに持つ駅弁業者「株式会社浜吉」。6代目の赤枝俊郎(しゅんろう)代表取締役は、学生時代から飲食業界に携わり、縁あって駅弁業者の社長となりました。その食べ物好きの原点は、母親の作ってくれた「玉子焼き」なのだそう。とりわけ、大きな玉子焼きを作ってくれた記憶が、いまもよみがえると言います。今回は、玉子焼きを含め、浜吉の食材へのこだわりを伺いました。
お客様のために、お米1粒1粒を「優しく」炊き上げたい!
―浜吉の駅弁では、どんなお米を使っていますか?
赤枝:(2021年産米の食味ランキングで初めて最高ランクの「特A」を獲得した)広島県産の「恋の予感」というお米を使用しています。基本的に固くなりすぎず、冷めてもふっくらやわらかい食感が楽しめます。基本的にお米は、その時々で良いものを選択しています。かつては、お米の問屋さんにブレンドしてもらっていた時期もありましたが、現在は一種類のお米のみを使うようにしています。
―ごはんの炊き方のこだわりはありますか?
赤枝:お米は「優しく」扱うことに尽きると思います。最初にお水を入れるときもそっと入れて、お米が割れてしまわないように丁寧に扱います。米粒が割れてしまうと、ご飯の粒が小さくなってしまうので、お客様にご満足いただけないんです。もしもお米を荒っぽく扱っていると、あとで(それに応じた)結果が出ると思います。自動炊飯システムを導入してはいますが、需要に応じて、丸いガス釜を使用するときもあります。
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