変身シーンで振り返るプリキュア20年史 歴史に残る画期的な変身シーン10選サラリーマン、プリキュアを語る(2/5 ページ)

» 2023年03月23日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

6.炎の表現が圧巻「キュアスカーレット」変身シーン

 「Go!プリンセスプリキュア」(2015年)以降の作品では、「お姫様」「魔法つかい」「スイーツ」など作品自体に明確なテーマが付与されます。それに伴い変身シーンにもそのテーマが反映されるようになり、変身シーンの「物語性」が強く出るようになっていきます。

 「キラキラエフェクトの中で可愛くカッコよく変身する」だけではなく、キャラクターの内面描写やストーリーが付与されていくのです。

 例えば、「Go!プリンセスプリキュア」(2015年)の変身シーン。

 彼女たちが「戦うお姫様」となる変身シーンにおいて、頭に着ける王冠は自動的に装着されるのではなく「自らの意思」で頭に装着します。守られるお姫様でなく、自分の足で立つお姫様へ。そんな意思が見える変身シーンなのです。

プリキュア 王冠を自ら着けることにより、自分で選択したお姫様像を描く(YouTubeから)

 そんな「Go!プリンセスプリキュア」の変身シーン中でも「キュアスカーレット」の変身シーンは、炎の演出がとにかくカッコよく派手でファンを驚かせました。

 炎からできたクラウンを自ら付け、自らの意思で真のプリンセスへと変身していく彼女。炎を身にまとい体にパーツが装着され、さらに炎が髪に変わっていくシーンは圧巻です。原画は大田和寛氏が手掛けています。

 これまでも十分に派手だったプリキュア変身シーンの派手さを更に引きあげ、以降の変身シーンの演出にも大きな影響を与えた名変身シーンなのです。

プリキュア 炎の演出がカッコイイ。キュアスカーレット変身シーン(YouTubeから)

7.70秒の物語「キュアジェラート」変身シーン

 変身職人・板岡錦が原画を手掛けた代表作としてファンの評価も高いのが、この「キラキラ☆プリキュアアラモード」(2017年)の「キュアジェラート」変身シーンです。

 「お嬢様」からロックのプリキュアへ。抑圧からの解放としての変身でありながらも、お嬢様を象徴するクラシックバレエから始まり、自身の解放を楽しむように画面を縦横無尽に飛び回り、ジャケットを羽織り両足をしっかり地面につける。片足ソックスを上げてからのメロイックサインでギターをかき鳴らし変身フィニッシュ。

プリキュア お嬢さまロックンロールを体現したキュアジェラート変身シーン(YouTubeから)

 クラシックバレエをリスペクトし、お嬢様であることを否定せずにロックスタイルで変身が終わる。立神あおいの「お嬢様」と「ロック」を両立させていく意思がわずか70秒の変身シーンで描かれているのです。

 板岡氏が描く原画は上下左右に動き回り、元気な表情からおしとやかな一面、背中で語る凛としたカッコよさまでが描かれます。板岡バンクの真骨頂は超絶な動きの隙間で見られる「女の子の表情」の説得力なのです。

プリキュア 表情の変化もキュアジェラート変身シーンの魅力の一つです(YouTubeから)

8.お姉様をも魅了した「キュアショコラ」

 世のお姉様方を虜にしたのが「キラキラ☆プリキュアアラモード」(2017年)のキュアショコラの変身シーン。

 宝塚をオマージュした演出がとにかくカッコ良く華麗に変身します。重厚な音楽でスタートし、高速な展開でチョコレートから衣装へ変化、その凛々しい表情。手を挙げてのジャンプは演劇のワンシーンのようです。

プリキュア 子どもだけでなくお姉様をも魅了したキュアショコラ(YouTubeから)

 「シルクハットを指でなでるしぐさ」は宝塚のオマージュ。同じく宝塚を意識した大階段を数歩降りてからの決めポーズ。決して「男装」ではなく、あくまで自分の似合うスタイルを貫く剣城あきらの姿が描かれました。

 「演出で魅せる」このキュアショコラの変身シーンは子どもたちだけでなく、一緒に見ているお母様、そしてお姉様たちをも虜にしたのです。

プリキュア 宝塚のオマージュがちりばめられたキュアショコラの変身シーン(YouTubeから)

9.歌って変身「キュアミルキー」

 「歌いながら変身する」という画期的なスタイルが大きな特徴となった「スター☆トゥインクルプリキュア」(2019年)の変身シーン。

 中でも、この変身シーンを見た者は、その圧倒的な動きに必ずもう一度見てしまう」。そう言わしめる程の変身シーンがキュアミルキーの変身シーンです。

 「歌」「動き」「エフェクト」「演出」「背景」がこの上なく調和した、プリキュアシリーズを代表する変身シーンです。こちらも原画は板岡氏。

プリキュア キュアミルキー変身シーン。縦横無尽に動き回ります(YouTubeから)

 歌とぴったりシンクロした動きの中、波の流れるような動き、画面をタテヨコナナメ縦横無尽に動き回り、カメラも追随して回ります。ときおり見せるアップでのセクシーな表情からプクっと膨れるかわいい表情、自らソックスを身につける自己表現の演出。目が追い付かないほどの情報量が詰め込まれた超絶変身シーン。とにかく一度見てほしいのです。

プリキュア 表情の豊かさもキュアミルキー変身シーンの特徴(YouTubeから)

10.ライブ演出がカッコイイ「キュアスカイ変身シーン」

 最後は、最新作「ひろがるスカイ!プリキュア」(2023年)から「キュアスカイ」の変身シーンです。この変身シーンでは「音楽との調和」が一つのポイントとなっています。

 もちろんこれまでのプリキュア変身シーンでも音楽との調和は取れていたのですが、今回はそれがさらに一歩前進しました。

プリキュア キュアスカイ変身シーンは「ライブ的な演出」がカッコイイ(YouTubeから)

 変身のシークエンスが進むにつれ、音楽も段階的に盛り上がっていくのです。これまでの変身シーンでは見られなかった「バーチャル空間でのライブ的な演出」によりヒーローに変身していく姿が描かれます。マントを羽織るシーンがとにかくカッコイイ。

 3軸回転で超絶高速に動きまくるキュアスカイ。そのカッコイイ変身の合間で一瞬見せる「カッコかわいい表情」にもハッとさせられます。

プリキュア マントを羽織り、ヒーローへと変身していく(YouTubeから)

進化しつづけるプリキュア変身シーン

 変身シーンはプリキュアの花形です。

 表現的にも、毎年のように進化を続け「もうこれ以上はないだろう」と思った翌年に、新しい表現方法で僕たちを驚かせます。

 「Yes!プリキュア5」のときは約30秒だった変身シーンは、最新作「ひろがるスカイ!プリキュア」では74秒と変身に要する時間も2倍以上と長くなり、その情報量も年々増えてきています(アニメ放送時は短縮バンクになることも多いですけど)。

 今回紹介したもの以外にも、プリキュアには本当に素晴らしい変身シーンがたくさんあります。どの変身シーンも、そのときの最高の人材がそのときの最高の技術で作り上げ、子どもたちへと届けているのです。

 プリキュア20周年。この機会にお気に入りのプリキュアの変身シーンを見返してみてはいかがでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた