アイカツ、プリマジ、ガル戦……、続々と縮小していく女児向けコンテンツ プリキュアとともに「女の子向け市場」を盛り上げてきたIPに何が起きているのか?サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

» 2022年10月27日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]
前のページへ 1|2       

「アイカツ!」は終わるわけでない

 ただ一つ勘違いしないでいただきたいのは、「アイカツ!」や「プリティーシリーズ」は決して「終わる」わけではないのです。

 例えば「アイカツ!」の場合、バンダイナムコの決算報告をみるとアイカツ「グループ全体」としての売り上げは確かに2014年のピーク時よりも大きく落ち込んでいますが、その詳細を見てみると、大きく落ち込んでいるのはトイホビー部門(「アイカツ!」の場合、主にカードの売り上げ)なのです。

 それ以外(「アイカツ!」の場合はサンライズ制作のアニメやランティスの音楽CD、ライブなどの売り上げ)は比較的安定して推移していることが分かります。

デリシャスパーティプリキュア 「アイカツ!」で大きく落ちているのはトイホビー部門(カード売り上げ)

 要は、「アイカツ!」は「女の子にアミューズメント施設に来てもらい100円、200円を落としてもらう」というビジネスが、コロナ禍もあり苦戦続きとなり幕を閉じることとなっただけなのです。

 「アイカツ!」シリーズはこれまでもライブなどでの大きな実績もあり、この先もさらに安定した収入が見込まれる映画やグッズ、CD、ライブなどを主体としたビジネスへと転換し続いていくものと思われます。

デリシャスパーティプリキュア 「アイカツ!」は映画、音楽ライブなどでこの先も続いていきます(出典:Amazon.co.jp

 事実、「アイカツ!」シリーズは、2023年春に10周年記念映画「映画アイカツ!10th STORY〜未来へのSTARWAY〜」を公開予定。2023年2月には10周年記念ライブ「アイカツ!シリーズ10th ANNIVERSARY LIVE」の開催も控えているなど、この先も積極的な展開が見られます。

 「アーケード筐体を主軸に新規の子ども向けに幅広く展開するビジネス」から「これまでアイカツを好きでいてくれた、かつての子どもたち」に向け、IP資産を生かした展開が続いていくものと思われます。

 一方、タカラトミーの「プリティーシリーズ」も、アーケード筐体は「ワッチャプリマジ!スタジオ」として継続、月額サービスの導入など新しい試みも実施されます。またWebアニメおよびアプリゲーム「アイドルランドプリパラ」も展開を控えているなど、まだまだ終わるわけではありません。あくまで「いったん休止」となっただけなのです。12月にはライブ「プリパラ&キラッとプリ☆チャン& ワッチャプリマジ! Winter Live 2022」も予定されています。

デリシャスパーティプリキュア 「プリティーシリーズ」も引き続き継続していく(出典:Amazon.co.jp

 また、女の子向け特撮を現代によみがえらせたタカラトミーの「ガールズ×戦士」シリーズは、男の子も登場するダンスドラマ「リズスタ-Top of Artists!-」へと路線を変え「子ども向けコンテンツ」として継続しています。

 この10年間「女の子向け」として隆盛したコンテンツたちは、どのIPも「小さな女の子向け」という枠にとらわれない方向へと舵を切り出したのです。

デリシャスパーティプリキュア 「リズスタ」は男子も登場するダンスドラマ(出典:Amazon.co.jp

プリキュアは映画が絶好調も玩具はピーク時の半分以下

 一方、ずっと「女の子向け」として続いている「プリキュア」シリーズはこの秋、絶好調です。

 9月23日に公開された「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」(・はハートマーク)が大好評で、興行収入、動員ともにコロナ禍以前を上回る結果を出し、大復活を果たしています。

デリシャスパーティプリキュア 秋の映画が絶好調の「デリシャスパーティプリキュア」

 「デリシャスパーティプリキュア」はその作風に合わせ、「ミスタードーナツ」「はなまるうどん」「銀だこ」などと積極的なコラボを展開し、子どもたちへの認知を広げています。

 ただ、映画は絶好調ながら玩具など関連商品の売り上げはピーク時(2010年)の半分以下にまで落ちているのもまた事実です。

 近年の「プリキュア」シリーズは、プリキュア専門ショップ「プリティストア」を中心とした大人に向けた商品展開も積極的に行い販路を広げています。また、かたくなに対応してこなかった「見放題配信サービス」での見逃し配信も2022年に解禁されるなど、プリキュアも時代に合わせ変化しています。

変わっていく女の子向けコンテンツ

 「催事イベント」「キャラショー」「アミューズメント施設でのゲーム」などがコロナ禍により展開が容易ではなくなったことに加え、かねて少子化も加速し、女の子向けコンテンツは大きく変わってきています。

 講談社『たのしい幼稚園』や『おともだち』といった雑誌媒体も今や3カ月に1回の発行となるなど、女の子向け市場はどんどん縮小しています。

デリシャスパーティプリキュア デリシャスパーティプリキュア第32話では「くまモン」とのコラボも

 「テレビ放送と玩具と雑誌とが連動」「アーケード筐体とアニメが連動」といった、この10年間、女の子向けの主流だったビジネススタイルは大きく変わってきています。

 昨今では「ぷにるんず」「すみっコぐらし」「ちいかわ」などのコンテンツが小さな女の子に支持されているようです。また「鬼滅の刃」ブーム以降は「SPY×FAMILY」などの一般アニメも未就学児にまで広がってきています。

 テレビよりもYouTubeを見る子どもたちが多い時代に向けた「女の子向けコンテンツ」はどうなっていくのでしょうか。

 まずは2023年「プリキュア20周年」に注目していきたいですね。

デリシャスパーティプリキュア

 現在放送中の「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。

「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

関連キーワード

プリキュア | アニメ | 東映


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」