「NIKKE」ハーフアニバーサリーイベント「OVER ZONE」感想 「これだよ!」と思える前史の物語(1/2 ページ)
ネタバレありで語っていきます。
ゴールデンウィーク前後は多くのゲームがリリースされたり、既存のゲームでもいろいろなイベントが行われたりと、皆さんもお休みの間にいろいろなゲームを遊ばれたと思います。そんな中でとくに心に残ったのが「勝利の女神NIKKE(以降NIKKE)」のハーフアニバーサリー記念イベント。あらためて「これだよ、俺がNIKKEをプレイしていた理由は!」と思わせてもらえたので、その内容を紹介してみたいと思います。
※以降の文章にはNIKKEのハーフアニバーサリーイベント「OVER ZONE」のネタバレが含まれます。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
サービス開始時の記事でも書かせていただいていますが、謎の侵略者ラプチャーに地上を追われアークと呼ばれる地下都市に逃げ込んだ、というところから始まっているNIKKE。今回ハーフアニバーサリーを記念して始まったイベント「OVER ZONE」は、その前史となる物語です。
「ゴッデス部隊」と呼ばれるゲーム内でも伝説と呼ばれる最初期のニケたち。ゲームでもその一部の面々は強力なニケとして実装されているのですが、彼女たちを率いるドロシーというニケを中心とした過去の物語がつむがれています。そのため、プレイヤーキャラクターである指揮官は一切登場しません。このゲームではおそらくはじめての形式ではないでしょうか。
物語はアークへ人類を逃がすため、ゴッデス部隊が殿となってラプチャーを食い止めているところから始まります。人類からの連絡は一切なく、それでもひたすら戦い続けているゴッデス部隊。すでにリーダーと仲間にも犠牲が出ており、新たなリーダーとなったドロシー。補給が絶たれ疲弊していくゴッデス部隊の面々は次々と現実から逃避するような行動を続けますが、そんな仲間をどうしてもうまくまとめられません。
そんな彼女を救ったのピナというニケでした。「何でも一人でやってしまおうとする」というドロシーの欠点を指摘したピナは「『手伝ってください』といえばよいのだ」と諭します。ドロシーは「自分だけでは何も出来ない」と仲間に頭を下げ、人類から連絡が来ない中ゴッデス部隊を導こうとします。
彼女の言葉で逃避をやめる仲間たち。ピナの「ゴッデス部隊は人類最後の希望の女神でもある。あなた達女神にはその誇りを持って欲しい」という言葉もあり、彼女たちは誇りを取り戻します。
そんな日々の中、仲間たちが外に出ている隙に敵の攻撃を受け、ピナが敵に頭脳を支配されてしまいます。全てを支配される前に殺してくれと懇願するピナに泣きながら銃を向けるドロシー。仲間たちが戻ったときには残弾のなくなった銃を自らに向け、うつろな目で引き金を引き続けるドロシーの姿がありました。
ここまでが前半のストーリーとなります。ドロシーの声は斎藤千和さんなのですが、最初は「なんでこの人が声を当ててるんだろう」と思いました。ですが、このイベントはフルボイス。心折れた自分を奮い立たせてくれた相手を自らの手にかける。その際にあげる絶望の声を聞いて「ああ、なるほどこの人が当てられるわけだ……」とドハマりしていたアニメを思い出していました。
後半はこんなドロシーがどうやって立ち直るかの話なのですが、立ち直ると言っても素直に立ち直るわけではないのがこのゲームらしいところ。心の支えを失って立ち直ったかに見えたドロシーでしたが、会話の端々がおかしなことに仲間たちは気付きます。ドロシーの目には、死んだはずのピナが映っており彼女と会話を続けていたのです。ドロシーの安定のために真実を告げないでおこうとする一同。
そしてアークの封鎖は完了するのですが、それはゴッデス部隊が地上から入り口を封鎖することでの完成。すなわち、ゴッデス部隊は地上に取り残されます。人類に見捨てられたと知ったドロシーは絶望しますが、他の仲間は人類のためにこの事実を受け入れ、ラプチャーの襲撃を避けるため旅立つこととなりました。
彼女たちはドロシーの励ましを受け、地上で生きるための目標も手に入れていました。ですが、そんな言葉を人に送ったドロシーには何も目標がなかったのです。
ピナの幻影と日々を過ごすドロシーでしたが、ある日ピナの姿が消え、ピナが死んだという事実を思い出し、自分も旅立つときが来たのだと悟ります。あてもなくさまようドロシーの前に現れる「Welcome to ARK」の看板。自らを拒絶した世界が「ようこそ」と語るその看板を見て、ドロシーは人類からアークという楽園を奪ってやる、と決意を固めるのでした。
ここからは本編19章以降の話に続きます。現在の時間軸ではアークとは別に「エデン」という地上の都市が存在しており、ドロシーはその支配者として存在しています。まだエデン登場後のストーリーを全て読めてはいないのですが、本編の時間軸で「ニケに守られるだけの人類は不要」というスタンスで行動している理由はこのイベントでよく分かりました。
重たい話ばかりしてしまいましたが、このイベントにはオマケでテキストアドベンチャーゲームがついてきます。ちょっとしたイラストもあるのですが、淡々と進みアイテムを探すゲームなので「A Dark Room」を一瞬思い出してしまいました。
中身はゴッデス部隊の1人スノーホワイトを主人公とした物語であり、別視点からゴッデス部隊の面々を描く物語となっています。こちらはメインストーリーのように陰鬱なものではなく、ちょっと笑える展開もあり、ある意味イベントの癒やしとなっているといえます。
また、半年の経過はゲームシステムの改善にもつながっています。面倒臭いデイリー戦闘の多くは短縮が可能になりました。イベント戦闘はスキップ機能がついているため1回クリアすればオート戦闘をぼーっと眺めていることもなくなり、周回とイベントアイテムの回収が大変楽になりました。ガンシューティングにスキップ機能というのはいろいろ本末転倒かもしれないのですが、個人的にはストーリーと世界観に惚れ込んでプレイを続けており、ガンシューティングが得意ではない身としてはうれしいところ。
現在はPC版もリリースされており、プレイ環境は広がっています。横画面で画面も広くなり、キーボードショートカットも使えるゲームプレイはスマホよりも個人的には快適です。なんせこのゲーム、iPhone 13 Pro Maxでプレイしてもスマホをホカホカにしてくれるので。
残念なことに、NIKKEのイベントは終了すると読み返せません。そこだけは今後なんとかして改修していただきたいところです。また今回ガチャで実装されたドロシーですが、イベントシーンでは頭の飾りについているアクセサリーが存在しません。よく見るとその頭飾りとピナがつけているネックレスが同じものだったりするので「趣味が最悪〜」となってしまいました。こんな仕掛けを突っ込んでくるNIKKEにはまだまだ楽しませてもらえそうだと思っています。
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