「男子トイレでも生理用品を無料配布」 東大の取り組みが「素晴らしい」「広まってほしい」と話題 その背景を聞いた(1/2 ページ)
教養学部学生自治会らに背景を取材しました。
男子トイレにも生理用品が設置されている――。東大での先進的な取り組みがSNS上で評判になっています。ねとらぼ編集部では、東京大学本部ダイバーシティ推進課、東京大学教養学部、東京大学教養学部学生自治会の3者に背景について取材しました。
東大での取り組みが話題になったのは、卒業生のすぎやま(@sugi3_34)さんによる投稿がきっかけでした。すぎやまさんは東大の図書館を訪れた際、男子トイレでも生理用品が無料配布されていることに気づき、その姿勢を「東大ってやっぱすげえな」などと絶賛したところ、投稿は広く拡散されました。
生理用品を必要とする人が必ずしも女子トイレに入れるとは限らないことや、生理用品は痔や尿漏れ、潰瘍性大腸炎の人などにも有用なことから、投稿は約2万4000件のいいねを獲得。「素晴らしい支援」「男性のお手洗いにも置いておくのがすばらしい」など、東大の取り組みを評価する声が多く寄せられています。
教養学部と学生自治会による協力が大きな鍵に
なぜ東大で生理用品の無料配布が始まったのか。ダイバーシティ推進課はねとらぼ編集部の取材に対し、東大で生理用品を最初に無料配布したのは教養学部とみられると明かしました。具体的には、2022年10月から、教養学部が女子トイレおよび多目的トイレに、学生自治会がそれ以外の男子トイレにそれぞれ生理用品を設置開始。2023年4月からは、教養学部が主体となり、学生が頻繁に使用するほぼすべての施設のトイレに生理用品が設置されています。
ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが進む東大のなかでも、なぜ教養学部が生理用品設置の先がけとなったのか。ダイバーシティ推進課が「コストや管理運営面の問題などで他学部および本部が第一歩を踏み出せなかったなか、教養学部は学生自治会と協同しながら設置したと聞いています」と語るとおり、教養学部と学生自治会による協力が大きな鍵となりました。
教養学部は、2022年5月の五月祭で実施された「公開討論〜東大とジェンダー〜」で、東大大学院総合文化研究科教授でジェンダー論を専門とする社会学者の瀬地山角さんが、学生からの声を受けて問題提起したことが生理用品を設置するきっかけになったと明かしています。その提案を東大大学院総合文化研究科教授の清水晶子さんが受け止め、教養学部が主体となり、担当職員が生理用品に関して調査と手配をしたというのです。
同時に、学生自治会の動きも見られました。学生自治会は2022年6月ごろから生理用品を配布する構想を練り始めたと語っています。学生に対する需要調査、他大学での配布状況の確認、当事者からの聞き取りなどを経て、同時期の2022年10月から学部が生理用品を設置しないトイレで、無償配布を開始していきました。
加えて、学生自治会は大学側に生理用品の設置範囲の拡大を求めて交渉を続けました。その要望を受け、2023年4月からは教養学部が主体となり、生理用品の設置範囲を拡大し、学生が頻繁に使用するほぼすべての施設のトイレに生理用品が設置されることに。教養学部はその背景について、「男子トイレへの設置については、学生自治会からの要望と説明を受け、学部としてもその意義を認めたものです」と語っています。現在、各トイレに設置された生理用品はすべて大学側の予算で設置されており、今後も継続される予定です。
「男子トイレへの設置にも需要がある」
ところで、学生自治会はなぜ生理用品の無料配布を独自に始めたのか。学生自治会は「『生理の貧困』が社会的な問題となるなか、生理用品の出費に悩む学生の負担を軽減するため、またキャンパス内で急に生理用品が必要になった際の利便性を高めるために、生理用品の設置を開始しました」と、背景を語りました。
特に、男子トイレへの設置を訴え、実現した理由については、「生理用品を利用するのは、普段女子トイレを利用する方に限られないためです。持病などのために日常的に生理用品を利用する男性や、性的区分に違和感を覚えている方々、その他事情のある方の利用が想定され、男子トイレへの設置にも需要があるものと考えて設置しました」としています。
「生理用品の無償配布の広報を通じて、『生理の貧困』問題そのものへの意識喚起効果も期待しました。月経を経験する人だけの問題として他人事としてとらえるのではなく、社会問題の一つとしてより身近な問題意識を抱いてもらえるよう期待しました。なお、設置にあたっては、本学の性的マイノリティ支援団体などの当事者団体にヒアリングし、当事者の方が使いやすい設置形態を検討しました」(学生自治会)
このような取り組みは学生から好評なようで、「生理用品を買うことが難しい場合だけでなく、生理用品を持っておらず急に生理が始まったときに助かった」「羽根つきかつ多い日用だったのでよかった」などの声が寄せられているといいます。
ダイバーシティ推進課によると、東大では各学部の独立性が尊重されており、個々の建物管理やその財源は各学部に割り振られているとのこと。トイレットペーパーや生理用品の設置費用は学部で捻出される決まりです。教養学部の事例は他学部には好事例として情報展開され、2023年4月からは法学政治学研究科・法学部でも生理用品の無料配布が開始されています。
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三度見くらいしてしまいそう。
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