川村壱馬×三山凌輝　異なるグループのアーティストが協力して作品を作るためには「蚊帳の外にいる人をゼロにしたかった」　HiGH＆LOW THE WORST Xインタビュー（1/2 ページ）

それぞれの相棒、吉野北人さん＆中本悠太さんとの関係も聞きました。

　「HiGH＆LOW」シリーズ最新作となる映画「HiGH＆LOW THE WORST X」が9月9日から公開。高橋ヒロシさん（高ははしごだか）の漫画『クローズ』『WORST』とのクロスオーバー映画第2弾で、いよいよ“カラスの学校”こと鈴蘭男子高校が参戦し、不良たちの仁義なき戦いも新たな局面を迎えています。

「HiGH＆LOW THE WORST X」

　2019年公開の前作「HiGH＆LOW THE WORST」に続いて物語の中心となるのは川村壱馬さん（THE RAMPAGE）演じる花岡楓士雄。前作で山田裕貴さん演じる番長・村山良樹が卒業し、今回からは鬼邪高校の“頭”として荒くれものを率いていくこととなります。対するは瀬ノ門工業高校を率いる頭・天下井公平。三山凌輝さん（BE:FIRST・RYOKI）が人当たりのいい笑顔を封印し、楓士雄と鬼邪高を容赦なく追い詰める悪役を演じています。

　ねとらぼでは、8月16日＝ハイローの日記念イベント登壇後の川村さんと三山さんにインタビュー。劇中の対立関係を全く感じさせず終始じゃれ合う素顔の2人に、撮影現場でのエピソードや、お互いの仲間への思いを聞きました。

川村壱馬さんと、三山凌輝さん

口をそろえて「かわいい」　不良同士、激しいバトルの舞台裏で深まった関係

　このインタビューには不参加でしたが、イベント後の取材現場には横山清史役のうえきやサトシさん、小田島有剣役の塩野瑛久さん、そして轟洋介役の前田公輝さんの姿も。学校の垣根をまたいでケーキをつついたり自撮りに興じたりと想像以上に和やかでにぎやかな中でのインタビューとなりました。

花岡楓士雄役の川村壱馬さん

――　劇中で怒鳴り合いながら殴り合っていたとは思えないほど皆さん仲良しですね。お二人は今回が初共演ですが、共演前後で印象は変わりましたか？

劇中でのイメージ

川村壱馬（以下、川村）　最初は印象がどうという以前に、どんな子かすら分からない、率直にそんな感じでした。ふたを開けてみたらまぁキャンキャンとよく懐いてくれる。人懐っこいワンちゃんみたいな子。「あぁ、いいやつなんだ」とすぐに打ち解けましたね。

三山凌輝（以下、三山）　仲良くなりたかったので、僕からいろいろ話し掛けさせてもらいました。最近はもう犬だ犬だと言われすぎているので、そろそろ犬種でもいいから教えてくれないかって。そうしたらダックスでしたね（ドヤ顔）。

ダックスだそうです

――　ダックス！　いったいどのあたりが？

川村　（笑いながら）かわいらしいんですよ。ダックスもかわいらしいじゃないですか。めっちゃほえるしうるさいけどかわいくて愛嬌（あいきょう）がある。

三山　でも撮影が終わって仲が深まってから気が付いたのは、（川村さんは）素からしてクールでかっこいいけど、同時に意外とおちゃめなこと。ちゃめっ気がある。かわいらしいときが時々あるんです。

――　つまり互いにかわいいと思っていると。作中では全くそんな要素はなく、敵対関係にある2人を演じていました。インタビュー前の写真撮影ではお互いをにらみ合うカットもお願いしましたがいかがでしたか？

三山　さっき久々ですよ！　いきなりめちゃくちゃにらんできて。「いや無理なんだけど、この人」「そんな顔できないよ～」ってすっかり困っちゃった。

カメラマンのお願いで、いきなりめちゃくちゃにらんでくれた川村さん

表情を保てない三山さんにつられてつい吹き出してしまった場面

――　実際、撮影中に「耐えられない！」と先に目をそらしたのは三山さんでしたね。そんなに仲がいいのなら、映画の撮影現場ではあえて距離を取ったり話さないようにしたりといった役作りは必要でしたか？

川村　距離を取ったりとかは全くないです。カメラが回ったらすぐ役に入ります。

三山　撮影以外じゃ仲良くなってからはずっとこういう感じですね。

――　プロの仕事！　逆に役に入り込みすぎて、素に影響が生じることはありましたか？

川村　役から学んだという意味での影響はありました。特に前作「THE WORST」で初めて花岡楓士雄を演じたとき、仲間をめっちゃ大切にして、誰とでも「みんな友達～」とフランクにからんでいける、楓士雄が持っている底抜けの明るさは僕にはなかった。いつでも本質を追い求めている性格には通じる部分があるんですけどね。

――　一方で三山さんが演じる天下井は、手段を選ばず目的のため他校をも巻き込んで鬼邪高を追い詰めていく悪役。学ぶとプライベートに悪影響がありそうですが？

川村　確かに。反面教師？

三山　反面教師として逆に学べますね！　「天下井のやることをやらなきゃいいんだ！」という気持ちでいればいいのかも。

　僕の場合は短いスパンで一気に天下井を演じたので、役に入り込みすぎてしまった。撮影中、「BE:FIRST」の撮影に参加した日が1日だけあって、楽曲も明るめのものだったから曲調に合わせて楽しい表情で撮影を進めていたのに、カットがかかった瞬間にスンッと急に真顔になっちゃって。もはや天下井が降りてきたみたいな表情。

MVに突然現れる「スンッと急に真顔になっちゃって。もはや天下井が降りてきたみたいな表情」（イメージ）

　カット後もしばらく録画は続いているじゃないですか。後からみんなで確認したら僕の真顔どアップで終わるという……。

――　ちょっとしたホラーじゃないですか……。

三山　もう、どホラーでした。

川村　切り替わりようがやばいなぁ（笑）。

MVでは見られない表情

――　アーティスト業への影響を含め、天下井という悪役を演じることでファンの印象が変わるリスクを考え、作品ファンから嫌われてしまうのではとためらったりすることはあったのでしょうか？　鬼邪高にはクスリは禁止、また他者を巻き込みむやみやたらにケンカはしない、不良の優等生的な側面があるため、天下井という悪すぎる不良は衝撃的で、歴代の悪役と比べても引けを取らないと感じました。

三山　そんなこといわれても役は役だもんね？

川村　（笑いながら）かなり悪いタイプ、確かに。

三山　逆にいうなら天下井は犯罪的な動きはやっていないですからね！　「そこに免じて許してちょ」って感じですか？（笑）

　天下井にもいいところはあって、とても人間らしいキャラ。もちろん楓士雄と対になる悪役ではあるけれど、ただの悪ではなくてちゃんと信念を持っているからいろいろなところでぶつかっている。だからこそ今回の「HiGH＆LOW THE WORST X」がより一層、面白くなっていると思うんです。

川村　意外と天下井に共感する人もいそう。育ってきた環境によって曲がってしまったり、トゲトゲしくなってしまったり。天下井のそういう部分に共感して、好きにやらせてくれる他のキャラクターもいる。全てひっくるめていいメッセージが込められていると思います。