黒磯駅の名物駅弁だった「九尾釜めし」、あの有名な釜めし駅弁との意外な共通点とは?黒磯「復刻版・九尾釜めし」(1/3 ページ)

おや「陶器の入れ物」があの有名駅弁とそっくりです。その理由は……。

» 2022年12月11日 12時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

 「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介。

黒磯「復刻版・九尾釜めし」 黒磯「復刻版・九尾釜めし」
E131系電車・普通列車、東北本線・氏家〜蒲須坂間 フタバ食品・月江さん 黒磯駅で行われていた駅弁販売(2002年撮影) 那須塩原駅 復刻版・九尾釜めし 復刻版・九尾釜めし 復刻版・九尾釜めし E531系電車・普通列車、東北本線・高久駅

 かつては2社が駅弁を製造・販売していた東北本線の黒磯駅(栃木県)。冷菓で有名なフタバ食品株式会社が製造していたのが、「九尾釜めし」です。平成17(2005)年に一旦、製造を終了しましたが、多くのファンの人たちの声を受けて、東北道のサービスエリアの弁当として復活を遂げました。その背景には何があったのか? また、全国的にも有名な釜めし駅弁との共通点も浮かび上がってきました。

E131系電車・普通列車、東北本線・氏家〜蒲須坂間 E131系電車・普通列車、東北本線・氏家〜蒲須坂間

鉄道開業150年・あの名物駅弁はいま(第1弾・黒磯駅「フタバ食品」後編)

 今年(2022年)、夏の甲子園で注目された、みちのくの玄関口・白河の関。ただ、鉄道で長年、その役割を担ってきたのは東北本線・黒磯駅だったと感じます。とくに普通列車で東北本線を北上する際は、上野から黒磯まで揺られた車両を後に跨線橋を渡っていくと、仙台方面へ向かう車両が待っていて、思わず「ここからみちのくかぁ」と感慨に耽ったもの。黒磯駅の改札前で、台車を出して販売していた駅弁を買い求めた方も多いはずです。

フタバ食品・月江さん フタバ食品・月江さん

 昭和32(1957)年〜平成17(2005)年まで、48年間、黒磯駅の駅弁を手掛けたのが、栃木県宇都宮市に本社を置く「フタバ食品株式会社」です。鉄道開業150年に合わせた特別企画「あの名物駅弁はいま」の第1回は、フタバ食品の月江誠さんに、駅弁参入のエピソードを伺っています。今回は名物駅弁「九尾釜めし」の誕生秘話から駅弁の撤退、復刻版の誕生までお話しいただきました。

黒磯駅で行われていた駅弁販売(2002年撮影) 黒磯駅で行われていた駅弁販売(2002年撮影)

「九尾ずし」の姉妹品として誕生した「九尾釜めし」!

昔、東北本線で旅をした方のなかには、『黒磯で釜めしを食べたなぁ』と話す方も多いと感じますが、「九尾釜めし」はどうやってできたんですか?

月江:名物駅弁が1品だけでは……ということで、参入した翌年、昭和33(1958)年に「九尾釜めし」を発売して人気を博しました。100個駅弁を作ると30個が「九尾すし」で、あと70個は「九尾釜めし」といった人気ぶりでした。釜は益子焼を使っていて、横川駅の「峠の釜めし」と同じ窯元の釜でした。駅弁として高崎鉄道管理局に申請した時期もほぼ同じころなんです。昔は釜に刻印を施していたのですが、復刻版では無印となっています。

黒磯の駅弁は、皇室の皆様にも愛されたそうですね。

月江:昭和天皇が那須御用邸へ避暑にいらっしゃっていました。お召し列車で黒磯駅へお越しになって、ひと夏に一度は、必ずと言うほど、弊社の「九尾すし」をお召し上がりになったと言います。大変名誉なことでしたので、掛け紙にも“宮内庁御用達”と入れさせていただきました。いま、皇室の皆さまは、東北新幹線の那須塩原駅をご利用になることが増えましたが、黒磯駅には、当時の貴賓室がしっかりと残されていますね。

那須塩原駅 那須塩原駅

東北新幹線開業で那須塩原駅へ進出も、20年あまりで撤退へ

40年前の東北新幹線開業では、販売拠点を那須塩原駅にも設けられたのですか?

月江:高木(正しくは、はしご高 以下同)弁当さんと共同で、那須塩原駅に駅弁売店を設けました。売店には2社の弁当を一緒に置く形で、販売は弊社と高木弁当さんが1ヵ月ごとに交代する形で担当していました。しかし、高木弁当さんが平成13(2001)年に駅弁から撤退されたため、那須塩原駅における駅弁販売は、キオスク(NEWDAYS)さんに委託する形となりました。

残念ながら、黒磯駅の駅弁を辞められた経緯を教えてください。

月江:シンプルに「売れなかった」ことに尽きます。東北本線の特急・急行から新幹線に移行して、黒磯駅に長時間停車する優等列車がほぼなくなりました。一方、那須塩原駅でお求めいただくには、一旦列車を降りなくてはなりませんから、駅弁がほとんど売れなくなってしまったんです。黒磯は宇都宮ほど人口もなく、需要も季節の間で波が大きくて、経営の“選択と集中”もあり、平成17(2005)年までに駅弁を撤退することとなりました。

復刻版・九尾釜めし 復刻版・九尾釜めし

駅弁の味を愛するお客様の声に推されて「復刻」へ!

その後、「九尾釜めし」「九尾すし」は復刻されましたね。

月江:駅弁から撤退すると、今度は、お客様から復活を求める声が多く寄せられました。地元のイベントで限定販売を行うと「常時販売して欲しい」と仰っていただける方が増えたんです。そこでいまから十数年前に、弊社が経営する東北自動車道・上河内サービスエリア(下り線)で復活させることになりました。幸い、駅弁撤退から数年でまだ駅弁を知るスタッフが多かったのも追い風でした。やめて改めて気付かされた「駅弁のチカラ」ですね。

いま、「九尾釜めし(復刻版)」「九尾すし」を購入できる場所を教えてください。

月江:東北自動車道・上河内サービスエリア(下り線)と、宇都宮駅の「とちびより」です。上河内SAは毎日、「とちびより」では毎週月・火・金・土の販売となります。じつは現在の製造工場は、宇都宮駅近くの東北新幹線高架下にありますので、そこから持っていきます。また、11月3日にはJRの宇都宮運輸区で行われる「宇都宮トレインフェスタ」でも宇都宮駅弁・松廼家さんと一緒に販売を行いました。

       1|2|3 次のページへ

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた