劇場アニメ「金の国 水の国」、主演の賀来賢人&浜辺美波が人生の“奇跡”明かす 「こんなに俳優をやっているとは思わなかった」(1/2 ページ)

» 2023年01月30日 20時00分 公開
[斉藤賢弘ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 岩本ナオさんの漫画を原作とする劇場版アニメ「金の国 水の国」が1月27日より全国公開中です。

 同作は、100年にわたって敵対する2つの国を舞台としたファンタジー。豊かな水と緑に恵まれた“水の国”随一の賢さを誇る家族思いの建築士・ナランバヤルと、水以外はなんでも手に入る“金の国”のおっとり者にして第93王女・サーラが、「偽りの夫婦」を演じることから始まる“奇跡”を描いています。

 神谷浩史さんが“金の国”左大臣のサラディーン役を担当する他、戸田恵子さん、沢城みゆきさん、木村昴さんらベテランのキャストが脇を固める同作。主演を務めた賀来賢人さんと浜辺美波さんの2人に、ナランバヤルとサーラという個性豊かなキャラ、2つの異なる国を舞台にした作品世界の魅力をうかがいました。

「金の国 水の国」出演の浜辺美波と賀来賢人 主演の賀来賢人さんと浜辺美波さん

2人から見た主人公たちの魅力とは?

―― 最初に出演オファーを受けたときにどのようなことを感じましたか?

賀来賢人(以下、賀来) 物語がとにかく壮大、かつ大人から小さい子どもまで楽しめるエンターテインメントで、それこそ政治的な部分や国同士の争いなどの側面もありつつ、テーマがすごく普遍的。

 なので、幅広い人に見てもらえる映画になるんじゃないかなと思いました。あとはナランバヤルとサーラという主人公たちがとってもすてきだったので、すぐに「やります!」とお返事しました。

賀来賢人が「金の国 水の国」で演じたナランバヤル 賀来さんが演じたナランバヤル

浜辺美波(以下、浜辺) 岩本ナオ先生の(最新作である)『マロニエ王国の七人の騎士』は読んでいたのですが、『金の国 水の国』は存在を知ってはいたものの、オファーをいただく前は読んだことがなくて。初めて読ませていただいたときに、1冊の中に壮大な物語が全部入っていて、本当に感動しました。

 「映画になったらとても面白いだろうな」と思いましたし、私自身も(原作を読んでいて)温かさに包まれたので、そんな幸せを届けられる作品に携わることができたら光栄だな、と思ってお受けしました。

浜辺美波が「金の国 水の国」で演じたサーラ 浜辺さんが演じたサーラ

―― 今出てきた『マロニエ王国』にはどんな感想を抱きましたか?

浜辺 作品の世界観が大好きで。お姫様と騎士の設定にすごく引かれたのと、物語が一貫してドロドロせずに柔らかいタッチで、心に負荷なく読み進められました。

―― お2人が演じた役についての印象や好きな点など教えていただけますか?

賀来 ナランバヤルは、普段だとちゃらんぽらんというか、なんか抜けているようにみえて、でも非常に知的で頭の回転も速い人

 あと彼のセリフが結構好きで。ちょっと哲学的なのに、無理せず形にしているというか、自分の中にスッと入ってくるのがとっても魅力的だなって。その分、毎回演じる際に大きなプレッシャーを感じていた記憶があります。

―― ちなみにご自身が作中で好きな言葉は?

賀来 言ったのではなく言われた側なんですけど。サーラがナランバヤルに語り掛ける「いつでも、難しい方の道を選んでください」というセリフはめちゃめちゃ響きました。「はい! 分かりました!」って(笑)。

―― (笑)。サーラについてはいかがでしょうか?

浜辺 サーラは、自分にとって最善だとしっかり判断してから行動する部分が、すごく賢い人だなとずっと感じていて。

 かつ“おっとりしている”性格上、登場するだけで周りが柔らかくなるような空気感を持っているところに、原作を読んだときから癒されていました。

―― お2人は実写映画でも幅広く活躍されています。アニメ映画と比べた際、演じ方で異なる部分はありますか?

賀来 どちらも“表現する”という意味では一緒なんですけど、やり方が全く違いますね。お芝居だと表情や演技で補える部分が、アニメの場合は声のスピード、高さ、音圧など、テクニック的な部分がより必要になってきます。

 だから毎回打ちひしがれるんですけれど、音響監督さんに納得いくまで指導していただき、テイクをかなり重ねて徐々に精度が上がってきました。完成した作品を鑑賞したとき、「自分の声なんだけどキャラに乗ってるな」と感じられたので感動しましたし、ちょっと自信にもつながりました(笑)。

浜辺 私もそう思います。プロの方のお仕事をそばで見ていて、役作りから全くやり方が違っていて、技術職に近い要素が半分以上を占めているんだなと。

 声のお仕事に関しては、毎回リセットされてイチから学び直している感覚が常にあるため、すごく難しい印象があります。

アフレコ中には難事も「息が吸えなくなって」

―― ナランバヤルはちゃらんぽらん、サーラはおっとりした一面を持ちつつ、大事な部分は決して譲らないという芯の強さがあります。複雑な面を持つキャラで演じるのに苦労されたと思いますが、特に難しかった点は?

賀来 (しばらく考えて)「ここは大事なセリフ」なんだと思えば思うほど難しかったですね。「ここは物語上大事なポイント」「お客さんにちゃんと一番届かせたいポイント」ってあるじゃないですか?

 そうした箇所をうまく演じようと意識すればするほど、喉がどんどん締まっていく感じ、どんどん窮屈になっていく感じがかなりありました。

―― プレッシャーで発声がうまくいかない、と?

賀来 なんでしょうね? こうした困難をどうやったら克服できるかという戦いがアフレコ途中で始まって。

―― 音響監督からはその点について、なにか指示やアドバイスは?

賀来 僕が一貫して指示されたのは「流れるように言ってほしい」。しゃべり方はもちろん、声に乗せる気持ちもテンポも「止まらずに流れていく感じ」を意識してほしい、と。そこは感覚的にいつも意識していました。

―― 浜辺さんが難しく感じた箇所はどこだったでしょうか?

浜辺 サーラはおっとりとしたキャラで目立つ動きがない点に悩みました。キャラに動きがあれば口調などとりわけ意識しなくても、しぐさなどで見ている側に十分伝えることができるのですが、声だけになってしまうと本当に難しくて。アフレコでは、想像していたより3倍ぐらいゆっくり言ってほしいという指示があって、何回もテイクを重ねました。

 自分がちょっと焦りがちの性格なところもあって、思っているよりも少し早く読んでしまうので、そのクセをまずそぎ落として慣れていきながら、緊張をほぐしていきながら……という感覚でした。

 先ほど賀来さんがおっしゃったように、緊張すると喉が固くなりますし、同じ部分を何度もやり直すうちにだんだん酸欠状態になって息も深く吸えなくなってくる悪循環に一瞬陥ったこともありました。

―― なおさら焦ってしまいそうです。

浜辺 そうなんです! 高まっている気持ちのままでいきたいので、「このままお願いします」と言うものの、呼吸が苦しくなってしまって。自分では余裕をもって演じていると思っても、逆に息が続かなくなってしまうこともあった気がします。

―― 大変でしたね……。お互いのキャラ、声の印象もうかがえますか?

賀来 僕のイメージするサーラ像と、浜辺さんの声がピッタリすぎて「ヤッベェ!」って、汗が急にどっと出た記憶があります(笑)。そのぐらいハマっていたので、「うまいなぁ……」と思いながら聞いてました。

―― 賀来さんがイメージするサーラ像はどういったものだったのですか?

賀来 上品で優しさがあるだけでなく、強い。いろいろな要素が混ざっているんですが、一番は王女が持つ“品”に集約されるのかなと。浜辺さんの「ちゃんと品がある」声ってすごいですよね。だから「ヤッベェ!」って(笑)。

―― (笑)。

浜辺 私はアフレコ時にとっても苦戦していて。苦手な無音状態の効果も相まって、「まだこの空間に慣れない!」という思いから、「あ、ダメ、ヤバいかもしれない」「この作品大好きなのに……」とぐるぐるよくない考えが独り巡っていました。

 けれど、賀来さんがスタジオでナランバヤルを演じたときに、ずっと目にしていたキャラそのままで、かつ地に足のついた真っすぐな声がすごく刺さって緊張が軽くなりました。ホッとしたという安心感の方が近いかもしれません。作品イメージも一挙につかめたので、本当にありがたかったです。

「金の国 水の国」出演の賀来賢人
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」