分離不安症で自傷行為が止まらなかった売れ残りのトイプー 家族の愛情で徐々に明るい表情を取り戻していく姿に感涙
第23回はトイプードルの「空」くんです。
近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」は、2020年4月1日〜2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数が2万3764匹と発表。昨今、国内では殺処分への否定的な意見と保護への関心が高まり、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第23回は飼い主・空ママさんと暮らすトイプードルの「空」くん(現在の年齢:6カ月)。ペットショップで売れ残っていた空くんとの出会い、「分離不安症」と向き合う家族の思いをご紹介します。
―― 空くんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください
空ママさん:2022年の秋、家族でたまたま遠出した先で寄ったペットショップで出会いました。1匹だけ元気がなく、売れ残っていたトイプードルが後に家族となる空くんでした。
トイプードルといえば人気の犬種ですが、周りの子犬たちと比べ体が大きく、とても悲しそうな目でこちらを見つめていました。また展示スペースの飼育環境が悪く、「この子を助けたい」という思いが募りました。
私はこれまで動物と暮らした経験がなかったのですが、その場で家族会議を開き、覚悟を決めて当時生後3カ月の空くんをわが家へ連れて帰りました。
お迎え当日は体調が悪いのか元気がなく、全く動きませんでした。獣医師に見てもらったところ、空くんはトリコモナスによる血便や下痢、ひどい外耳炎を患っており、さらに「痩せすぎ」とのことで、その後毎日病院へ通いました。
家に来て3週間がたったころにはだんだんと元気になり、よく食べよく遊ぶようになりましたが、その頃からケージに戻すたびに鳴くようになりました。愛情に慣れていなかったのか、愛情を注げば注ぐほど、逆に愛情に飢えるようになりました。
家族がいなくなると鳴いたり自傷行為をしたりするため、獣医師に相談したところ「分離不安症」と告げられました。環境などの急激な変化が要因だそうで、劣悪な環境下で生きてきた空くんの気持ちを思うと涙が止まりませんでした。
―― 空くんの現在の様子を教えてください
空ママさん:トリコモナスは完治せず、現在も再発を繰り返していますが、外耳炎は治ってきています。また分離不安症は改善に向け、家族で協力してトレーニングしています。心身ともに空くんが空くんとして生きていけるよう、支えていきます。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
空ママさん:動物に罪はなく、一つの命として大事に扱ってほしいと心から思います。誰かが手を差し伸べないと救えない命はこの世に数えきれないほど存在していると感じています。
(了)
寂しい思いを抱えながら生きてきたであろう空くんが、優しい空ママさん家族と出会えて本当に良かったです。安心できる居場所でこれからもたくさんの愛情と幸せを受け取って、心身ともに健やかに過ごせる日が来ること願ってやみません。
空ママさんはTwitterアカウント(@sorakunnikki12)とYouTubeチャンネル「【空天日記】トイプードルの空くんとチワワの天くん日記」で、現在の空くんの様子や同居犬で元保護犬のチワワ「天」くんとの日常を公開しています。
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
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