有名音楽プロデューサー、業界の未来はAIの圧勝と主張「パニックになってる人もいる」 過去AI制作した“エミネム風”曲も話題に
議論のきっかけになってほしいとデヴィッド。
仏音楽プロデューサーで人気DJのデヴィッド・ゲッタが7月21日公開のポッドキャスト「Rolling Stone Music Now」に出演。マドンナやリアーナと共演し、安室奈美恵さんともコラボしたことがあるデヴィッドは、番組内で将来の音楽制作において、昨今議論を呼んでいるAIと人間の競争では「勝負にならない」と明言しています。
デヴィッドは番組内で「結局のところ、僕たちはみんな自分が学習したことを実行するんです。(人間とAIが)違うのは、AIは全てを学習できるっていうこと」と、どちらもできることが学習内容で決まるのであれば、学習容量が桁違いなAIが優れているのは明白と主張。
「“ソウルのレコードを作りたい”といえば、AIは歴史上全てのソウルミュージックのコード進行を学び、その中で最も成功したコード進行のパーセンテージ、さらにそのコード進行に最も合うキーも同時に学習する。勝負にならない。だからね、これからはますます技術的な能力だけではなく、美的感覚の問題になってくるはずです」と音楽業界の未来について持論を展開しました。
デヴィッドは2月にコンサートで、AIを使った“エミネム風”な曲を公開しています。まず、AIにエミネムのような歌詞を書かせ、別のAIサイトでエミネムの声を再現して曲を作ったとのことです。この曲を披露した目的について番組内では「とても興味をそそられてやりました。リリースすることが目的じゃなくて、議論のきっかけを作りたかったんです。対話を始める方法としては正しかった」と語りました。
続いてAIがドレイクとザ・ウィークエンド風のサウンドを生成した楽曲「Heart on My Sleeve」に話題がおよぶと、「僕はこれを脅威だとは思っていません。パニックになっている人もいるみたいだけど、より良い楽曲や優れたデモを作るための新しいツールができたというだけですよ。もしアリアナ・グランデやリアーナに曲を売り込みたいと思ったら、AIで声を入れておけば、どんな風に出来上がるかもっとイメージしやすくなるかもしれないでしょ」とAIにより人間の制作する音楽の質があがるだけだと主張。
さらに「この先、どんどん音楽制作は身近なものになっていくでしょう」と予見し、「過去には、スタジオに入って楽器を使いアーティストを呼んで収録するには数千ドルも費やさなくてはいけなかったんです」と音楽制作のコストを説明しました。「でも今はノートPCだけでいい。ハードウェアは一切使いません。僕はこのやり方を深く信じてるし、現時点で最も効果的な仕事方法だと思っています」。
デヴィッドはAIを使っての音楽制作には全く抵抗がなさそうですが、“ただPCさえあれば誰でも一流の音楽が作れる”という趣旨の主張ではないと強調。「僕は、アーティストを定義するのは技術的な能力よりもその人独自のセンスだと思います。ChatGPTのようなツールを使ってドレイク風のスタイルでヴァースを制作できたとしても、自動的にドレイクをしのぐエキサイティングなコンテンツが作れるわけじゃない」とし、AIを使っても使わなくても、アーティスト風の歌詞や声を使ったとしても人間の持つ音楽センスが疑わしければそのまま音楽に反映し、逆もしかりであると述べました。
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