「みかんの消費量を増やしたい!」 大学生が作ったフルカラー同人誌『みかんのすゝめ』の熱量がすごい元司書みさきの同人誌レビューノート

ペラペラめくりながらみかんを食べたい。

» 2023年03月05日 12時00分 公開
[みさきねとらぼ]
同人誌 本棚 図書館 司書 コミケ

 冬はこたつに入ってぬくぬくしながらみかんに手を伸ばす……みかんは寒い時期に目にもうれしい明るい色ですね。では春の訪れとともにみかんは影をひそめてしまうのでしょうか? いえいえ、みかんのおいしい時期はまだまだ続きますよ。今回は身近で奥深いみかんを応援する学生さんたちが作ったご本です。

今回紹介する同人誌

『みかんのすゝめ』A4 36ページ 表紙・本文カラー

著者:東大みかん愛好会


同人誌『みかんのすゝめ』 みずみずしく直球でおいしそう!

「消費量を増やしたい!」学生さんたちによるみかん愛好サークルから生まれた同人誌

 こちらのご本は、日本のみかんの消費量を増やすのを目標に設立された学生サークル、東大みかん愛好会さんによって作られています。東大みかん愛好会さんはインカレサークル(複数の大学の学生さんが参加しているサークル)で、2022年時点では関東圏を中心に270人ほどの学生さんが所属しているそうです。

 フルーツの中でもとりわけ日常になじんだみかんのためにそんなに多くの学生さんが!? と驚きましたが、実はみかんの消費量は1970年代の全盛期に比べると5分の1にまで減ってしまっているのだそうです。その事態を変えるべく集まったみかん好き学生さんたちの力が誌面に集結しています。

同人誌『みかんのすゝめ』 A4サイズフルカラーの大きな画面でみかんのきらきらした魅力が伝わります

会員の声を生かした充実のみかんレビュー

 ご本の内容は大きく2章に分けられ、まず第1章では「みかん図鑑」でみかんの魅力をダイレクトに伝えます。名前、交配の種類などの情報とともに、愛好会内のアンケートをもとにした甘さ、酸味、香り、大きさ、価格のチャート、愛好会員さんたちの感想が示されます。多くの会員を有するだけあって、みかんのみならず、オレンジなどのかんきつ類も合わせてその数28種類のレビューは細やかです。

 「アルベドがはじめてうまいと感じた」「強烈な酸味」といった味わいについてのほか、場合によっては「食べたことがない」なんてコメントが混じるのも、ある意味現代の大学生の感覚と流通事情に思いをはせるきっかけかもしれませんね。なおアルベドとは、みかんの身と皮のあいだの白い部分のところで、このような用語についてもきちんと説明が添えられているので、決して置いてけぼりになりません。

同人誌『みかんのすゝめ』 使用されている画像は愛好会の写真データベースから選んでいるそうです

多彩な活動の前向きさが余韻に

 変わって第2章では、サークルのメンバーが実際にどのような活動をしているのかを紹介しています。園芸の組合さんと連携して小学校へ出前授業をしたり、大学祭に合わせてクイズ大会を開催したり、産地の訪問やボードゲームの開発をしたり……と、実にいろんなチャレンジをされています。

 それぞれに実際に携わった方が記事を執筆されているのですが、各企画の楽しい点とともに反省点もしっかり書かれおり、それが「次回は……」と未来へ向かって試行錯誤されているのが、前向きなすがすがしさを余韻に感じさせます。多くの学生さんたちの力を上手にブレンドしたさわやかみかん同人誌、これからの季節だってみかんに出会うのが楽しみになりそうです。

同人誌『みかんのすゝめ』同人誌『みかんのすゝめ』 ゲームマーケットへの参加や産地訪問などさまざまな活動が

サークル情報

サークル名:東大みかん愛好会

Webサイト:http://mikanfan.club


今週の余談

 知っているみかんの姿、知らないみかんの姿……意外さもたくさん感じるご本でした。偶然に出会うだけじゃなく、みかんとの出会いを探したくなりましたよー。

みさき紹介文

 公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。

関連キーワード

同人誌 | 図書館 | コミケ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」