1年後の生存率は16%以下――多くのワンコを苦しめるガン“血管肉腫”を治療可能にするために 基礎研究支援のクラウドファンディング実施・北大

人にも役立つ研究かもしれません。

» 2022年11月25日 07時00分 公開
[神奈川はなねとらぼ]

 北海道大学・大学院獣医学研究院の青島圭佑助教率いる研究チームが、犬に多く発症するガン「血管肉腫」を治療可能にするための基礎研究支援のクラウドファンディングを「READYFOR」で実施しています。プロジェクトの概要はこちらから見られます。

北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング 「血管肉腫」は犬に多く発症するガンです(出典:レディーフォーより)

 血管肉腫はいまだ不明な点が多く、有効な治療法が見つかっていない病気。ある研究では手術と抗ガン剤治療を行った場合でも、1年後の生存率は16%以下と報告されています(Moore AS., et al. 2017)。

北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング 北海道大学「血管肉腫」研究のクラウドファンディング(出典:レディーフォーより)

 青島助教いわく、血管肉腫の新しい治療法を見つけるべく研究を開始したものの、動物のガン研究を対象とした助成団体や企業の支援はほとんどなく、資金をなかなか得られない日々が続いたとのこと。社会に求められているのか疑問に思う日もあったそうです。

 しかし、2021年に血管肉腫研究のプレスリリースを発表して以降、血管肉腫と診断されたワンちゃんの飼い主さんからたくさんの電話やメールが届き、“研究をこれまで以上に大きく進めなければならない”と認識したといいます。

 今回のクラウドファンディングは、新しい治療法開発につながる基礎研究の資金を得るためのもの。クラウドファンディングはプロジェクトを支援する人々の声を直接聞くことができるため、モチベーションを大いに高めてくれるといいます。また、研究成果を求めている人のことを強く意識しながら研究を進められるそうです。

北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング 現在は基礎研究を行っている段階です(出典:レディーフォーより)
北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング プロジェクトメンバーの一人、大学院生の鈴木玲海さん(出典:レディーフォーより)
北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング 実施責任者の青島助教(出典:レディーフォーより)

 同研究は犬だけでなく、将来的には人にも役に立つとのこと。血管肉腫は人にも発生するものの、非常にまれなガンのため、研究を進めることが困難といいます。しかし、犬と人の血管肉腫はとてもよく似ているため、“犬での研究成果は人の血管肉腫にも応用できるはず”としています。

北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング 目標金額(出典:レディーフォーより)
北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング 研究スケジュール(想定)(出典:レディーフォーより)
北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング これからの研究 犬の血管肉腫の患者由来組織移植モデル(PDXモデル)ライブラリーの構築(出典:レディーフォーより)
北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング PDXモデルを用いることであらかじめ薬の効果を調べることができるようになるそうです(出典:レディーフォーより)

 集まった寄付金は研究資金に活用。支援のリターンは、お礼のメッセージや研究報告レポートが届く「【個人向けコース】お気持ち支援(5000円+システム利用料)」「【個人向けコース】人と動物の比較腫瘍学オンラインセミナー(3万円+システム利用料)」など10種類以上。オンラインセミナーや北海道大学札幌キャンパスツアーに参加できる「【個人向けコース】北海道大学札幌キャンパスツアー(10万円+システム利用料)」も用意されています。

北海道大学、血管肉腫研究のクラウドファンディング リターンの中には「北海道大学札幌キャンパスツアー」も(出典:レディーフォーより)

 寄付の募集期間は12月26日午後11時まで。目標金額を達成した場合にのみ、集まった寄付金を受け取ることができる、All-or-Nothing方式のプロジェクトです(寄付を行うと2023年の確定申告で税制上の優遇措置を受けられます)。

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