黙食しか知らない子どもたちに「デリシャスパーティプリキュア」の果たした役割は大きいのではないか、というお話サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

デパプリも終盤を迎えました。ゆいちゃんと拓海君の今後が気になります!

» 2022年12月22日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 先日の昼時、イオンのフードコートで一人スガキヤラーメンを食べていると、後ろの家族連れの席から「デリシャスマイル〜!」と女の子の楽しそうな声が聞こえてきました。2022年は小さな子どもの「デリシャスマイル」を聞く機会が本当に多かったのですよね。

 「デリシャスパーティ・プリキュア(・はハートマーク、以下略)」の子どもへの影響力を実感するとともに、新型コロナへの対応が変わりつつあるこの時代に、「ごはんは笑顔」をテーマとしたプリキュアが放送された意義はとても大きかったのではないか、と思うのです。

デリシャスパーティプリキュア 「デリシャスマイル」が口癖の主人公、和実(なごみ)ゆい。とにかくよく食べます

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


デリシャスパーティプリキュア絶好調

 2022年2月にスタートした「デリシャスパーティプリキュア」も、12月に入りあっという間に終盤を迎えてしまいました。

 物語も大きく動き出し、デリシャストーンの謎やおばあちゃんの過去、ブラックペッパーの正体を巡る物語など、随所にちりばめられていた伏線も一気に回収され始めて大きく盛り上がりを見せています(ゆいちゃんと拓海君の物語は本当にステキでした)。

 2022年3月に東映アニメーションの不正アクセス問題により5週の休止となり、急きょその分のお話のつじつまを合わせるため春先から初夏にかけてはやや不自然な展開になってしまうことなどもありましたが、夏以降は追加戦士キュアフィナーレも大人気となり、秋に公開された「映画デリシャスパーティプリキュア 夢みる・お子さまランチ!(・はハートマーク)」はここ数年のプリキュア映画では最高の興行収入となるなど、子どもたちにも大好評となっているようです。

 そんな「デリシャスパーティプリキュア」は1年を通して「ごはん」「ありがとう」「シェア」がテーマとして描かれてきました。そこにはどんな意義があったのでしょうか。

デリシャスパーティプリキュア 「ごはん」「ありがとう」「シェア」をテーマとした「デリシャスパーティプリキュア」

新型コロナを意識して作られた初のプリキュア

 「デリシャスパーティプリキュア(以後デパプリ)」は「新型コロナ」以降で企画された初めてのプリキュアです。

 前々作「ヒーリングっど・プリキュア(・はハートマーク)」(2020年)は「地球のお医者さん」というテーマが偶然にも新型コロナと重なりましたが、企画は新型コロナよりも1年以上前、前作「トロピカル〜ジュ!プリキュア」(2021年)もその明るい作風がコロナ禍を吹き飛ばすといわれていましたが、企画自体は新型コロナ以前の2019年の夏であることが関係者のインタビューで明かされています(『トロピカル〜ジュ!プリキュア オフィシャルコンプリートブック』(学研プラス)より)

デリシャスパーティプリキュア デパプリではごはんを食べるシーンが随所で描かれました

 そういった意味では「デパプリ」が初めて「新型コロナを意識して企画されたプリキュア」なのです。

 では、なぜコロナ禍の中で「ごはん」がテーマとして選ばれたのでしょうか。

 同作を手掛ける東映アニメーションのプロデューサー・安見香さんは、ごはんは「子どもにとって身近なものであること」、そしてコロナ禍により「楽しく食べることの意味を考えさせる時期」であったことを語っています。

今作のテーマとして、料理、特に食べることを選んだ狙いとは?
安見 「お子様にとって身近なものをテーマにしたいというのがありました。(中略)
「デパブリ」を立ち上げたのはコロナ禍まっただ中の2020年の夏頃なのですが、「楽しく食べること」の意味を、改めて考えさせられる時期だったかもしれません。
引用:徳間書店『「デリシャスパーティプリキュア」特別増刊号 アニメージュ』2023年1月号増刊(P57)

 また当作のシリーズディレクター(監督)である深澤敏則さんも雑誌インタビューで、「新型コロナで誰もが疲れている時代に、ごはんをテーマに感謝の気持ちを伝えたかった」と明かしています。

深澤 そして僕なりにいろいろ考えたのが「ありがとう」と「シェア」。この企画に関わり始めたのが、2020年の暮れから21年にかけてだったんです。
――まだコロナ禍一年目の頃ですね。
深澤 誰もがピリピリしていて、みんな漠然と何かを我慢していて……。僕自身も心が疲れていたと思います。そうなると、優しさとか思いやりといったものを、感謝の気持ちとしてきちんと伝えるって、この時代にふさわしいテーマだと思えて。「ありがとう」とか「おいしかったです」と伝えるだけで、相手だけでなく、自分もちょっとほんわかしますよね。
引用:徳間書店『「デリシャスパーティプリキュア」特別増刊号 アニメージュ』2023年1月号増刊(P25)

 デパプリは、「ごはん」という日常を通して、作る人食べる人集う人全てに「ありがとう」の気持ちを伝え、みんなで笑顔をシェアすることを子どもたちに伝えたかったようですね。

デリシャスパーティプリキュア ごはんを通して「ありがとう」の気持ちを伝えたデパプリ
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