何者かに傷害を受け、シッポが壊死したノラ猫を保護 断尾手術を経て、まるまると太った姿に胸が熱くなる
第21回は保護猫「ポチ」くんです。
近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
昨今、COVID-19(新型コロナウイルス感染症/以下、コロナ)の影響でペットを飼う人が増加。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2021年の新規飼育者は犬がわずかに減少しているものの猫は昨年より多く、ともにコロナ前より増加している結果となっています。
そんなペットブームの裏には、多頭飼育崩壊や飼育放棄などの問題が潜んでいます。家族の一員としてかわいがられるペットたちが多くいる一方、飼育放棄されたたくさんの犬猫たちが愛情を求め、里親を探しているのです。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第21回は飼い主・さとみさんと暮らす元保護猫「ポチ」くん(現在の年齢:推定14歳)。ガリガリに痩せ細り、シッポが壊死している状態の元野良猫さんとの出会い、“丸々と太った”という現在の様子をご紹介します。
―― ポチくんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください
さとみさん:何年も前から近所で目撃していた茶トラの高齢猫でした。尻尾に何かを巻かれたのかぐちゃぐちゃの状態でにおいもひどく、かわいそうで「早く助けてあげたい」と思っていました。
尻尾は真ん中が黒く変色して、血と膿(うみ)が出ており骨だけの状態でした。顔は大きいのに体はガリガリに痩せていて、真夏だからか傷が腐っており、よろよろだったため「このまま放置したら死んでしまう」と思い、2019年8月に保護しました。
保護後、病院で断尾手術をしました。退院後はリリースするつもりでしたが貧血と熱がひどく、しばらく家で療養させることにしました。すると猫は、初めてのお家、初めてのオモチャ、初めてのベッド、初めての抱っこ……と、すべてが新鮮だったのか無邪気に甘えてくるようになりました。その姿がまるで赤ちゃんのようでいとおしく、わが家で引き取ることにしました。
―― ポチくんの現在の様子を教えてください
さとみさん:尻尾をけがしていたため、当初は「しっぽ」ちゃんと呼んでいましたが、かわいそうなので「ポチ」くんに改名しました。手足が短くガッチリ体形で。遠目から見るとコーギー犬のようです。
ポチは残念ながら、長年の野良生活で猫エイズ陽性、歯も抜けたり折れたりの状態です。しかし、大好きなお外へハーネスを付けてお散歩をするなど、すっかりお家生活にも慣れました。
今は丸々と太って、残りの猫生をのんびり過ごしているようです。保護当時はとてもひどい状態でしたが、きっと今は幸せに過ごしてくれていると思います。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
さとみさん:私は家の周りの野良猫さんたちを個人でTNR(※)しています。ポチのあとにも、足がつぶれた子を保護して里子に出したり、近所の人たちとTNRを頑張ったりしていますが、なかなか減らず、猫が増えるスピードには追い付けません。
※野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)こと
子猫や慣れた成猫は里親さんを見つけて譲渡していますが、個人ではやはり「限界があるなー」ともどかしく思います。保護団体さんのお手伝いをしたこともありましたが、なかなか癖のある猫好きさんたちばかりで、気後れしてしまったので……ほそぼそと個人でできる範囲で頑張っていきたいです。
(了)
“保護当時はとてもひどい状態”だったというポチくん。保護当時の写真からシッポの痛みや外での生活の過酷さが伝わってきます。ポチくんにとって、さとみさんから注がれる愛情もまた“初めて”だったことでしょう。知らなかったぬくもりを一つ一つ覚えていく様子に心があたたまります。
ポチくんの現在の姿や、TNR活動の様子はさとみさんのInstagramアカウント(sattommmy)で公開中。ポチくんの猫生がこれからも穏やかで、心地よい時間で満たされることを願います。
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
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