廃業予定だった書店、覆したのは子どもの「やめないで」 営業継続を伝える貼り紙話題に、店主に思いを聞く(1/2 ページ)
2022年末で廃業しようとしていた書店が「皆様からの温かいお言葉をいただき」経営継続を決意した――そんな店頭の張り紙がTwitterで話題になっています。経営が苦しい中、なぜそのような思いに至ったのか店主に聞きました。
Twitterで話題になっているのは、滋賀県立美術館館長のkenjiro hosaka(@kenjirohosaka)さんの投稿。横浜市南区の商店街にある弘明堂書店の店頭に張り出された一枚の「ごあいさつ」という画像が投稿に、がんばってほしいというメッセージが添えられています。投稿には約3万5000件の「いいね」が寄せられ、リプライ欄には「馴染みの本屋が廃業してしまうほど胸がかきむしられる思いをすることは無い」「電子がどんどん進出しても、街の本屋さん、残って欲しいですね」と街の書店を応援する声であふれました。
張り紙には弘明堂書店を2022年末で廃業しようとしていたところ、「皆様からの温かいお言葉をいただき、出来るところまで本屋を続けさせていただこうと思います」という言葉があります。
出版不況もあり書店は全国で廃業が相次いでいますが、なぜ経営の継続を決意したのかそのいきさつについて店主の天野日出雄さんに聞きました。
―― なぜ当時廃業を予定していたのでしょうか?
天野さん レジのPOSシステムの更新があり、その経費が数百万円かかることが分かりました。コロナ禍で売り上げの減少もあり、私も高齢のためもう引退の潮時かと思い廃業を考えました。家族経営の小さな書店ですが、50年近く地域の皆さんに愛されて続けてきました。しかし、インターネット販売の影響もあり売り上げも落ちていますのでそろそろ限界かなと思いました。
―― お客さんからどのような言葉をかけられたのでしょうか?
天野さん やはり常連の方からは「残念です」というお言葉を多くいただきました。でも、漫画本をお小遣いで買いに来た小学生に「やめるんだよ」と話したところ、すごく残念そうに「やめないで」と言われたんです。その悲しそうな表情を見たときに、この子は自転車しか移動手段もないのだろう、ネットもまだ使えないのだろうと思ったのです。廃業に際して大人のお客様のお言葉は心配やねぎらいでありがたっかたのですが、小学生の本当に残念そうな表情を見て、この子から楽しみを奪うのかと思うと涙が出てきました。
―― そこで廃業を考え直したのですね?
天野さん やはり書店は地域の文化を提供するシンボリックな存在であると思いますし、そういった自負で経営してきました。確かにレジシステムの更新には多額の経費が必要でした。経営環境は私とパート1人で経営せざるを得ない大変厳しい状況ですが、教科書の取り扱いなどでまだ「ある程度食っていける」と思います。街の文化を守るとまでいえば大袈裟かもしれませんが、廃業をやめたのは子どもたちの喜びを守る「本屋の意地」ですね。
商売は売り上げを作ることが確かに重要なことですが、店主は取材中「心でやっている」という言葉を何度も述べていました。書店経営は全国的に厳しい状況にありますが、商いの本質は何かを弘明堂書店のこの張り紙は語っているのではないでしょうか。
関連記事
- 「残さないといけない文化だと思った」 廃業の危機にあった書店、小説家が経営引き継ぐ その思いを聞いた
- 閉店した書店のシャッターが感謝の言葉でいっぱい 地元に愛されたお店の写真がグッとくる
- バイト先の小さな本屋がつぶれた 実体験を描いた漫画が切なくて心にしみる
- 「書店の文化を残すため」三省堂書店本店が一時閉店 “第二章”に向けた「巨大しおり」が話題
- 1月のガス代はなんと220万円! ガス代高騰に悩む銭湯「どうやって稼げと」「営業努力でどうにもなりません」
- “黄色い筆洗バケツ”のツボヨネ製作所が廃業 ネットでは「大変ショック」「本当にお世話になりました」の声
- 「安さばかり追求していてはもう続けていけない」もやし生産者の窮状を訴える新聞広告に反響 価格が上がらないのはなぜか
- 「サクマ式ドロップス」の佐久間製菓が廃業へ 映画「火垂るの墓」に登場したあめ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
-
汚れた石ころを、プロが磨いていくと…… 信じられない“正体”に「驚きました」「なんて美しさ」【海外】
-
10代の初々しいカップルが5年後…… “まさかまさかの現在”が3000万再生「めちゃくちゃ羨ましい」「うわー!」【海外】
-
風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
-
「ええお母ちゃんや」 2歳娘のためにズボラ母が作る“焼きそば”が目からウロコ 「ガチで助かる」「今度やってみます」
-
「またモスが狂ってる」 モスバーガーの作る“卒業アルバム”に困惑 公式の暴挙に「笑いすぎてお腹痛い」
-
市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
-
映画で見る「プロパンタンクを撃ったら大爆発」は本当? 検証してみた結果が興味深い
-
【ハードオフ】壊れたジョイコンを1100円で買ったら…… テストプレイで“予想外の事実”が発覚「1100円は安すぎ」「普通にラッキー」
-
同窓会を欠席したら突然連絡が…… 浪人生が受けた“涙のサプライズ”に「めっちゃ感動した」「泣いちゃったよ」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 「大根は全部冷凍してください」 “多くの人が知らない”画期的な保存方法に「これから躊躇なく買えます」「これで腐らせずに済む」
- 浜崎あゆみ、息子2人チラリの朝食風景を公開 食卓に並ぶ“国民的キャラクター”のメニューが意外
- 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
- 中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”の家族に反響 ジュノンボーイの幼少期が香取慎吾似?【コンテスト特集2024】
- 大好きなお母さんが他界し、実家でひとり暮らしする猫 その日常に「涙が溢れてくる……」「温かい気持ちになりました」
- 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」 投稿者に発見時の気持ちを聞いた
- 「こんなおばあちゃんになりたい」 1人暮らしの93歳が作る“かんたん夕食”がすごい! 「憧れます」「見習わないといけませんね」
- 【今日の難読漢字】「碑」←何と読む?
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」