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» 2022年11月27日 12時00分 公開

列車の高速化、クルマ社会の拡大……唯一残った宇都宮の駅弁屋さんを救ってくれたものとは?宇都宮「日光杉並木」(1000円)(1/3 ページ)

昔は「窓から」、特急や新幹線になって「売店や車内販売」、それも風前のともしびに……。今も頑張る駅弁店が見いだした活路とは。

[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

 「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介。

宇都宮「日光杉並木」(1000円) 宇都宮「日光杉並木」(1000円)
C11形蒸気機関車+12系・14系客車「SL大樹ふたら」、東武日光線・上今市〜東武日光間 株式会社松廼家・齋藤久美子代表取締役 いまの宇都宮駅売店 岩下の新生姜とりめし 東武日光駅 日光杉並木 日光杉並木 日光杉並木 東武500系電車・特急「リバティけごん」、東武日光線・東武日光〜上今市間

【ライター望月の駅弁膝栗毛】:宇都宮「日光杉並木」

 私鉄の日本鉄道をルーツとする路線が多い東日本エリアの各線では、1つの駅で複数の駅弁屋さんが、切磋琢磨してきました。駅弁発祥の地とされる宇都宮では、JR初期まで3軒の駅弁屋さんがありましたが、いまはわずか1軒。孤高の駅弁屋さんは、何を思い、どんな活路を見出しているのか、お話を伺いました。

C11形蒸気機関車+12系・14系客車「SL大樹ふたら」、東武日光線・上今市〜東武日光間 C11形蒸気機関車+12系・14系客車「SL大樹ふたら」、東武日光線・上今市〜東武日光間

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第37弾・松廼家編(第4回/全6回)

 平成29(2017)年8月から、日光・鬼怒川周辺で運行されている東武鉄道の「SL大樹」。現在は蒸気機関車が3両体制となり、毎日の下今市〜鬼怒川温泉間の運行に加えて、「SL大樹ふたら」として、下今市〜東武日光間で運行される日も増えてきました。日光の杉並木をバックに、黒い蒸気機関車からモクモクと上がる煙が旅情を誘います。いまでは、JR線以上に“国鉄っぽい”旅と風景を楽しめる、東武日光線・鬼怒川線です。

株式会社松廼家・齋藤久美子代表取締役 株式会社松廼家・齋藤久美子代表取締役

 昔は汽車の窓から体を乗り出して、売り子さんを呼び止めて買った駅弁。しかし、特急や新幹線によって、列車の窓が開かなくなり、駅弁は売店や車内販売が主流となりました。その車内販売も風前の灯となり、駅弁屋さんはその数を減らし続けています。そのなかで、頑張る駅弁屋さんは、どうやってモチベーションを保っているのか? 宇都宮駅・株式会社松廼家、齋藤久美子代表取締役のインタビューの3回目です。

いまの宇都宮駅売店 いまの宇都宮駅売店

2010年代からの“鉄道人気”に救われた駅弁!

宇都宮では平成の間に駅弁屋さんが「松廼家」1社となってしまいましたが、どのように感じていますか?

齋藤:2000年代までに白木屋さん、富貴堂さんが駅弁を辞められたことで、周りからは、「松廼家は、売上が上がったんじゃないの?」と訊かれましたが、全くそんなことはなくて、そのままでした。駅弁そのものの需要が減り続けていましたので、正直、早く辞められた会社さんの方が、決断が早いと羨ましく感じたことすらあります。駅に駅弁以外の業者さんが入ってきた時期とも重なって、「駅弁って業種もなくなっちゃうのかな」とも思いました。

そこから「駅弁を続けていこう」というモチベーションにつながった背景は?

齋藤:「まだ、こんな苦しいことを続けていくのか」と思っていた矢先、(2010年代に入って)鉄道や駅弁が改めて注目されるようになって、“駅弁ブーム”のようになってくれたんです。長くやっていればいいこともあるんだと実感させられました。いざというときに、協力し合えるライバルは、本当にいた方がいいと思います。その意味では、多少距離が離れていても、中央会(注)加盟の駅弁屋さん同士で協力、切磋琢磨する関係ができていると思います。

(注)中央会……日本鉄道構内営業中央会/「駅弁マーク」を付けることができる駅弁店の団体

岩下の新生姜とりめし 岩下の新生姜とりめし

コラボに活路を見いだす駅弁!

中央会加盟の駅弁屋さん各社で行われている「多角化」ですが、松廼家では、どんな取り組みをされていますか?

齋藤:駅弁を旅行会社さんのバスツアーに納めることが増えました。コロナ禍でツアーが中断していますが、コロナ前は東北自動車道の佐野サービスエリアなどに駅弁を持って行って、バス旅行のお客様にお届けしていました。ツアーとしても、旅行の単価を抑えつつ、移動中に食事ができることもあり、「駅弁」が重宝されたんです。旅行会社さんによると、バスのお客様も普通のお弁当ではなくて、「駅弁」を楽しみにされていると言うんです。

駅弁は、地元企業との“コラボ駅弁”が増えていますよね?

齋藤:岩下食品さんと組んだ「岩下の新生姜とりめし」(950円)は、平成30(2018)年に行われた栃木県のデスティネーションキャンペーンをきっかけに生まれた駅弁です。岩下食品さんも社長さんが代替わりして、新しい取り組みを始められたタイミングでしたので、弊社からお声がけしたところ、話がトントン拍子に進みまして、新生姜のレシピブックと共に、コラボレーションすることができました。

東武日光駅 東武日光駅

東武日光駅にも「松廼家」の駅弁が登場!

最近は東武日光駅でも、松廼家の駅弁が買えるようになりました。

齋藤:東武日光駅の売店関係者の方が、弊社の駅弁を召し上がっていただく機会がありました。このとき味を評価して下さって、東武日光駅に置いてもらえることになったんです。それまでJR日光駅のイベントで販売する機会はあったのですが、東武日光での販売は、全く考えたことがありませんでした。いまでは大事な販売拠点の1つです。東武日光駅は観光駅ですので、お客様がお求めになる駅弁が、宇都宮駅と傾向が変わるのも、とても勉強になります。

日光杉並木 日光杉並木

 日光東照宮造営の折、松平正綱が奉納した「日光杉並木」。いまでは“世界で最も長い並木道”とも云われます。その昔、日光への参詣者が数多く歩いたであろう並木道。いまも手厚く保護、管理されています。そんな杉並木をイメージして作られた松廼家の駅弁が、「日光杉並木」(1000円)です。東武日光駅で販売される松廼家の駅弁としては、最も人気のある二段重ねの駅弁です。

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