「日本人は日本列島に住む民族を血統に持つ」差別と指摘される資料を配布 大道芸W杯の公式とプロデューサーが謝罪(1/2 ページ)
プロデューサーを解任、「中国人は2人だと虫になる」など発言【10月9日12時15分追記】
アジア最大級とうたう大道芸フェスティバル「大道芸ワールドカップin静岡」の実行委員会は10月6日、外国への差別とも取れる内容を記載した資料をボランティアスタッフ向けに配布したことについて、公式サイトで謝罪しました。
資料を配付したのはプロデューサーで、舞台俳優の奥野晃士氏。SNS上での投稿によると、資料では「2022年は日本人パフォーマーによる日本人らしい祭典を目指す」として、Wikipediaに記載の内容をもとに日本人について「日本列島に居住する民族(大和民族、アイヌ民族、琉球民族)を血統に持つ人」などと定義していました。
そのほか、資料には「Y染色体グループから推定される日本人の成立史」「日本人の特徴」などの項目があります。日本人は礼儀正しさや規律があるとして、「私たちに自然と身についているこの教えは、実は『武士道』が起源なのです」などと持論を展開する項目も見られました。
実行委員会は資料の内容について多くの意見が寄せられたことを受け、「大道芸ワールドカップin静岡2022を楽しみにされていた市民の皆さま、演技予定のアーティストの皆さま、ボランティアとしてご協力いただく皆さま、スポンサーの皆さまに、多大なご心配・ご迷惑おかけし、お詫び申し上げます」と謝罪しました。
また、奥野氏はTwitterで「この度は、大道芸W杯内部講習の資料に偏った内容を掲載し、それが『大道芸W杯』そのものの思想であるかにように紹介したのは私の完全な間違いでありました。心よりお詫びし、撤回させていただきます。また後日改めて謝罪させていただきます」と述べています。
なお、実行委員会は発信した内容や状況について確認したうえで、今後の対応も含め、あらためて報告するとしています。
プロデューサーを解任、「中国人は2人だと虫になる」など発言【10月9日12時15分追記】
大道芸ワールドカップの実行委員会は10月7日、「当該内容は大道芸ワールドカップの理念にもとるものであるとともに、看過できるものでない」として、奥野氏を解任し、委員長の杉山茂之氏が引責辞任することを発表しました。今後は副委員長が委員長代理を務めるとのこと。大会の開催可否についてはあらためて報告するとしています。
また、奥野氏が長年俳優として出演していた、公立文化事業集団「公益財団法人静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center:SPAC)」は10月7日、奥野氏本人より「現在予定されているSPACの事業への出演・参加をすべて辞退する」との申し出があり、当該事業では俳優を変更すると発表しました。奥野氏の行為については「公的な事業のプロデューサーという立場として極めて不適切だと考えます」との見解を示しています。
毎日報道やTBSテレビの報道によると、奥野氏が配布した資料には「中国人は1人だと龍だが、2人だと虫になる」といった表現も含まれており、奥野氏は「中国の(王朝が交代する)易姓革命は皆殺し文化だ」などと発言していたとのこと。
奥野氏は10月9日、Twitterで「大道芸ワールドカップは世界から多くの方が集まるイベントであり、国籍性別年齢等にかかわらず参加できる、広く開かれた場です。私の事実を誤認した考えをあたかも大道芸ワールドカップの理念であるかのように伝えてしまったことをいま深く恥じております。大道芸ワールドカップには、人を選別するような理念は少しも入っておりません」とコメント。あらためて実行委員会委員やボランティア、スポンサーに謝罪しました。
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