仏セザール賞壇上に環境活動家が侵入 司会者が笑った写真に“嘲笑”と批判され抗議「操り人形にされるのは不愉快」

生放送は一時中断。

» 2023年02月28日 18時07分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 2月24日(現地時間)に開催された仏映画賞のセザール賞授賞式で、環境活動家の女性が壇上にあがり気候変動の危機を訴え、賞が一時中断される事態が発生。その際に撮影された、司会の仏俳優レア・ドリュッケールと仏コメディアンのアハメド・シラが場を取り繕おうと活動家の横で笑顔を浮かべた写真が切り取られ、「嘲笑(ちょうしょう)している」と批判されたことに、レアは27日、自身のInstagramで反論しました。

セザール賞壇上へあがる環境活動家と司会のレア・ドリュッケール、アハメド・シラ 表情が対照的な司会と活動家の写真(画像はレア・ドリュッケールのInstagramから)

 壇上で「あと761日しかない」と書かれたTシャツを身に着け真剣な表情をする活動家の横で、レアは不自然なまでに歯をむき出して笑う司会2人の写真を投稿。この写真によって自身とアハメドは「危険に気付かない人」として描かれた風刺画のように使われているとして、長いコメントを添えました。

 レアは、「私たちの笑いは困惑によるもので、嘲笑しようとしたものではありません。自分が困った状況に陥ったことを分かっているけど、不安を視聴者や会場に伝えたくないという笑いです」と動揺して笑うしかなかったことを説明。そして「みんなに楽しい時間を過ごしてもらおうとしていたとき、予想外のパニックに陥ること」と自分たちの立場へ想像力を働かせることを促し、「誰でも操り人形にされるのは不愉快なもの」だと、事実を確認せずにこの1シーンを切り取って使われることへの不当性を主張しました。

 今回壇上にあがった女性は環境保護団体「デルニエール・レノヴァシオン」のメンバーで、彼女が登場してしばらくすると、授賞式を生放送していた仏テレビ局Canal+は放送を一時中断。この判断にも多くの批判が集中しました。

 レアもコメントの中でこの判断が間違っていたとし「生放送が再開されたとき、視聴者は何が起こっていたのか、そして何が主張された行為だったのか知らされるべきでした。アハメドも私も、ニーナ(※壇上にあがった活動家)が何を守ってきたのか知らされなければいけなかった」と述べています。

 放送が中断されたあと、レアが活動家の女性に何か言いたいことがあるか聞くと、彼女はないと答えたとのこと。そして「彼女は私の目の前で横たわり、警備員に舞台裏へ連れていかれました」と壇上で起こったことを明かし、「もちろん私は気候変動の緊急性をわかっていますし、地球と子どもたちの未来を心配しています」と環境問題に対して無関心ではないことを伝えました。

 さらにセザール賞授賞式は、エンターテインメント性を残しながらもウクライナで行われている残虐行為やイラン現政権による不正など、政治的な主張も可能であるとし、しかし受賞者たちは女性への暴力や男女間の不平等、差別について語るが誰も環境問題については語っていないと指摘。それがどうしてなのか思考を巡らせている旨を述べています。

セザール賞壇上へあがった環境活動家 警備員に連れていかれる活動家の女性(画像はデルニエール・レノヴァシオンのInstagramから)

 このレアのコメントには、ともに司会を務めやはり批判にさらされたアハメドが「今回のこと君と分かち合えてとても誇らしいよ、レア」と賛同。仏作家で活動家のシリル・ディオンは「ありがとう。あなたたち2人に迷惑がかかってしまって残念。とても不快なことです」としながらレアのコメントが議論を発展させるとして感謝を述べています。

 また一般の視聴者からは「放送がカットされたことが問題なのであって、あなたたちの反応は問題ではありませんよ」と2人への批判は的はずれとする声や、「私たちは何年も前から気候変動をストップさせるためのデモを行ってますけど」と環境活動へは行動が起こされていないとするレアの意見は無知であるという声、さらに「国民に罪の意識を植え付けることには賛成できない。気候へ劇的な悪影響を与えるのは富裕層や政治家です」など、もっと大きな組織に訴えるべきだとする声が寄せられています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」