内村航平、現役引退から1年――“世界トップ”の秘訣と体操の“これから”「ぶっ壊す感覚じゃないと変わらない」:私の人生が動いた瞬間(1/2 ページ)
著書『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』を発売した内村さん。
人生100年時代といわれる現代、「何歳からでも新しいステージに踏み出すのは遅くない」という考え方が広がっています。著名人も例外ではなく、ある分野で成功を収めた人が転機を経験し、別のフィールドや新たなステージで奮闘する姿は多くの人に勇気を与え、モチベーションやインスピレーションを与えています。
インタビュー連載 「私の人生が動いた瞬間」
内村さんは、体操競技で五輪4大会に出場し、個人総合2連覇を含む7つのメダルを獲得。国内外の大会40連勝という偉業を成し遂げました。2016年からは、日本体操界初のプロ選手となり、2021年に東京五輪、世界選手権に出場し、2022年3月に引退。現在は、体操競技普及のために講演会やイベントへの出演といった活動を行っています。
2月2日には、『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』(KADOKAWA)を発売。内村選手が、なぜ日本のトップに立ち続けられたのか、その理由について“やり続ける力”を挙げており、自身が体操競技で目標を達成するまでのプロセスがつづられています。
そんな内村さんへ、やり続けるにあたって「好きなことを見つける方法」や「嫌いにならない続け方」などをインタビュー。さらに、形として引退したアスリートのその後についてもお話を伺いました。
引退発表から1年 内村航平は「うたぐり深い」
――初めてここまでご自身の選手生活を振り返った感想はいかがですか?
内村航平(以下、内村) 執筆にあたって約10年の現役生活を振り返りましたが、スラスラ書き進めることができて、今、講演会をやらせていただく上で、自分の中で考えが整理された感覚があります。
――客観的にご自身を振り返ってみて、「内村航平」はどんな人物だと分析しますか?
内村 うたぐり深い……ですかね。もちろん、競技をしているときは自信があって、輝いていると思いますが、基本的には疑っています。
――それは、ご自身を、ということですか?
内村 自分もそうですし、あまり人を信用することもありません。ただ、特に自分に対してはすごく疑います。結果が出せたときは、「間違っていなかった」とは思いますが、基本的には「練習はしたけれど、やり残しはないか」「今日は調子が良さそうだけど、本当に大丈夫か」とずっと疑ってきたので、何事に対しても“絶対的な信用”というのはありません。
――内村さんがやり続けてきた中で、本当の意味で満足できた演技というのはあるのでしょうか?
内村 本当の意味で、となるとないです。強いて挙げるとすると2011年の世界選手権の個人総合は、体調や演技内容含め、全てがかみ合っていた演技ではあったと思います。練習の方がよかったなと思うことの方が多かったですね。いつも、周りの反応と僕の感情が違うんです。
――内村さんの功績はあらためて語るまでもないと思いますが、ご自身は一度も満足できていなかったというのは意外です。
内村 次の試合ではもっといい演技ができるように――できないんですけどね、できないのはもちろん分かっているんです。練習のときはそれなりに納得がいく演技ができているのに、同じようにできない難しさと面白さがあります。逆に試合でいい演技ができるかもしれないということも知っているので、そこも面白いなと思いながらやっていました。
好きなことの見つけ方
――やり続けるコツに“楽しむこと”もポイントとしてあげていました。自分が楽しめるような好きなことの見つけ方にコツなどはありますか?
内村 まずは自分を知ることじゃないですかね。自分で自分を知るというのは意外と難しいですが、些細なことが今後の人生を変えるようなことになると思うので、何に興味があるのか自分で知ることからだと思います。
――好きだったことも仕事になることによって、そうではなくなってしまう経験をする人も少なくないですが、好きなことを嫌いにならずに続けていくために大事なことは何だと思いますか?
内村 自分が好きで選んだことに責任を持つということではないでしょうか。誰に言われてやっているわけでもなく、これで生きていこうと決めたのは自分なので、やらなければいけないという気持ちが大事だと思います。
もちろん、嫌になって別のステージに行くのも一つの考え方だと思いますが、そこで諦めてしまうと次も諦めてしまうのかなという気はするんです。それがクセになると、何をやってもそうなってしまうと思うので、一つのことを自分が本当にもうこれ以上はないって思うところまでやれないと何事も続かないんじゃないでしょうか。
「決断」の仕方
――著書の中で人生の転機は「上京したこと」と「プロに転向したこと」を挙げていました。ご自身の中で「挑戦」というような決断だったそうですが、決め手はなんだったのでしょうか?
内村 僕の場合は明確に何をすべきかが見えていたので、自分のその気持ちに素直になったということ。体操をうまくなりたかったから東京に行くことを決断したし、今のままじゃ体操の未来がないと思ったので、もっと外に発信していける環境にしたくてプロになることを決断しました。あとはいかに邪魔なプライドを捨てられるかというところですかね。
――内村さんもプライドが邪魔するときはあったのでしょうか?
内村 東京オリンピックまでは、ずっと6種目で勝ってきた自分が鉄棒一種目に絞ってでも東京オリンピック出場を狙うという決断をしたとき、6種目へのこだわりを捨ててまでオリンピックへ行くんだったら、行かなくてもいいんじゃないか、と考えたことはありました。でも、「絶対に出たい」と言っていたのに、自分1人が行けなくてもいいやと考えてしまうのは、なんだか違うな、と。そこから変なプライドを捨てて、確実に行ける方を選んだ方がいいと思い、鉄棒で狙う決断をしました。
――他の方からのアドバイスや心に残っているメッセージはありますか?
内村 「自分がそう思うならそうした方がいい」とずっと言われてきたので、それは大事にしています。先ほどお話しした、自分が好きで始めたことなら責任を持つというところにもつながると思うんですが、もちろん、いろんな人からの意見ももらった上で、その中で自分が最終的に思ったことをやるのがいいんだと思います。
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