「身体を貸すことを惜しまないように」 池田エライザ、ドロンジョの“壮絶な生きざま”体現 初ボクサー役で肉体改造(1/2 ページ)
役とは異なる“目標を持たない”生き方も明かす「実は私、そんなに挑戦していない」
「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」のキャラクター、ドロンジョの知られざる過去を題材にした「タツノコプロ創立60周年記念 WOWOWオリジナルドラマ DORONJO / ドロンジョ」が10月7日(金)から放送・配信開始。のちのドロンジョとなる主人公・泥川七音(どろかわなお)を演じるのは俳優の池田エライザさん。セクシーで憎めないドロンジョの“壮絶な生きざま”が令和に明かされます。
「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」は、お宝ドクロストーンを巡って正義の味方ヤッターマンがドロンジョ率いる悪党3人組の“ドロンボー”一味と争奪戦を繰り広げる、1977年に放送されたアニメ。以後も、アニメや実写映画化などリメイク作品が制作され、不朽の名作として鎮座しており、2015年には、ドロンボー一味が主役となったアニメ「夜ノヤッターマン」が放送された他、日本テレビ系列「ZIP!」のコーナーで「グッド・モーニング!!! ドロンジョ」がスタートするなど、ドロンボー一味も根強い人気を誇っています。
そんなドロンボー一味のメンバーであるドロンジョにスポットライトを当てた実写ドラマ「DORONJO / ドロンジョ」は、ギャグコメディーから一転、ダークでシリアスなストーリーに。多くの人が知る“ドロンジョ様”としての姿ではなく、貧しく過酷な環境で必死に生きる泥川七音の姿が描かれます。
七音の過去が明かされる中で、のちの“ヤッターマン2号”となるドロンジョの敵・聖川愛花(山崎紘菜さん)も登場。七音とは対照的に、裕福な家庭で育ちインフルエンサーとして活動しており、2人はボクシングの日本代表を巡るライバルとして出会います。
さらに「世の中を良くしたい」と、愛花と一緒に真っすぐな“正義”を掲げる、のちの“ヤッターマン1号”・高岩田ガン(金子大地さん)や、ドロンボー一味となる2人の青年も登場。メカ造りの天才・“ボヤッキー”こと飛悟(矢本悠馬さん)や天然で怪力の“トンズラー”こと匠苑(一ノ瀬ワタルさん)と七音はなぜ出会ったのか、切ないドラマが盛り込まれています。
撮影を終えた池田さんにインタビューを実施したところ「現代で再びドロンジョが取り上げられた理由、なぜ今必要な作品なのだろうという観点でも見ていただけたら」とアピール。ボクシングに挑み続ける七音の思いを想像し、思わず「愛ちゃんをぶちのめしたい」と強い言葉が飛び出す一方で、七音とは全く異なる自身の生き方について穏やかに語りました。
「気付いたらボクサーに」 池田エライザが体を張った“ドロンジョ様”
――ドロンジョ役が決まったときの心境を教えてください。
池田エライザさん(以下、池田) 「タツノコプロ創立60周年記念」とWOWOWで作品を作るということで、すごくワクワクしました。この現代に新たなドロンジョが生まれること、とても興味深かったです。
私がお話をいただいたときは、まだ脚本が仕上がっておらず今とは全く違うお話でしたが、どの段階でも制作者からドロンジョへの愛情を感じましたね。まさかボクサーになるとは思わなかったですけど(笑)
――ボクサーになることは知らなかったんですね。
池田 どういう話になっていくのだろうと経過をずっと見ていたら、気付いたらボクサーになっていて、かっこよさを感じましたね。演じる上で体力的にしんどそうだな、一筋縄ではいかないなと思う反面、七音はすごく真っすぐな子なので、まわりくどくなく演じられるなぁとも思いました。
――原作のドロンジョに抱いていたイメージは、脚本を読んで変わりましたか?
池田 原作のドロンジョは長く愛されてきたキャラクターで、一味との軽快な掛け合いや面白さ、応援したくなる悪役の元祖だと思っていました。そして彼女から、“絶望しないで立ちあがる力”を感じていました。そんな強さや、生きることへの執着でいうと、七音にもやっぱり“ドロンジョ様”と通ずるものがあるんですよ。
加えてどちらの作品も「見ている人に夢を与えたい」という制作者の意思を感じました。アニメと比べると今回はすごくダークなお話にはなりますが、ドロンジョ様はドロンジョ様のまま、見方が変わることはなかったです。トンズラーとボヤッキーもいますしね。
――ドロンジョの根本的な部分は変わっていないと。演じる上では、何を大切にしていましたか?
池田 七音がやりたいことを、ちゃんと表現しなければいけないと思いました。七音が叫ぶたびに私の喉が枯れていくけれど、でも、七音だったらもっともっと叫んで枯れるのかもしれないとか。七音に身体を貸すことを惜しまないようにしましたね。毎日がむしゃらでした。
ボクサーとして“いかにボクシングに特化した身体に改造できるか”という必要もあったので、どんどん猫背になっていきましたし、普段使わない肩の筋肉がつきました。体が順応するまでに、時間がかかったなぁ。とにかく身体で痛くないところがなかったです。
――フィジカル面で過酷な撮影だったのですね。内面的にはどのような苦労がありましたか。
池田 七音のハードな生い立ちを演じた1話から3話までは、精神的にずっときつかったです。正義を信じられなくなり、新たな価値観を積み上げていくまでの過程がしんどかった。あと七音は同情されるのが嫌だと思ったので、安易な気持ちで同情したり、共感したりしないようにしていました。七音の気持ちは計り知れないと……。
分かった気にならないよう意識した上で、伯父で育ての親である正治と一緒に過ごし、“お芝居として”七音の人生を経験している私が感じたままを大事にしました。シーンにない日常は想像で補いましたね。クランクインまで時間があったので、ボクシングを練習しながら、ずっと七音のことを考えていました。
――具体的に、どんなことを考えていたのでしょう。
池田 何百、何千とありますが……例えば「インファイト」という、七音のボクシングでの闘い方について。自分から敵に接近してアッパーやフックなどで攻撃する戦術で、七音はまさに自ら突進する“インファイター”なんです。そこで、「七音は何でインファイターなのかな」と考えました。
答えは「七音が闘いたい相手は決まっているから」。正直、七音がボクシング選手として強いか弱いかでというと、何とも言えない。でも「愛ちゃんをぶちのめしたい」という強い気持ちで日々練習しているんだろうなと。その気持ちを抱えた日々を想像しながら、私も練習しました。
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