千葉・南房総ではなぜ、安価な「あわび」の駅弁を提供できたのか?安房鴨川「あわびちらし」(1250円)(1/3 ページ)

千葉・南房総へ行ったならばぜひ食べたい海の幸。60年も続くロングセラー「あわび」の駅弁、いかがですか?

» 2022年09月18日 12時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

 「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

安房鴨川「あわびちらし」(1250円) 安房鴨川「あわびちらし」(1250円)

【ライター望月の駅弁膝栗毛】:あわびちらし

 海辺のお宿に泊まると、夕食にしばしば登場するのが「あわび」料理。刺身、バター焼き、そして踊り焼きなど、さまざまなバリエーションで楽しむことができて、食卓が盛り上がります。そんな「あわび」を60年以上前から、駅弁としてお値打ちな価格帯で販売してきたのが、千葉・勝浦が発祥の老舗駅弁業者「南総軒」です。なぜ、南総軒では、あわびを使った駅弁を販売することができたのでしょうか?

安房鴨川「あわびちらし」(1250円) 255系電車・特急「わかしお」、外房線・安房鴨川〜安房天津間

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第36弾・南総軒編(第2回/全5回)

 真夏の空の下、安房鴨川駅を発車した特急「わかしお」号が、東京を目指してスピードをグングン上げていきます。平成5(1993)年にデビューした255系電車は、いまもグリーン車連結の9両編成。女優さんとミュージシャンのテレビCMも放映された“房総ビューエクスプレス”の愛称とともに、内房線の「ビューさざなみ」、外房線の「ビューわかしお」として登場しました。いまは「わかしお」の他、総武本線の「しおさい」としても活躍しています。

安房鴨川「あわびちらし」(1250円) 南総軒

 「わかしお」の始発駅・安房鴨川の駅弁を手掛けているのが、昭和4(1929)年創業の「合資会社南総軒(なんそうけん)」です。もともとは勝浦駅の駅弁屋さんで、「わかしお」の運行開始に合わせて、鴨川に進出しました。いまは安房鴨川駅近くの国道沿いに本社を構え、駅弁はもちろん、南房総一帯の仕出し等も手掛けています。「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第36弾は、南総軒の越後貫薫夫(おごぬき・しげお)会長にお話を伺いました。

安房鴨川「あわびちらし」(1250円) 越後貫薫夫(おごぬき・しげお) 合資会社南総軒 会長/昭和20(1945)年1月4日生まれ(77歳)。千葉県勝浦市出身。2代目のお父様が亡くなったあと、経営に携わる。病のために早くして亡くなった3代目のお兄様の後を継いで、4代目の代表社員(社長)に就任。現在は代表社員を息子の正剛(まさよし)さんに譲り、会長を務めている。
安房鴨川「あわびちらし」(1250円) 400年以上の歴史がある「勝浦朝市」

千葉・勝浦の有力者が出資して作られた駅弁店「南総軒」

南総軒はもともと、勝浦の駅弁屋さんでしたが、創業のきっかけを教えてください。

越後貫:南総軒の初代社長は、祖父・越後貫輝(おごぬき・てる)と言います。南総軒は、勝浦の有力者が集まって出資して作られました。祖父はとりまとめ役といったところです。父から聞いた話では、昭和4(1929)年の南総軒創業以前、越後貫家は、勝浦を拠点に乗合バス(路線バス)をやっていたと言います。父や小湊にいた叔父がハンドルを握って、勝浦から、日蓮聖人ゆかりの誕生寺へ参詣者の輸送などを担っていたようです。

バス会社からなぜ、「駅弁店」に?

越後貫:設立された経緯は私が把握している史料ではわかりませんが、昭和4(1929)年に房総線(いまの内房線・外房線)が全線開通した際、お客様のサービス向上のため、(機関区も置かれていた)勝浦駅での構内営業が求められたのではないかと思われます。そこで、交通に携わっていた祖父の存在もあって、当時の東京鉄道局の承認を得られたのではないかと。屋号も旧上総国の南にある勝浦ですので、「南総軒」となったわけです。

安房鴨川「あわびちらし」(1250円) 昭和40年代まで房総で活躍した8620形蒸気機関車(茂原市・萩原公園)
       1|2|3 次のページへ

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/28/news195.jpg 岡田紗佳、一連の騒動を生中継で謝罪 頭を深く下げ「申し訳ございませんでした」
  2. /nl/articles/2501/28/news155.jpg がん闘病の森永卓郎、容態急変後にモルヒネ投与で“結構厳しい状況” スタジオ出られず弱々しい声で「そう長く持たないかもしれない」「本格的に転移が始まったよう」
  3. /nl/articles/2501/29/news045.jpg 新潟のお葬式で香典返しにもらった“謎の白い物体” パッケージにも情報なし「これなんだかわかりますか?」
  4. /nl/articles/2501/26/news053.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  5. /nl/articles/2501/29/news086.jpg 鮮魚店で売れ残ったタコを水槽に入れたら、数週間後まさかの展開が…… 胸を打つ光景に「目が腫れるくらい泣いてます」
  6. /nl/articles/2501/28/news034.jpg 大人なら5秒で解きたい!「9+0÷2−3」の答えは?【算数クイズ】
  7. /nl/articles/2501/29/news058.jpg 「うちの祖父(81)わけてほしいわこのセンス……」 衝撃的な私服コーデに驚きの声「本物のイケジイ」「目標にします!!」
  8. /nl/articles/2501/29/news023.jpg 買ったばかりの家の風呂場に”ありえない欠陥” 信じられない状況に「そんなことある?」「取り付けた業者……」
  9. /nl/articles/2501/27/news073.jpg 「昔はモテた」と自慢げな父→娘は“絶対ウソやん”と思っていたけど…… 当時の姿に「ハハハ冗談だろ?」【海外】
  10. /nl/articles/2501/29/news122.jpg 正方形のスカーフ1枚→切ってゴムを縫い付けるだけで…… 魅力的な完成品に「デザインがきれい」「簡単に作れました」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」