寝るだけでいいと思ってたのに…… 「起きぬけ」「昼」「寝る前」の操作が忙しかった「ポケモンスリープ」レビュー(1/2 ページ)
思ったより大変でした。
突然ですが、筆者は楽にプレイできるゲームが大好きです。とくにスマホゲームではその傾向が強く、周回やレベル上げ等の苦痛はできる限り少ないものを好みます。オートプレイとかスキップがついてるとそこをプラスポイントにすることも多々あったりします。そんな中、眠るだけで遊べるゲームが出てきたと聞きました。なんと素晴らしいと思って飛びついたのですが、思っていたのとはちょっと違っていました。
その寝ていればプレイできるゲームとは、Pokemon Sleep(以降、ポケモンスリープと表記)。ゲームの内容はカビゴンの横で眠るポケモンを観察してポケモンの睡眠について調べようというものです。カビゴンはプレイヤーの睡眠に合わせて寝るので、寝ていればポケモンが集まってきます。寝ているだけでポケモンが集まるとは、歩き回ってポケモンを集めるポケモン GOの対極にある思想だと感心してプレイを始めたのですが、私を待ち受けていたのはそれなりに煩雑なゲームシステムでした。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
寝起きに始まる、ヘビーなチュートリアル
ゲームを開始するとチュートリアルから始まり、ネロリ博士がこのゲームの目的や内容を教えてくれます。まずはポケモンの名前決めと「いつ寝るか」の設定ぐらいしかありません。ですが、これは前哨戦に過ぎません。
起床後に始まるチュートリアルは本番と行っていいほどのもので、たいへん長く感じます。睡眠タイプや睡眠スコアの説明、カビゴンによってきて寝ているポケモンの撮影方法、ポケモンをどうやって仲間にするか、カビゴンの育成方法。平日の朝にこれを一気に詰め込まれても困ります。
「これから睡眠リサーチについてレクチャーを始めるよ」というチュートリアルの開始から「長いレクチャーだったけどお疲れ様!」までスクリーンショットを撮っていたのですが、約100枚になりました。時間にして12分ぐらいです。これで終わりかと思ったら「お疲れ様!」と言われたその後「実はもっとカビゴンを大きくする方法があるんだ」と料理の方法が始まります。チュートリアル終わったんじゃなかったのかよネロリ先生!
ついでにこの後課金アイテムの説明もあったりします。そしてこのチュートリアルは1日では終わりません。2日めに寝る前に「働いていたポケモンを回復してあげよう」というチュートリアルが始まるのです。大した長さではないのですが、開始した瞬間「まだチュートリアルなの!?」と思ってしまいました。
睡眠タイプは3種類。うとうと、ぐっすり、すやすやというそれぞれのタイプによって来るポケモンが変わるとのことで、睡眠タイプがぐっすりばかりの人はうとうとタイプのポケモンをどうやって仲間にするかが分かりません。「どれでもない」という睡眠タイプもあるのでそのときに来るのを祈るしかないのでしょうか。ポケモンの寝顔は数種類あるため収集コンプリートはかなり遠そうです。
チュートリアルだと寝る前と起きた後にアプリを立ち上げるだけだと思わされるのですが、そうではないことに気付きました。カビゴンを大きくするための料理ですが、カビゴンは朝昼晩3食ちゃんと食べます。すなわちお昼もアプリを立ち上げて料理を食べさせないといけないのです。
ポケモンそのものも撮影したり仲間にしたりするだけではなく、育成やお世話をする必要があります。このあたりの育成についてまったく聞いた記憶がないのは寝ぼけた状態で聞かされているからなのか、それとも「ポケモンなんだから育成するだろう普通」というぐらいの認識で説明が省かれたのかは分かりません。ポケモンを仲間にするのにサブレを食わせる、というのだけは覚えているのですが。
これらポケモン周りの操作にも不満があります。ポケモンをタップすると拾ってきた素材をばらまくのですが、画面を連続タップしたりスワイプしたりして拾う必要があったりします。どうすればすぐに全部拾えるのかがよく分かりません。スワイプすると複数一発で拾えたりすることもあるのですが、画面がスクロールすることもあったり。ポケモンがバナーの下に素材をばらまいたりするので「そこに置くんじゃない!」と思うこともしばしば。
また、ポケモンを操作している最中にカビゴンが成長すると「カビゴンが成長しました」的なメッセージが出てカビゴンにフォーカスが移動して操作が中断されます。このような操作の中断が重なることが不満につながるのですが、最大の問題はこれらが「起きぬけに発動する」ことでしょうか。朝イチにゲームをいじっていて思ったように動かないというのは想像以上にイラッと来るものだと認識させられました。
さらに細かい話をするとポケモンの上に吹き出しのように出ている部分を触ってもポケモンは一切反応しません。これまた寝起きにプレイしているせいか「なんで反応しないんだ……」と思いながら本体を触るまでぼんやり動作を繰り返していたこともありました。
入眠時間がログインボーナス的な扱いになっているのも気になるところです。23時に寝ると設定してその時間近くに寝るとログインボーナス的なものがもらえます。この時間は後から変えられるのですが、変更するとログインボーナスが1からやり直しになってしまうのです。昨今のスマホゲームで「1日ログインし忘れたら1からやり直し」と言うのはなかなか珍しいものですが、「別に睡眠時間変えてもいいけど1からやり直しになるよ」と睡眠時間を強いてくるのはなかなか手厳しいなと思いました。
こんなゲームですが、フレンド機能もあったりします。友達のポケモンが手伝いに来てくれるらしいのですがあまり利点を感じないためフレンドは集めていません。また、フレンドに対する情報共有がデフォルトでONになっているのが気になりました。総睡眠時間ぐらい知られても別にいいのではないか、という人も多いかもしれませんが、個人的にはあまり知られたくないな……と思う情報です。もちろんこれらはOFFにすることが可能です。
数日やってみて、起きぬけにスマホゲーのデイリーミッションを消化することに比べたら大したことはないだろうと思っていたのですが、思った以上に負担になっていることに気が付きました。
スマホゲーのデイリーミッション消化は朝起きたときの必須作業ではありません。スタミナがあふれてもったいないので朝やっておこう、ぐらいの意識なので面倒なら無視することも多々あります。ですが、このポケモンスリープは「起きぬけ」「昼」「寝る前」に必ず操作を要求してきます。睡眠スコアを計測するだけならそんなアプリはいっぱいありますし、昨今はスマートウォッチで図る人も多いでしょう。それらにいろいろな要素を加えて睡眠をゲーム化したいという試みはよく分かります。その試みの結果「やってもやらなくてもいいこと」ではなく「やらなければいけないこと」になっているように思えました。
ゲームを自分の生活リズムに組み入れられれば問題はないのかと思いますが、私の生活にはどうもうまく合わなかったようです。まさかネロリ博士も研究を頼んだ相手がカビゴン以上のなまけものだったのは想定の範囲外でしょう。今後寝ているだけで集まってきたポケモンの写真をどんどん撮影する仕組みや、1日3回決まった時間にカビゴンの口に食べ物を流し込むシステムの開発などであればぜひともお手伝いしたいと思います。
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