「彼女は手の届かない人だった」 “ロックの女王”ティナ・ターナー83歳で逝去、ミック・ジャガーらが追悼(1/2 ページ)
また1人伝説的なアーティストが去る。
アメリカ音楽史上最も偉大なアイコンの1人であるティナ・ターナーが83歳で亡くなりました。米国出身のティナは2013年にスイスの市民権を得ており、チューリヒ近郊のキュスナハトにある自宅で息を引き取りました。
ティナの死は5月24日(現地時間)に更新されたInstagramで、写真家のピーター・リンドバーグが撮影した彼女のモノクローム写真とともに「ティナ・ターナーが亡くなったことを大きな悲しみとともにお知らせします」と公表されました。
「音楽と、人生への果てしない情熱で彼女は世界中の何百万というファンを魅了し、未来のスターをインスパイアし続けました。今日、私たちはその音楽という偉大なる作品を残してくれた親愛なる友人に別れを告げます。私たちは心から彼女の家族へ哀悼の意を表します。ティナ、本当に、あなたを恋しく思うでしょう」とコメントが添えられています。
ティナはグラミー賞を12回受賞、ロックの殿堂入り2回を果たし、ビヨンセやリアーナ、現代トップに立つ女性アーティストへの道を切り開いた先導者でした。
最初の夫であったアイク・ターナーとのデュオ「アイク&ティナ・ターナー」では、1960年代から1970年にかけて「プラウド・メアリー」「ナットブッシュ・シティ・リミッツ」などが大ヒット。1976年には、アイクと離婚し「レッツ・ステイ・トゥゲザー」「愛の魔力」などソロ活動でも大成功を収めます。豪快なパフォーマンスと華やかな衣装、熱くハスキーな歌声で女性アーティストとして唯一無二の存在となりました。
一方で、後に夫アイクから暴力を振るわれていたことを明かしており、アイクはコカインを長年常用した末、2007年に亡くなっています。
その後レコード会社の重役であった16歳年下のエルヴィン・バッハと出会い、長い交際の末2人は2013年に結婚。16歳年下であることから、エルヴィンがティナの財産や地位を目的に交際しているのではという声もありましたが、2013年に脳卒中、2016年には腸がんというティナのつらい闘病生活へ常に寄り添い助けてきた他、2017年にティナが腎不全となった際にはエルヴィンが腎臓が提供し、移植手術を行い乗り越えています。
この訃報に、ティナにとって長年の友人で、ともにステージに立ったこともある英ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のボーカル、ミック・ジャガーはステージに立つティナや2ショット写真など数枚をInstagramへ投稿。「僕のすばらしい友人、ティナ・ターナーの死をとても悲しく思います。彼女は真の才能にあふれたパフォーマー、シンガーでした。インスピレーションにあふれ、温かく、楽しく、寛大な人でした。若いころ、彼女は僕を本当に助けてくれました。ずっと忘れない」と過去の思い出があふれるようなコメントを添えました。
英シンガー・ソングライターのエルトン・ジョンは、ティナと抱き合う2ショット写真を投稿し、「僕たちは世界で最もエキサイティングでエレクトリックなパフォーマーを失ってしまった。録音でもステージでも完全なるレジェンドだった。彼女は手の届かない人だった。エルヴィンと彼女の家族に哀悼の意を表します。最も悲しいニュースです」と追悼しました。
さらにティナの自伝著書を映画化した「TINA ティナ」(1993年)で主演し、アフリカ系アメリカ人女優史上初のゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディー部門の主演女優賞を受賞した米俳優アンジェラ・バセットは、Instagramへティナと2人笑い合う印象的な写真を投稿。「自身の痛みやトラウマを持ち、それを世界を変える手段として使う女性と、どんな風にお別れしたらいいんでしょう?」とティナの死へ受けた衝撃を表現しています。
続けて「自分のストーリーを語る勇気、どんな犠牲を払っても自分の人生を貫く決意、そして自分と、自分と同じような人のためにロックンロールの世界を切り開くという意思を通し、ティナ・ターナーは愛と思いやりと自由に満ちた未来がどんなに美しいか、恐怖の中で生きる人々に示しました」とティナの成し遂げたことを表し、「彼女が最後に私へ言った言葉は『あなたは決して私のものまねをしなかった。その代わり自分の魂に触れ、自分の中にあるティナを見つけ、世界に示した』でした」と明かしました。
そしてこの言葉が自身にとってどれほど大切かをつづり、「今日、私たちは彼女のアイコニックな声と存在を失ったことを嘆くのだけど、彼女は私たちが求める以上のものを与えてくれたんです。彼女は、自分の全てを私たちに与えてくれた。ティナ・ターナーはずっと“シンプルに最高”(1991年発売のアルバムタイトルSimply the Bestを引用して)な贈り物です」とティナを追悼しています。
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