プリキュアが戦い続けてきた“表現の歴史” 過剰な自主規制を打ち破り進化を止めなかった20年:サラリーマン、プリキュアを語る(4/4 ページ)
考えることを放棄しない
「スター☆トゥインクルプリキュア」(2018年)のプロデューサーだった柳川あかりさんは、子ども向け作品において「どこまで配慮すればよいかの正解は無い」としながらも「考える事を放棄し、開き直ることがあってならない」と語っています。
どこまで配慮すればよいのか。この問いに対する「正解」はありません。でも、制作する側が考えることを放棄し、開き直ることがあってはならないと思います。誰かを傷つけた犠牲のもとに成り立つ「面白さ」なんて、あっていいわけがないのです。
(朝日新聞 2020年1月10日 朝刊15面)
プリキュアシリーズの未視聴者にとっては、プリキュアは「毎年同じことを繰り返している」ように見えるのかもしれません。
もちろん、プリキュアはビジネスでもあるため「変身バンク」や「決め技シーン」「顔の前で商品をアップで映す」など必ず描かれる要素も数多くあります。
しかし今を生きる女の子に向けて、何が必要なのか、何を表現するべきかを制作者が常に自問自答し、惰性に陥らず考えることを放棄しなかったからこそ、プリキュアシリーズは20年もの間、女の子たちに支持され続けてきたのです。
「女の子が喜んでくれる作品」であるため変わり続ける
従来の女の子アニメの常識を破って開始したプリキュアシリーズが、歴史を重ねるにつれいつのまにか「女の子向けアニメのスタンダード」として規範を求められ、表現の幅が狭まってしまったこと。しかしそれを乗り越え、表現の幅を広げて変化し続け20周年を迎え今に至ること。
20年目の最新作「ひろがるスカイ!プリキュア」は、シリーズ初の「異世界人」「青色のプリキュア」が主人公となります。プリキュアは常に変わり続けていきます。
ただ一つ変わらないものがあるとすれば、やはり初代プロデューサーの鷲尾さんの言葉に集約されるのではないでしょうか。
「女の子たちに熱狂してもらえるなら、変身しなくてもいいし、アクションをしなくてもいい。男の子が仲間に加わってもいいとまで思っています。女の子たちがちゃんと喜んでくれる作品になっているなら、『プリキュア』も変わっていってもいいと思うんです。」
講談社『プリキュアコレクションふたりはプリキュアマックスハート(上北ふたご著)』鷲尾天独占インタビューより
「女の子がちゃんと喜んでくれる作品になっているなら、「プリキュア」も変わっていってもいい。」
制作者が常に悩み葛藤し、変わり続けながら「女の子が喜んでくれる作品」を作り続けていることこそが、20年にわたるプリキュアの強さなのです。
プリキュア20周年おめでとうございます。僕の娘もプリキュアと同じ年に生まれ、今年20歳になります。プリキュアとともに育った娘は、今でも「キュアパイン」が大好きで、たまに一緒にプリキュアの話もします。家族を幸せにしてくれてありがとうございます。
現在放送中の「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。
「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション
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「プリキュアの数字ブログ」の管理人・kasumiが、毎週プリキュアの魅力をお届けします。
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